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メディアグランプリ

「届かなかった手紙を書けるのなら、何を書くだろう?」


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:ジル鹿島(ライティング・ゼミ朝コース)

最近は紙の手紙をほとんど書かない。最後にまともに書いたのさえ記憶にない。
何かの用向きがあるのならともかく、普段からメールよりも手書きの手紙を多く書く人は、そういないだろう。

よく、「思いを伝える手書きの手紙の効果」なる特集がネットにもある。もし効果があるとしたら、手書きの手紙は、印字したものやメールより価値があることになる。果たして本当だろうか?

もともと私は筆不精だ。年賀状も面倒なので、やりとりが確実な人以外へは、ほとんど書かない。いや、そもそも年賀状はグリーティングカードの一種であって手紙とは言い難いか? 

初めてまともに書いた手紙は、中学生の時に書いたラブレターだった。内容までは覚えていない。そりゃそうだ。気に入って欲しくて必死に書いても、相手にとっては手紙の内容なんかより実物の良し悪しが判断材料だ。一生懸命書いたつもりだったが、全く効果はなかった。

書くという機会がまったく無かったわけではない。レポートに卒論、いろいろあったが、手紙を書く機会は少なく、とうとう大人になって社会にでても、まともに手紙を書くことが少なかった。

一度だけ筆まめになった時期があった。青年海外協力隊で東アフリカの国に赴任になったときだ。私の赴任地は首都から乗り継いで2~3日の行程の奥地であった。当時はネットやSNSなどない。そもそも電気も水道もなかった。書く行為は全て手書きだった。昼間は出かけることが多いため、書く時間帯は夜、ランプの灯りだけがたよりだった。

私は「友達は?」と聞かれると「友達の定義は?」とか聞き直すタイプの人間である。ゆえに、人間嫌いではないにしろ友達は決して多くはなかった。そんな私でもアフリカ赴任時には、いろんな方々から手紙をもらった。家族や恩師、旧職場の元同僚、同じ道場の門下生、他の国に赴任した同期の協力隊員。そして好きだった人。自分にも、これだけ応援してくれる人がいることに驚いたりもした。そして、ありがたかった。

日本語を全く話さない日々、日本語に触れることが出来る手紙は最も嬉しいものの一つだった。内容も多岐にわたっており、お互いの近況報告、人生相談、読書感想文、仕事の悩み等々。

ただ残念なことに手紙を出してから戻ってくるまでには、早くても半月ぐらいかかる。タイミングがずれて返事を書く機会を逸することも多かった。好きだった人から結婚を決めた手紙をもらった時、気の利いた返事は書けなかった。いつも私を応援してくれていた祖母が亡くなった報せをもらったのは1か月も後だった。

それでも、書ける時は真心を込めて書いた。何度も書き直したりもした。既に死んでしまった人にも書いたこともある。いつでも相手の事をおもって、相手に喜んでもらいたくて書いた。「書くことはサービス」って難しいことだが、実はその時分は出来ていたのかしれない。むろん対象は、不特定多数ではなく、手紙毎の届け先1名、もしくは数名限定ではあったが・・・・・・。

帰国した直後、PCのソフトが出て時代が変わっていた。あれ以来、紙の手紙は、ほとんど書いていない。もう紙の手紙を書く機会なんて滅多におとずれない。手紙って大事な人に大事な思いを伝えるときに書くのだろうか? それならば、最後に家族ぐらいには感謝を伝えたい。遺書だって悪くないかもしれない。

そして、もしあの時に戻れるなら、加筆したいことがある。自然の雄大さは、とても言葉や手紙で伝えきれないと思い、手を抜いた。書かなかった。もう会えない好きだった人や、祖母に書いてあげればよかった。自己満足の感動でも、その人が喜ぶように言葉を選んで、サービス満点にして、書けばよかった。

今ならこう伝えるだろう。例えばスコール。
「雨季が始まり雲の通るところを雨が通ります。あたりまえだと思わないでください。スコールが来ると、雲の一つ一つが大雨を引き連れて大地を潤して移動していきます。雨の臭いがすると用心深くなります。まだ道は削られていません。50m先が大雨で、こっちが晴れていたりもします。私は立ち止まって雲が通りすぎるのを待ちます。そして巨大な虹がかかります。まるでおとぎ話のようです」

例えば満天の星。
「ここは標高1700mの平坦な大地です。200km四方に電気はありません。特に乾季で空気の澄んだ新月の夜、満天の星空は圧巻です。とにかく夜空の黒い部分より、星の青く光る面積の方が多いのです。天の川をミルキーウェイと呼ぶ意味を初めて理解しました。とにかく星が多すぎで星座がよく判りません。でも、さそり座は別格です。ここは赤道に近いためサソリが真上にいます。天の川を泳ぐ青白いサソリの中に際立つ赤いアンタレスの美しさ。あなたにも見せてあげたいです。近所の人から、星を見上げている様がよほどおかしく見えるらしく、よく笑われます」

表現は違えども、その人が一番よろこびそうなことを。一字ずつ丁寧に。

手書きの手紙は、届ける相手へのオーダーメイドの唯一無二のコンテンツなのかもしれない。目的が違うため電子媒体に勝るとまでは言えないが、手紙がいまでも人の心をとらえて離さない理由が判るような気がする。どんな便利な未来が来ても、これらかも大事にされていって欲しいと思う。

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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2018-07-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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