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復興支援員の私が、ホリエモンに救われるとは


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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佐野利恵(ライティングゼミ・平日コース)
 
東日本大震災で働き始めて、4年になる。
 
今まで色々な人に言われた。
「なんで地方にいるの?もったいない」
 
確かにそうかもしれない、と思う。
 
なんていったら被災地の人に大変申し訳ないので「そういう意味ではありません」と先に言っておくが……
私は一応、県内一の進学校に行き、何度か一番を取り
東京の有名大学に行って、国際機関でインターンを繰り返したのち、アメリカで修士号までとった。
 
その私が、20代の後半を
東北の沿岸で、仮設住まいの支援員生活、に費やしている。
正確には、支援員団体の広報をしている。
同級生は皆、医者か弁護士か大手企業の商社マンだ。
 
 
「地球を一周回って、人の為に尽くしたくなった意識高い系なんでしょう」
「社会的地位なんて関係ないぜ、なんて思っているんでしょう」
 
暗にそう言われたこともある。
しかし、そうではない。
 
正直に言うと、私も今の状況にコンプレックスがないわけではない。
「復興支援員をやっています」というと
皆「へぇ、すごいね!」とは言うが、その後に続く言葉は「私には出来ない」。
すごいね! と言われて「へへ、まあね」と笑って答えるけれど
そこには、ひとさじ……いや、ふたさじ、みさじくらいの恥ずかしさや焦りのようなざらついた感情が残る。
 
復興支援員は2020年度で制度自体が終わってしまうから、そこから先のキャリアも決まっていない。
「ここでの経験があれば、どんな国際機関でも認められるからね。それだけ価値のある経験なの」
なんて、ここにいる理由を他人には説明する。
その言葉に嘘はないが、不安なものは不安である。
 
将来どうなるんだろう。
この先、周りに誇れるような職につけるのだろうか。
 
 
そんな不安に駆られていた先日、私の心を救ってくれた人がいた。
ホリエモンだ。
 
ホリエモンとは、皆さんもご存知の堀江貴文氏。
「元ライブドアのCEOであり、刑務所を経験し、出所してからは様々な事業を始めて成功している人」
そんな、ばっふりとしたイメージしかなかったのだが、そのホリエモンが書いた本を
ある日ひょんなことから手に取った。
 
そうして、私は軽く頭をたたかれたような
頭に乗っていた重石をはたき落とされたような感覚を覚えた。
 
ホリエモンの本やメルマガなどを読みこんだ人もいるだろうから
「ホリエモンビギナー」の私が、彼の主張はこうだ、とか書くことは憚(はばから)れる。
まあ、私なりにまとめれば、こういうことだろう。
 
一、仕事は浅く広く、やりたいことだけをやれ
二、他人の評価に惑わされるな
三、クリエイティブなことに全力をそそげ
 
それが「これからの成功者の条件である」と現代日本社会では屈指の「成功者」が言っている。
そりゃあ、(ある意味、勝手に)社会のヒエラルキーを自らに課してきた一支援員にとっては
それはもう希望が湧いたのである。
だって、これらのことが
今の復興支援員たちにあてはまるからだ。
 
 
 
ここで、復興支援員の仕事内容を少し説明しよう。
地域によって違いはあるので、以下は私の所属する団体の活動内容だ。
 
ある人は毎日、仮設住宅や災害公営住宅に通って、そこで自治会をつくるための話合いを仲介している。
ある人は毎日、漁港で漁師さんと最近の海事情を談義しながら、市の「担い手育成・定着事業」への協力を促している。
ある人は毎日、市の商業観光課や地域の観光業者に掛け合って「サステナブル・ツーリズム」なるものを確立しようとしている。
ある人は毎日、市の震災検証室にいって、震災の記録誌や防災市民憲章の作成のため膨大なデータ整理に勤(いそ)しんでいる。
ある人は毎日、森林組合に机を置き、林業の将来を憂う組合の参事が企画した林業スクールの事務局を担っている。
 
こういった活動を、ほとんどの支援員が前職を投げ打って、中には給料を3分の1に以下に減らし、
家族を遠方に置いてまで活動しているのだ。
 
……どうだろうか。
貴方も今、思わなかっただろうか。
「凄い。とても尊い活動だ。私にはできないけれど」
 
災害公営住宅で自治会が出来たからといって、その人にお金が入るわけではない。
浜に新人漁師が増えたからって、その人は船がもらえるわけではない。
「サステナブル・ツーリズム」が確立されるのだって、何十年後になるのか分からない。
一生懸命つくった震災記録誌を、民間企業に売れるわけではない。
林業スクールも、外部企業の支援金が底をつけば終わってしまう。
 
そしてこれらの活動は、2020以降のその人たちの職を保証するわけではない。
 
保証するわけではない、と思っていた。
 
 
だが、ここで上に書いたホリエモンの言っていることに当てはめるとどうだろうか。
 
その人たちは皆、自らの意思で被災地に赴き、そして自らの仕事を志願した。首都圏などでの安定した職をなげうってまで。
どれも始めて数年という「浅さ」だが、活動範囲はとてつもなく広い。
 
例えば自治会づくり。
自治会をつくるには、住民はもちろん市も社会福祉協議会もNPOも巻き込むコーディネーターにならないといけない。
住民同士の親睦を深めるために「仮設でお茶飲みサロン」「隣町までウォーキング」のようなイベントの企画屋にならないといけない。
引きこもりがちな住民を訪れ、話を丁寧に聞く傾聴カウンセラーのような役割もする。
被災地の現状も、また支援員のストーリーもメディアが大好きなネタなのでしばしば新聞やTVに取り上げられて、取材への対応力もつく。
やたら総務省、復興庁といった偉い人たちが視察に来るから、プレゼン能力も身についていく。
 
「サステナブル・ツーリズム」の確立を目指す人は
観光ビジョンなるものを行政と一緒に考えるコンサルタントになる。
それを分かりやすく地域のお母さんたちに伝える翻訳者にもなる。
観光プログラムを提供するNPOなんかと一緒に、まちを盛り上げるイベントを企画するプレイヤーにもなる。
それを売らないといけないから、ツーリズム市場を調査して経営感覚も磨く。
インバウンド対策はもちろん、被災地は外国の行政職員の視察も多いから英語力や国際感覚も向上する。
上記と同じ理由で、メディア対応力やプレゼン能力も身につく。
 
 
他人の評価を気にしていては、被災地に来る覚悟を決められなかっただろう。
 
そうして得たこれらの仕事は、どれも前例がないものだからマニュアルもない。上司の指示もない。
彼らが彼らの目でみて、感じたことを頼りに作り上げた仕事であり、
極めてクリエイティブではないだろうか。
 
 
これを書いている私も
メディア対応力、取材・執筆力、お偉いさんたちへのプレゼン力、傾聴力、マネジメント力、事務や経理などのバックオフィス能力、……得たものを数えればそれなりだ。
どれも、大手企業に雇われるためには経験値が足りないかもしれないけれど
なにより、今日本にいる28歳では一番
どうやってまちが動き、どういう人たちがまちづくりを支え、どんな課題を持っているか
を詳しく知っているのではないか、と思っている。
 
 
今、私はこう思っている。
 
これからの社会は益々不確かだ。ホリエモンもそう言っていた。
 
だから、被災地の「復興」という不確かな世界で生き抜いてきた支援員たちが、これからはきっと
社会の先頭に立てるのではないか。
 
被災地で磨いたのは、浅くともあらゆる仕事をこなす器用さと、
お金より大切なものがあるんだ! と言い続ける根性、
そして、自分よりも他の為に生きる覚悟だ。
 
これらはきっと、これからの日本を生き抜く強い強い武器になる。
 
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2018-11-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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