メディアグランプリ

人見知りがコミュニケーションの最強の武器になる未来


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記事:川崎亮(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
小さい頃から、友達をつくるのが苦手だった。いや、友達がいなかったと言って良い。
本を読んだり、ラジオドラマを聴くのが好きだった僕は、だれかと一緒に遊ぶ時間よりも、ひとりでいる時間が長かったし、その分だれかに自分の考えていることを話すのも得意ではなかった。
遊びといえばドッジボールやサッカー、野球だった小学校時代、運動神経の悪い僕はそこでも仲間はずれだった。
TVゲームやカードゲームが流行っていたけれど、満足に買い与えてもらえなかったから、そもそもだれかの家に遊びに行かない限り、それらで遊ぶこともできない。
新作のゲームを持っているというだけで友達がたくさん家に遊びに来る子のことを、羨ましく思っていた。
 
小学校のころにだれかの家に遊びに行ったこと、反対に友達が家に遊びに来たことはほとんどなくて、ひとつひとつをきちんと思い出せるくらいのごく限られた回数しかない。
周りの友達も、僕のことを「かわいそうなやつ」だと思っていたと思う。
親や先生にも心配され、放課後家にいるのは居心地が悪いからと、ひとりで家の近くの雑木林に隠れ家をつくって篭っていた。
 
小学校のクラス替えのとき、中学校や高校に入学したとき、大学に入ってからもサークルや研究室配属のときなど、周りはすぐに仲良くなるのに、自分だけ取り残され寂しい思いをしていた。
さすがに大学ともなると、価値観の合う人に巡り合うことができて、ようやく友達と呼べるような人もできはじめてはいるけれど。
でもそうやって気の合う人を見つけるのは、未だにすごく時間のかかる作業だ。
社会人になった今でも、初めて会う人だらけの場所では隅っこでやり過ごすのがお決まりのパターンだ。
 
そんな自他共に認める人見知りの僕が、ここ数年その人見知りのおかげで人生を変えるさまざまな出会いに恵まれている。
妻と出会ったのを皮切りに一気に交友関係が広がり、しかもその充実感がすごいのだ。
 
最近会社の同期とそんな話をした際、すごく楽しそうにしてるなぁと驚いていた。
入社当時、だれからも愛されるキャラクターですぐに同期の中心となってあらゆる飲み会に顔を出していたような彼は、よくつるんでいた友人たちは皆結婚して付き合いが悪くなった、遊んでくれる人がいないから最近は家でユーチューブばかり見てしまう、と嘆いていた。
数年前の時点では、彼は僕にとってあこがれの存在だったし、そんな彼が遊ぶ友達もいないと嘆く日がくるとは夢にも思っていなかった。
そしてもちろん、彼から見て僕が充実しているように見える日がくるとも思っていなかった。
 
どうしてそんなことになったのだろう?
 
僕が妻と出会ったのは、実はあるスマホアプリを通じてだった。
普段人と話す機会が少ない僕は、それでもだれか話の合う人と知り合いたい、そんな思いでそのアプリに自分の好きなものについて書き連ねていた。
そんな僕の投稿を見て興味を持ってくれた彼女が、メッセージをくれたのだ。
彼女のプロフィールを読んですぐに、この人とはたくさん話すことがありそうだな、もっとこの人のことを知りたいな、そんな風に感じた。
 
会ってからはすぐだった。
お互いこんなことが好きなんだろうな、こんなことを考えている人なんだろうな、というのが会う前から何となくわかっていたから、話すことは尽きないしそのどれもが共感できる、けれども自分にはない考え方に富んでいて。
この人しかいない、と思うまでに半年もかからなかった。
 
結婚してからも、日々ふたりの関係をアップデートしながら生活をしている。
最近、妻の勧めでブログへの投稿をはじめた。
普段なかなか人に話すことのない、僕の考えを発信してみると、それに反応してくれる人がちらほら出はじめた。
相手もブログを書いている人だから、その投稿を見に行ってみるととても共感できることが書いてある。
そうして会ったことはないけれど、日々意見交換のできる友人が少しずつ増えはじめた。
ここ数週間のトピックとしては、僕が最初に書いたテーマにみんなが便乗して、同じテーマでそれぞれの思いを投稿する、なんて遊びも生まれたりしている。
 
さらに、そうした投稿を大学時代の友人に送ってみたところ、「一緒に何かやろう!」と反応してくれて、いまちょっとした企画も動かしている。
同じ研究室だからという理由で仲良くしていただけの学生時代では考えられなかったことだと思う。
 
きっとそのどれもが、僕が人付き合いが上手く、人見知りとは程遠い性格だったら起こりえなかった出会いだと思う。
身近にいるカワイイ子を楽しませることができれば価値観など関係なく結婚していたかもしれないし、わざわざネット上に自分のことを書くなんてこともなかっただろう。
なんとなく気の合う人とつるんで、気づいたらひとりになっていた、なんてことも考えられる。
 
いまはインターネットに投稿すれば、たくさんの人が見てくれる時代だ。
その中のたったひとりでも、本気で共感してくれる人がいれば、その人とは生涯の友になれるんじゃないか。
自らの考えを発信する必然性のある人が、最強のコミュニケーション能力をもつ人なのかもしれない。
そして僕にとっては人見知りこそが、発信するための必然性だったのだ。

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2018-07-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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