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ノーガード戦法としての炎上商法


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記事:川崎亮(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
どうしてもっと柔らかい言葉で言えないんだろう。
ほんのすこしの気遣いで良いのに。あなた頭良いんでしょう?
 
ずっと、そう思っていた。
炎上、などと言われる現象のことだ。
 
だれでも一度は聞いたことがあるだろう、この言葉。
特にその主体が商品やサービスの従事者であった場合、「炎上商法」などと言われることもある。
過激な言動で敵をつくり、賛否両論を巻き起こすことで多くの人の目に触れるよう画策することだ。
 
ツイッターやワイドショーなどでその「炎上」が取り上げられた時、「一体どんな商品なんだろう?」と思ってサイトなどを見に行ってみると、これが結構魅力的なものだったりする。
だったら、商品の魅力が一番伝わるような言葉で、その商品を必要としている人に届くようにすれば良いのに。
良いものだったら放っておいても口コミで広まっていって、売れていくんじゃないの? わざわざ敵をつくる必要なんてないんじゃないの?
僕自身が元々愛用していたサービスが、運営者の発言で炎上しているのを見た時、そんな風に思った。
もともとのファンすら置いて行かれてしまうんじゃないか。
 
けれどツイッターに批判的なコメントを付けている人を見ながら、「そうじゃないんだ、このサービスの良さは一度使ってみたら絶対わかるから!」と心のなかで歯がゆく思う自分に気づいたとき、そうか、これ全然間違ったやり方じゃないんだ、とはっとした。
むしろ今までのファンである僕は、その「炎上」を見てさらに応援しようという気持ちになったし、批判している人たちはもともとファンにはなりえない人だっただろう。
 
この感覚、なにかに似ているなー、と思った。
そうだ、あしたのジョーの主人公、矢吹ジョーを応援する感覚だ。
 
ボクシング界では非常識なノーガード戦法を得意とする矢吹ジョーは、作中でもいろんなバッシングを受け、それでも態度を変えないジョーに、親しい友人らも離れていってしまう。
けれど、それをマンガあるいはアニメの作品として見ているわれわれはどうだろうか?
ジョーが傷つき、もがく姿を見て、より一層ファンになっていったのではないだろうか。
ジョーに向かって汚い言葉を吐く作中の人物たちに、「うるせぇだまってろ」と心の内で叫んだのではないだろうか。
 
ジョーが目指していたのは、ボクシングの常識に則った行儀の良い戦いでもなければ、ファンのみんなから好かれ、勝負には負けてもなぐさめられるマスコットでもない。
ただひたすらに速く、強くパンチを繰り出すこと。
防御を捨てることで相手よりもほんの少しでも先にパンチを当て、勝つことのみだった。
だからあまりにガムシャラなジョーについていけずジョーの元を去る友人も、伸び悩む姿にイライラして攻撃的な言葉を投げかけるファンも、ジョーの目標達成のためには省みる必要のない存在だった。
少しでも自分のスタイルを磨くために、余計なことには体力を使わない。
そしてその結果、真にジョーに心をわしづかみされたファンであるところのわれわれ読者は、身銭を切って応援することになるのだ。
 
ある商品やサービスが炎上するとき、そこには配慮の不十分な言葉がひとり歩きしてしまって誤解を生んでいる状況がある。
あとほんのすこし、物言いに気をつけて誰の心も逆なでしない言葉を選びさえすれば、と思っていた。
その渦中にいる人たちからすれば、そんなことに頭を使うくらいだったら、商品やサービスを洗練させていくことに注力した方がよっぽどコスパが良いのだ。
だって多分、絶対に誰も傷つけないような表現を探そうと思ったら、その時間とエネルギーでもうひとつ新しい商品をつくれちゃうでしょう?
普通に発信していただけで炎上してしまうようなフォロワー数を抱える人たちは、多分そういう人だ。
 
それでもこの商品・サービスを必要としている人は絶対についてくる。
そういう確信のもと、彼らは日々発信している。
自らの言葉で、自らの考えを。
より多くの人に届くよう、強い言葉を選ぶことだってあるだろう。
少しでも速く、遠くへ。
その強い意志が、結果的に炎上を巻き起こしてしまうこともある。
けれど、信じて突き進むことができれば、きちんとファンはついてくる。
 
これだけモノにあふれた時代だ。
炎上商法は、ジョーにとってのノーガード戦法のような、ひとつの戦略として定着していくのかもしれない。
もちろん、商品自体に魅力のない、人目に止まることだけを目的とした炎上は言語道断だけれど。
 
そのとき、消費者であるわれわれに必要とされるのは、
無関係な炎上には気を取られることのないよう、無関心を貫くことと、
いざ自分が新しい商品やサービスを生み出す立場に立ったとき、炎上を恐れず自らの考えを発信していくことのできる、強い意志をもつことなのかもしれない。

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2018-07-04 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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