メディアグランプリ

かっこ悪いことを素直に認める人は、素直にかっこいい!!


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:藤牧誠(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 

「お母さん、お兄ちゃんが習っているスイミングやりたいんでけど」
子どものころ、兄や友だちが習い事をしているために遊べなくなることがある。
一緒に遊ぶ友達がいないと時間を持て余す。そんな自分にとって都合の良いことは、習い事に兄や友だちと一緒に行くことである、と子供心に単純に考えていた。

「一生懸命にがんばってきなさいね」
「うん、ありがとう」

しかし現実はちがっていた。兄や友だちが泳いでいる姿をみて羨ましく、かっこよく見えていた。
いざ習い事をしてみると、あまり楽しくなかった。始めはだれも知っている友だちがいないし、緊張してたり、何をやってもうまくいかないし、同じグループの子どもたちは、慣れた様子で行動をしていた。それは、整列したり、ビート板を持ってきたり、プールに入水してバタ足の練習をしたりと。
始めて習う泳ぎは背泳ぎである。
バタ足や息継ぎもろくに出来ない私が、背泳ぎなんて出来ないと勝手に決めつける。いや無理だ。しかし、コーチが仰向けにして水中に浮かべた頭を持って一人ひとり導いていく。怖さがあり思うようにコーチにカラダを預けることが出来ないし、どうしても水が鼻から入りうまく泳げない。苦しいし、鼻が痛いし、コーチが怖いし信用できないし。
4回目には昇級テストがある。正直早く背泳ぎから脱出し、となりのコースで平泳ぎやクロールをかっこよく泳いでいる友だちの姿が羨ましかった。「はやくあっちに行きたい」と思っていた。順番が来た。最初の出だしから鼻に水が入りつまづいた。
10メール付近で苦しくなり限界を感じる。「もう、どうでもいいや」
コースロープに片手をわざとぶつけて泳ぎをやめる。本当はもう少し頑張れたが泳いでいて楽しくない、苦しい、鼻が痛い。
昇級テストは当然不合格である。
もう一度はじめからやり直すのはかっこ悪いし、みんなは次に進めるので置いていかれた挫折感を感じる。「もういきたくない」
母は怒りながらでも、仕方ないと思い辞めさせてくれた。

習字の時も、サッカーの時も、少年野球の時も、スイミングと同じくかっこよい、友達がやってるからと母にお願いする。しかし母も判っており、「あなたは続けられないから月謝の無駄」  それでも熱しやすい性格が災いして、どうにか説得するも、一ヶ月も持った試しがなかった。

そんな私も高校生になり、なにか部活をやりたかった。しかし続けられる自信がない。
高校生活はアルバイトをして、お金を貯め、好きなバイクを買って乗り回したいと考えていたが、入学と同時にラグビー部の先輩から部活の勧誘で声がかかる。「ラグビーやっていると、女性にもてるぞ」 と言われた。
入部してすぐ、それは嘘だとわかった。しかし、逃げられない、また逃げる勇気もない。
結局、高校生活の3年間ラグビーが中心となる。

高校1年生の時、練習の休憩のあいま、みんなでくつろいで話をしている時に、顧問の一人の先生が、「おまえには一つしっかりとした芯があるよな」 始めは何をこの先生は言っているのだ? 「はぁ」 と気の抜けた返事しかできなかった。
その言葉が私を変える「きっかけ」 になるとは思ってもいなかった。また、はじめて人から認められたかのような錯覚になり、恥ずかしいやら、うれしいやらで、なんとなくその場に居づらくなり、逃げ出したい気持ちがあり複雑。悪い気はしなかったことを今でも覚えている。
素直に嬉しい表現をする事は高校生男子としてはかっこ悪いと勘違いしていたのかも。この先、私の人生に幸か不幸か「しっかりとした芯がある」 という言葉に縛られてしまう。
熱しやすく冷めやすい性格の私は、辛抱強く続けることができる性格を1つ手に入れたのだ。
それから自分自身の中で何かが変わり、一つ一つのプレーに自信が持てるようになる。
そう、かっこいい先輩や選手は自分のプレーに自信をもちまた、ミスしても素直にそのミスを認め次の経験に生かしているのだ。ミスを認めないで人のせいにする選手もいるが、非常にかっこ悪いし、尊敬もできない。
いつしか自分もそんなミスを素直に認められるような人物になりたいと。
 

自分が悪いことはわかっている。しかし、それをまだ認めきれていない自分自信がいる。あの頃は素直に認めることが出来たのに、なぜ人はそのまま成長出来ないのだろう。
かっこ悪い自分をさらけ出してしまえば、いっそう、認めてしまえば楽になれるのだが、変なプライドが年月とともに染みついてしまい、なかなか取り払うことができない。
もう少し、もう少しと思いながら、一歩づつ失った自信を積み重ねて。
良い意味での「おまえには一つしっかりとした芯があるよな」 を履き違えたくない。今その分岐点に立っているのかもしれない。

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2018-07-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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