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プロフェッショナル・ゼミ

救急に三回も来た理由は便秘だった《プロフェッショナル・ゼミ》


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記事:大國義弘(プロフェッショナル・ゼミ)
 
Nさんとの出会いは、救急外来をやらせてもらっていた頃のことです。
お腹が苦しいといって、ある年の5月、夜間救急の外来に50代の男性Nさんがおいでになりました。
事の始まりは6週間前で、それは、お腹が張るという症状でした。
症状が始まって1週間経ってもよくならず、昼間の一般外来においでになったNさんに下された診断は便秘。
治療として、緩下剤を処方され、お帰りになりました。
しかし下剤を服用しても、よくならない、ということで翌日、救急外来を受診されました。
この時は浣腸をしてもらい、別の下剤を処方されて、ご帰宅。
しかし便が出てもお腹がすっきりせず、じきに腹が張って苦しくなる。
我慢していると治るが、時間が経つとまた同じ症状が出てくる、ということの繰り返しで、夜になると不安になり、2週間後にまた救急外来においでになりました。
この時も5週間前の、第一回目の救急外来の時と同様、便の出が悪いと判断され、今度は浣腸剤を処方されて帰宅。
しかし、その後も依然として腹満感の出没が続きました。
そんな日々が更に3週間続いたある夜、前日の夕方からの腹満感が、まる一日経ってもよくならないということで、救急外来にお越しになりました。
この症状では三回目の救急受診で、私はこの時初めてお目にかかりました。
 
この日、Nさんはご自分で運転してきたものの、あまりにもお腹が苦しくて、外来では坐っていることが出来ず、長椅子で横になって診察を待っておいででした。
Nさんの順番が来て、診察を始めました。
問診で経過をお聞きして、それまでの救急外来の先生たちと同じく、苦しいのは便秘のせいに違いはなさそうだと思えました。
そこで、次のようにお話ししました。
便秘で度々救急においでのようです。
苦しいのが便秘のせいなら、玄米がお勧めです。
するとすでに、普段から玄米を食べています、とおっしゃいます。
 
私が知っている便秘の治し方は三つ。
運動、食事、そしてお腹のマッサージです。
運動と言っても、思い立って、急にマラソンなどを始めるのは、体力に自信の無い方、持病のある方は危険です。
早足で一定時間、歩くだけで十分ですし、その方が安全です。
食事では、とりわけ玄米が繊維にも富んでおり、誰にもですが、便秘の方には特にお勧めです。
多くの方の便秘が、食事を玄米にすることで、改善しました。
中には、長年使っていた下剤が要らなくなったという方すらおられます。
玄米の利点はこれに留まりません。
野菜が不足していたに違いない江戸時代、江戸ではお米を白米にして食べるのが流行り、玄米を白米に精製する過程で失われる米糠に含まれるビタミンB1不足から脚気となって亡くなる方が大勢おりました。
江戸を離れると玄米が復活し、脚気はよくなることから、当時、脚気は江戸患いと呼ばれていました。
このような玄米の重要性をご存知のNさんは、私に言われる前から玄米は食べていたというのです。
食事が玄米で、具合が悪くなるはずはありません、とお話しすると、そうかと納得されたそうです。
病気の三大原因、逆に言えば、健康保持の要は、食事、運動、ストレス対策かも知れません。
ストレスは、どうですか、とお尋ねすると、思い当たることはあるとのことでした。
 
聞けば、Nさんは前年の6-7月頃から、資材置き場として借りている土地の持ち主の弁護士から立ち退きを要請されていました。
そして12月一杯で出る、という約束になりました。
けれど、移転先の場所が見つからず、1月になってしまい、何とかしないといけないと思っていた矢先の1月15日、雪で転倒し背中を強打。
その後遺症で左肩が上がらなくなり、2月になっても身体が思うように動かず、3月になっても移転先が見つからない、という二重苦の状態になりました。
思えば随分寛容な地主です。
12月一杯のはずが3月にはいっても、目途が立たず、ですから。
でもNさんにしてみれば、地主が寛容であればなおさら、早く見つけなくちゃ、という焦りが募ります。
そんなストレスが積もり積もった4月2日頃から腹の具合がおかしくなりました。
そこで昼間の一般外来を受診されることとなり、その後も前述のとおり二回も救急においでになり、それでもよくならないどころか、ますますひどくなって我慢できず、三回目の救急外来受診となったわけです。
今から振り返れば、Nさんは焦りのせいで、交感神経が緊張して、腸が動かなくなったのかも知れません。
 
人間は、戦うか逃げるか、など危急存亡のとき、追い詰められたとき、交感神経は緊張し、戦いの準備のため、血液は筋肉に流れ込み、のんびりと食べ物の消化吸収なんぞをしている場合ではなく、交感神経が圧倒的に優位となり、副交感神経がその働きを司る腸の動きは止まります。
いくら食べ物がよかろうとも、そんな日々が毎日続けば、便秘にならない方が不思議です。
 
Nさんには、これはストレスによる症状と思うのでストレス対策について書いた”読むクスリ”と名付けたマニュアルがあるから、それを読んで下さい、読み終わったら看護師に声を掛けて下さいとお願いして、そのマニュアルをお渡ししました。
普段、昼間の外来で、ストレス対策が必要と思う患者さんにお渡ししているマニュアルです。
救急外来でお渡ししたのはNさんが初めてでした。
私が別の患者さんを診察しているあいだ、Nさんにこのマニュアルを読んで頂くことにしました。
そのA4で六ページのマニュアルには、おおよそ次のようなことが書いてあります。
 
あなたの症状の原因がストレスなら、ひたすら、ありがとうございます、と唱えるとストレスが消えるないし軽くなり、症状もよくなることがある。
ストレスが原因で症状が出ているなら、原因無くして、結果無し。
原因であるストレスが消えれば、結果である症状も消える。
ありがとうございます、という言葉が、いはば毒消しとなり、ストレス軽減につながる。
ひたすら繰り返し、この言葉をお経のように言い続けると、有り難いという気持ちが生まれ、免疫力が上がり、症状はよくなる。
有り難いと思う必要は無い。
形だけ、言うだけでよい。
ただし言う回数が大事です。ひたすら唱え続けて下さい……。
 
Nさんが読み終わったと看護師が教えてくれたので、再度、Nさんを診察室に呼び入れて面談。
よく分かった、ひたすら唱えてみますと言って下さいました。
初対面で、宗教のような怪しげなことを言う医者だ、といぶかしがられても不思議ではない場面でした。
しかし私には幸運な理由がありました。
Nさんの中では玄米はかなり重要な地位を占めていました。
玄米を勧める医者はそう多くはありません。
つまり玄米を勧める珍しい医者だ、というのがNさんの私に対する好印象となったようでした。
そしてこれが、Nさんがこの怪しげな”治療法”を信じてくれた大きな要因だったのかも知れません。
後日、Nさんから伺いました。
「“読むクスリ”を救急外来で受け取り、待合室で読みました。
なるほど、と思い、帰りの車の中で、ひたすら自宅までの30分くらいの間、ありがとうございます、と唱え続けました。
自宅に着く頃には、かなり楽になっていました。
翌日もひたすら、朝から晩まで言い続け、益々楽になりました。
その後は、腹は全く元通りの元気な状態に戻りました。
下剤は使っておらず、もちろんその後の救急受診もありません」
さらに日にちを置いて、Nさんにお尋ねすると、次のように教えてくれました。
「今でも調子はいいです。今は益々どんどん元気になっています。基本的に玄米菜食で、体はバッチリです」
「ありがとう」は言っていますか、とお尋ねすると、
「言わなくても、今は大丈夫です。でもたまに気付いたとき、例えば、これからイヤな人に会いに行き話をする、とかいう時には、前もって、車の中で言っています。
マイナスをプラスに変えたい時に言っていると、うまい方向に行きます。
自分はマイナスが多かったけれど、それらを「ありがとう」でプラスに変えています。
失敗してはいけない時とか、何かをうまくいかせようというとき、また、自分はメンタルが弱い部分があるので、それを上げるために、それを反転させるために、言っています。
苦しくなると、マイナス思考になってしまいますから。
こういうプラスの言葉を言い続けていると、力が沸きます。
5分とか10分、言っていると、すぐに勇気が湧いてきます。
逆にこのような気持ちの切替えが出来ないと落ち込みます。
夏の暑さにも耐えやすくなりました」
最後の、夏の暑さにも耐えやすくなった、の意味が分からず、お尋ねすると、暑くない、暑くないというと暑くなくなるというのです。
人間の脳はNoを理解出来ない。
ダジャレではありませんが、脳はノウを理解出来ず、全てをイエスと受け止めるのだとか。
つまり暑くないと言えば、”暑くない”の”ない”の部分は欠落し、脳はそこを理解出来ず、”暑く”だけ理解して、暑いというイメージしか、普通なら湧かない。
梅干しについて考えるな、と言おうが梅干しが思い浮かぶ、というのと同じです。
でもNさんの場合、この原則は当てはまらないようで、暑くない、暑くない、と言っていると、普通なら脳はNoを、脳は否定形を理解出来ないことから、暑くなるはずが、Nさんは暑くなくなると言うのでした。
 
Nさんは更に続けて教えて下さいました。
 
斎藤一人さんもプラスの言葉を天国言葉と呼んで教えている。
(斎藤一人さんとは、知る人ぞ知る億万長者です)
言霊だ。
そういうプラスの言葉を言っていると、引き寄せの法則でいいことが引き寄せられるし、運気向上になる。
大丈夫、大丈夫と言っていると大丈夫になるのと同じだ。
地球は丸いから、どの方向に言っても、自分に返ってくる。
逆もしかりだ。
針を出せば、その針は千倍になって還ってくる。
どんな種を蒔いても、刈り取るのは自分だ。
いい種を蒔けば、いいものを収穫出来る。
因果の法則だ。
自分は一人さんの本を読んで知ってはいたけれど、実践はしていなかった。
実践したお陰で楽になった。
 
Nさんは、ありがとうございます、と唱えていると、ありがたいと言いたくなるような出来事が引き寄せられる、ということをご承知のようでした。
便秘で苦しんだお陰で、実践する機会を得て、素直に実践した結果、Nさんは健康を取り戻しました。
かくして、日々、予防医学を実践しておられるかのようなNさんは、今日もめちゃくちゃ、お元気です。
 
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