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私はゼッケン44のオバサン


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【12月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:中沢真弓(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
人生の、半分以上を「オバサン」として生きる。
この事実に気が付いてしまった時の、絶望たるや……。
 
きっかけは、長男の学園祭。
男子校である彼の高校には、
着飾ったJKがたくさん訪れる。
まさに、需要と供給の合致。
模擬店の呼び込みで、
容易にJKに近付ける。
「ほら、行けよ」と友達に押された子が、
タイミングを誤り、私の目の前にやって来た。
「オバサンに行ってどうする!」
 
……「オバサン」?
もちろん私のことに違いなかった。
分かっていますよ、
私は君たちの母親の年齢だ。
分かってはいるけども……。
フラフラと、グラウンドのベンチに座り込んだ。
自分は「オバサン」だと分かっている。
分かっていながらも、ショックを受けた、この事実。
 
確かに、見た目もオバサンですよ。
ゆるゆるゴムのスカートに、
ゆるゆるのTシャツ姿。
鏡に顔をうつしてみれば、
シミ・しわ・たるみ……。
髪には白髪が混じっている。
「そりゃそうだ。オバサンに違いない」
しかし誰かに言われてみると、ショックが大きい……。
 
家に帰り、中3男子の次男に聞いた。
「オバサンってさ、何歳から?」
「え? ……38歳?」
「ほお……」意外にも上の年齢。
「じゃあ、32歳は?」
「32歳はオバサンじゃない」
「ほお……」
後日、この質問になぜか興味を持った次男が、クラスの男子に聞いてくれた。
結果は概ね「オバサンは40歳手前から」
さらに、アイドルオタクは「20代後半からがオバサン」と答えた、との報告だった。
ありがとう次男、君は優秀な助手だ。
 
「ワトソン君!」
「あ?」
「日本女性の平均寿命は87歳。40歳手前でオバサンならば、女性は人生の半分以上をオバサンとして生きる……そういうことだね」
「そうだね、オバサン」
 
「ワトソン君!」
「あ? これなんの遊び?」
「人生って……残酷だと思わないかい?」
「知るか、ババア」
 
使いやがったな、「オバサン」の侮辱上位形。
今晩の飯に何が出るか、楽しみにして待っていろ。
 
私の現在の年齢は44歳。
次男の調査からすれば、
立派に「オバサン」の年齢だ。
私の胸元のゼッケンは「オバサン」
そして平均寿命の折り返し地点。
あと半分を、全部「オバサン」として生きるのか?
なんて残酷なんだ!
知らなかった!
気付かなかった!
これからどう生きればいいのか……。
「オバサン」として、楽しく生きられるだろうか。
 
「若く見られたい」
女性ならそう思うのではないだろうか。
需要があるから供給がある。
世の中には、様々な「アンチエイジング」がある。
シミのレーザー治療。
保湿・美白美容液。
プラセンタ注射。
整形手術……。
美魔女の「特別なことはしていません!」は信じない。
「オバサン」が「美を保つ」のは魔法の領域なのだ。
だから美魔女は「魔女」なのだ。
錬金術を用いて、美に金をかけているはずだ。
 
「結局、金がものをいうのか?」
グレたオバサンが、ここにひとり……。
 
でも、どうしてこうも老いることが嫌なのか。
年を取っても素晴らしくカッコイイ人はいるではないか。
 
金はない。
金がないなら、知恵を使え!
知識の宝庫、本屋に駆け込む。
医学、生物学、心理学、タレント本……。
あらゆる本に手をつけた。
目に留まった言葉がある。
「年齢はただの数字」
「恋は最高の美容液」
「知識と経験を蓄積する年の取り方」
我ながら、「若さ」に対する執着がすごい。
あるがまま、自然体で生きる道を選ぶには、
まだまだ何かが未熟のようだ。
 
「ワトソン君!」
「何?」
おや、もう素直になっているね。
あの晩の嫌がらせ、玉ねぎたっぷりの酢豚が効いたようだ。
「若いとは何歳までだね?」
「えー28?」
「ありがとう! ワトソン君。これが君への最後の質問になりそうだよ」
「頼むからそうして」
 
私はゼッケン「44歳のオバサン」だ。
このゼッケンを「28歳16年目のお姉さん」に書き換える。
 
ゼッケンは、つまりレッテルだ。
自分に貼ったレッテルを、
自分で書き換える。
「思い込み」の力を利用するのだ。
ただのビタミン剤も、効くと言われて飲めば、病気を治すことがある。
その力を使うのだ。
28歳も16年目ともなれば、
年期の入った28だ。
いいじゃないか、「年期の入った28」
自分はまだ28だと思い込むのだ。
鏡を見て、「私は28、28」とつぶやく。
高い美容液は買えないけれど、
そこは「恋の力」でカバーする。
そうか! 古くは冬ソナのぺ・ヨンジュン、
今ならフィギュアスケートの羽生くん。
失礼ながらファンには「オバサン」がたくさんいる。
彼女たちの真似をして、
私もカッコイイ男性に夢中になればいい。
だって彼女たちは「乙女」の顔をしているもの。
 
今の私は44歳。
28歳16年目。
今はまだ「若さ」にこだわっているけれど、
いつか、この先の通過点で、
また考えを改める時が来るかもしれない。
あるがままに、自然に、抗うことなく……。
その時はまたゼッケンを書き直す。
「年齢はただの数字よ」

 
 
***

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2018-11-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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