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部下を持つ人は街の八百屋さんを見習った方が良い


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記事:鈴木佳文(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
「先生、彼は要注意な子なので、ついて来れなくても気になさらないでください」
ある企業の中堅社員研修。
3日間の養成講座の初日に、気にすべき受講生について質問した中で、そんな回答が来た。
「え? フォローしなくていいんですか?」
上司からの評価が非常に悪く、能力が無いと言われているらしい。
自律した人材を育成したいという依頼で組み立てた3日間、全ての受講生に気づきを持って帰って貰いたい。
「メンタル不調から復職したばかりで、あまり厳しくしてまた休まれてしまっても困りますから」
厳しくしごいて欲しいという要請が強かった研修。
その中にメンタル不調の社員を混ぜられては困ってしまう。
上司がぜひ参加させたいとねじ込んできたらしい。
「研修の組み立て、変えていいですか?」
最初の依頼通りにしていたら間違いなく再発する旨を伝え、開始前の1時間で内容を大きく変えることにした。
 
「おはようございます」
「…………」
にこやかに挨拶をしても俯いて返事が返ってこない。
ネームプレートを見ると、問題の彼だった。
これはかなり厳しい。本人が無理をしているのが分かるし、最初から拒絶する壁を作っているのが伝わってくる。
集まってきた受講生を見れば、打たれ強くガンガン前に進むタイプと耐え忍んでコツコツ仕事を進めるタイプで表情が違う。
依頼のあった“自律した”という言葉は、パワハラ気味の上司に立ち向かえる人材を育てるという意味合いを持っていることを改めて認識した。
コツコツタイプの人はたぶん、上司にかなり厳しく当たられている。
失敗を恐れ、下を向いて行動しない様子が彼と共通していた。
クラスの半分がメンタル不調予備軍だ。
 
会社員にとって、「出来ない人」と認定されるのはかなり厳しい。
昇給や昇格だけでなく、普段の仕事でも厳しい目で見られて居心地が悪い。
否定され続ければ、自信も無くなっていくし、メンタル不調にもなる。
これは、食べるな危険のラベルを貼られた果物みたいなものだ。
 
スーパーで、この「グレープフルーツは防カビ剤を使用しています」という札を見たことがあると思う。
健康志向が高まる中、消費者の要請で表示をしているとは思うが、発がん性物質を使っている果物を積極的に食べたい人はいないだろう。
山積みのまま売れ残ったり、大きく値引きされて売られていたりする。
人事担当者が、上司の話を鵜呑みにして「出来ない人」とレッテルを貼ってしまうのは、最初から値引き前提の果物を売るようなものだ。
 
その点、街の八百屋さんは長所をアピールするのが上手い。
「これはね、実はこうやって食べるとものすごく旨いんだ」
「農薬? 皮を剥いちゃえば問題ないよ。この時期はジューシーで甘いよ」
それぞれの長所を大げさに伝え、なんか買わないと損な気にさせるトークは見習って欲しいと思う。
 
研修では、各自の悩みを引き出して受け止め方を変えること、お互いの違いを認識して長所を褒め合うこと、に焦点を当てた3日間にした。
僕の役割は、彼らの成長可能性を信じてガイド役に徹することだ。
 
人事担当者が、“触れるな危険”と言っていた彼は、自分の気持ちを吐き出して泣いた後は目の色が変わってきた。
ガンガンタイプの人をうまくコントロールしてチームをリードし、彼のチームの発表が最も沢山の拍手を集めた。
「彼にもできるんですね」
驚く人事担当者に、改めて皆の可能性を信じてほしいとお伝えした。
 
お会いする人事担当者は、大抵は良い方が多い。
時々は、上から言われたことをそのまま中継する感じの人もいるが、社員と管理職の要望に板挟みになっている姿を見ると、応援したくなる。
 
部下を持つ人は、街の八百屋さんを見習った方が良い。
経験が少ないのだから、若い部下が期待に応えきれないことがあるのは当たり前だ。
自分とは価値観も違うのだから、思うとおりに動くことも無ければ、モチベーションが高まるポイントも違う。
変にコーチングの手法を活用してコントロールしようとするより、良いところを見つけて褒めてあげるほうがお互いの精神衛生にも良いはずだ。
 
自分にも部下にも厳しい上司という人もいるが、自分のことは置いておいて部下に厳しい上司の方が多いかも知れない。
本人に悪気は全くない。
部下の成長を心から願っている。
ただ、自分の価値観で相手に悪いラベルを貼ってしまうだけなのだ。
 
どうせなら、良いラベルを貼ってあげよう。
八百屋さんにすすめられた果物を美味しく感じるように、長所のラベルが貼られた部下はイキイキと働いてくれる。
上司には褒め上手になって欲しいと思う。
 
後で聞いたら、研修に参加した受講生の3分の1は退職してしまったらしい。
自分がやりたいことを見つけて、一歩前に進んだのだ。
お陰で、僕はリピート受注を逃してしまったけれど、下を向いて苦しんでいた子たちが動き出したことを聞いて涙が出てきた。
彼らが個性を輝かせて仕事を楽しんでいることを願ってやまない。

 
 
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2018-07-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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