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メディアグランプリ

お母さんはなぜごはんをつくり続けてくれるの?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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ゆきもと みちこ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
「え、お母さんがあんなに美味しいごはんつくってくれてたの、全部子供の成長のためだと思ってた……」
26歳になった私。母が結婚したのと同じ年になって、初めて母の気持ちを知りました。母はふふっと笑うのです。
「子供のためだけじゃ、なかったのよ」
 
母は岡山で生まれ育ちました。高校時代は数学が得意で、とにかく頑張り屋。塾なんてない環境でしたから、毎日学校が終わると机に向かって、教科書をめくってコツコツと勉強したそうです。大学を卒業して、働いて、結婚を機に東京に出てきました。そうして時が流れて、私は4人目の子供です。
 
私が保育園の頃になると記憶があるのですが、食事は全て無農薬・無添加でした。生協という、農家と直接契約して食材を販売するお店に買いに行っていたのです。
まあ、中々ユニークな食生活でした。いつだったか、友達が家に遊びに来てくれた時でした。母が「おやつはポテトチップスよー」と言って、私に生協のお菓子を渡しました。
 
青色のパッケージに、デカデカと『無添加・減塩ポテトチップス』。
 
大抵、スナック菓子のパッケージは食欲増加させる赤色なんですよね。マーケターがイチミリも手を出さないと商品はこうなるんだ! ってびっくりです。友達と無言でポリポリとチップスを食べたのを覚えています。健康的でなんとも面白味のない食事に囲まれて、私は病気ひとつなくすくすく育ちました。
 
私が小学生になると、いつの間にか母の料理へのこだわりは素人の域を超えました。お吸い物のダシは鰹節から削りました。プラムケーキはタルト生地から手づくりでした。カニクリームコロッケ、3段おせち、スパイスから調合したカレー……。もともと生協は質の良い素材を扱っていますから、母がこだわるほど、ほっぺたがとろけて落ちるんじゃないかってくらい美味しくなりました。かくして、私は小学校高学年になるとぷくっと10kgほど太りました。

中学生になると、料理に毎日2時間以上かける母を見て、「お母さんは子供に人生を捧げているみたい」と思うようになりました。ありがたいことではあるのですが、部活に勉強に、と外に気持ちが向き始めた自分からすると、お母さんの毎日は楽しくないように見えていました。私は少しでも母が嬉しいようにと、絶対に「美味しいね」と言うようにしていました。そうしたら母はにこっと笑うので、ほっとしていたものでした。
 
そんな私が26歳になった今、母は真実を明かすのです。
「私の料理はね、好奇心だったのよ。
料理を実際に自分でつくったらどうなるのか知りたかったの。科学実験みたいで楽しかったよ」
私は今まで知らなかった母を知って、ドキドキしました。もっと気持ちを聞きたいと、母にまっすぐ体を向けました。
「みちこが生まれるまではそんなに無添加にこだわっていなかったね。保育園で、子供に美味しいご飯を食べさせるべきっていうお母さんが多くてね。好奇心が強いってことはミーハーでもあるから、影響されたのよね」
母はふふっと笑います。
「その頃には、料理本のレシピをみれば、どれが美味しくないか分かるようになったな。鰹節もね、削るのが難しくて、どうやったらうまくできるのかって色々工夫してたのよ。あとは、家族の気持ちへの好奇心かな。みちこはこの料理が好きよね、とか、お父さんにはヘルシーなものを、とか。自分が好きなものだけつくった夜もあったな。色々、新しい料理を考えていたわね」
 
ふと、台所で疲れた顔をしていた母が思い浮かび、思わず質問しました。
「でも、お母さんは料理をして、いつも楽しそうだったわけではなかったよね。つくるものがないし、もうお弁当つくりたくないー! と言ってたのは? 」
「レパートリーがなくなると、つまらなかったの。新しい実験が欲しかったの」
 
私は拍子抜けしました。母は子供のためだけに毎日料理しているのだと思っていました。でも実際は、母は好奇心を持ってしっかり楽しんでいたのです。私はちょっと恥ずかしい勘違いをしていたようです。
 

自分の母はたまたま料理する時間があったので手作りでしたが、最近は共働きが多くて、忙しくて作れないひともたくさんいますよね。でも、実は何を食べるか、ライフスタイルや周りの人に合わせてしっかり選択していますよね。「夫がこの料理好きなのよね」だったり、「私そもそも食事に興味ないからなんでもいいや」だったり、「二日酔いだから味噌汁だけでいい」だったり。毎日の食事は家族の気持ちを映し出しています。だから買ってきた総菜だろうが、昨日の残り物だろうが、自信をもって食卓に出したらいいのだと思います。
 
これが私の好奇心です、と。
 
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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2018-11-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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