メディアグランプリ

不健康だからって、健康じゃないわけじゃない


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:山本しのぶ(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
人間とは不合理な生きものだ。
「健康でいたい」「睡眠不足だ」と思いながら布団のなかでスマホを見ている。
この場合の「人間」というのは、とりもなおさず「わたし」のこと。
目的はあるのに目の前のお手軽な刺激についつい手が出てしまう残念なわたし。
 
こういうとき、誰か叱ってくれるひとがほしい。それも、その害を論理的に説明しながら叱ってくれるひと。
こう思っているひとは多いと思う。
だから「睡眠不足はからだに悪い」とか「寝る前のブルーライトは脳を覚醒させてしまう」といった、言ってしまえばごくごく当たり前のことがきちんと研究され、論理的に語られているのだと思う。
そういった論をテレビや雑誌で見ながら、「あぁ、そうだ、気をつけないと」と思い、スマホを閉じて布団に向かう。数日はそれが続くけれど……。習慣というのはこわい。
 
「健康」に暮らしたい。
というのは、多くの人がもっている基本的な願いだと思う。
ただ、健康ってなんだろう。という問いにさっと答えられる人は実は少ないんじゃないかと思う。それは、幸せってなんだろうに答えることが難しいのと同じように。
 
あるとき、「健康」をテーマとした小さな集まりをさせていただく機会があった。集まっていただいたのは、比較的高齢な男女。といっても60代から90代。年代はさまざま。
そのなかのある方は以前に脳出血を起こしており右半身に麻痺があり、ある方は腎不全で毎週3回ずつ透析を受けており、ある方は認知症を疑わせるような言動を見せており、ある方は難聴で会話がスムーズにいかない。
毎日からだを動かして忙しくしているという方もいれば、普段はひとと交わることも少ないという方も。
 
そんな方たちに「おすすめの健康法」を聞いてみると、出るわ出るわ。
みなさん自分なりの「健康」の秘訣を持っている。
右半身に麻痺がある方は「おしゃれをすること」と言って、鮮やかな色のシャツを着ていらしたし、腎不全の方は「少しの散歩」と控えめにお話しされる。認知症を疑わせるような言動を見せていた方は「近所の留学生との交流」について話され(話がとりとめなくなっちゃうのはあるけれど)、難聴の方は「食事をしっかりとること」について話してくれる。
 
話の止め時を迷うくらい、みなさんよく喋るし、よく笑う。
ある面では「不健康さ」を抱えているけれど、目の前にいるひとたちは笑ってしゃべってとても元気。
 
からだを動かして、あたまもからだも使うエクササイズをして、「こんなに笑ったのは久しぶり」と言って帰って行かれる様子を見ていると、よくある言い方ではあるけれどわたし自身が元気をもらうようだった。
 
家族でも友だちでもない関係のひとたちがあるきっかけでここに集まってくれて、自分なりの健康について語り合う。
この場では、「毎晩、布団のなかでスマホを見ちゃう」というのは、口に出せないなと思った。
むしろ、わたし自身が自らを健康的な人間としてふるまっているような時間だった。
 
おそらく、誰に叱られたわけでもないけれど、笑って話して元気そうな人たちの前で恥ずかしくないわたしでいたい、という気持ちが働いたように思う。その晩、わたしはスマホを布団から離したところに置いたまま布団に入った。
 
寝る前にスマホを見ないことが、すぐさま健康につながるというわけでもない。だけど、それぞれの不調を抱えながらも健康でいたいと願い、行動しているひとたちの姿を目の当たりにして、わたしにはわたしの「健康」があるのだと感じるようになった。
 
それは、自分なりに規則正しく暮らし、ひととのかかわりを大切にして、なるべく手作りの食事をよく噛んで食べ、家族で仲良く過ごし、自分自身を大切にすること。
あまりにも普通だけれど、ここでいう「健康」って、「幸せ」という言葉にすごく近い意味をもっているんじゃないかなと、いまは思っている。

 
 
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2018-06-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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