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週刊READING LIFE Vol.32

人生の計画を立てられないわたしはサーファーを目指してみる《週刊READING LIFE Vol.32「人生の計画を立てる」》


記事:藤原華緒(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 

《人生の計画を立てる》
 
最初にこのお題を見たとき、わたしはためいきしか出てこなかった。
 
わたしは、これにどう向き合うのか?
改めてこのテーマを書くためにこの先の自分の「人生の計画」とやらを立ててみるんだろうか?
 
いろいろ考えたけれど、違う……。
 
実は、わたしは人生の計画どころか年始に立てたその年の計画や意気込みですら思い通りになったことはいままでほとんどない。文章を書くことやメモを取ることは好きなので、毎年、年初に所感めいたことや目標、計画みたいなことを書いてみたりもする。でも、12月31日にそのかいたものを振り返ってみてみると、「え? 別人が書いたんじゃない?」と思えるほど違った1年を送っていたりするのだ。
 
そんな感じなので、これまで人生の計画なんてものはわたしの中にはほとんど存在しない。ましてや人生100年時代と言われている昨今。自分の先の計画なんて、とても立てられないし、そしてこの先も存在するイメージがほぼ、ない……。
 
その一方で、自分なりの目標と計画を立て、その通りに着実に人生の駒を進め、偉業を成し遂げる人もいる。
 
例えば、メジャーリーガーの大谷翔平選手。
目標達成シート(マンダラチャートともいう)という曼荼羅から発想を得たシートを使い、自分の最終目標を
達成するための方法や要素を細かく書き込んでいくという方法をとっていた。
 
彼の最終目標は「8球団からドラフト1位で指名される」こと。
凡人には到底及ばない領域ではあると思うのだけど、彼はこれを高校生の時に書いたと言われている。
そして、2012年度のドラフト会議では8球団の指名はなかたものの、北海道日本ハムファイターズに1位指名され、プロ野球選手となる。その後の活躍は、誰もが知っての通りだ。
 
大谷選手ほどの大物でなくても、きっと世の中には計画を立てその通りに人生を進めていく人っているんだろうと思う。そして、わたしのように計画なんて全然立てられず、仮に立てたとしても絶対にその通りには進まない人。なんとなく周りを見ていても、この2種類に分類されるような気がする。でも、きっとどちらがいいというわけでも、悪いわけでもないのだと思う。ただのタイプの違いだ。でも、わたしのように計画を立てられない人間は、どうしたものか?

 
 
 

ある友人にそのことを聞いてみたところ、こんな返答が返ってきた。
 
「え? 人生の計画? 今どき? そんなの意味ある? それよりも、サーフィンだよ、サーフィン」
 
彼が言うにはこんなことらしい。
いまは、とにかく時代の、そして世の中の流れが速い。だからそもそも計画立てたところで、状況が一変してしまうことが珍しくない。世の中の景況や災害など、自分でコントロールできないことはもちろん、自分を取り巻く人達の状況。その変化が自分の計画にも大きく影響してくるというのだ。
 
確かに、そうだ。
例えば自分が何かやりたいことがあって、それを「今年やろう!」と計画したとしても、家族が病気になり、突然自分のリソースがとられてしまうことは、ないとはいえない。それに加えて災害も多い昨今、明日突然、地震がきてしまい、計画が頓挫したり、「もう、それどころじゃない!」なんていう状況になっても、何ら不思議はない。
 
わたしたちはそんな時代に生きている。
 
だからこそ、その場の状況にその時々で応じる能力、つまり、どんな大きな波が襲って来ても、その波を上手に読んで、うまく波に乗るってしまうようなレベルの高いサーファーになるほうがいい、ということらしい。
 
確かにその友人は、問題解決能力と適応力がとても高い。
お世辞にも計画性があるとは言えないタイプだし、綿密に計画を立てて実行するタイプではない。
だけど、とにかくしなやかな柔軟性がある。そしてやりたいことはちゃんとあって、それに向けてちゃんと進んでいるのだ。まさに、プロの波乗り、人生のサーファーそのものだ。人の考えって、ちゃんと行動に出てくるものだ。

 
 
 

わたしはといえば、計画も立てられないけれど、いまだサーファーにもなり切れていない。わたしは何かあるとすぐネガティブになるし、予期せぬことが起こるといちいち反応してしまう。立ち直りは遅い方ではない。でも、波を感じるまでに少し時間がかかるし、どちらかというと、一度波にのまれていっぱい水を飲んでゲホゲホ言ってから、もう一度水から顔を出して起き上がるタイプだ。
でも、綿密に計画を立てる人になる、というよりはサーファーになることの方が自分の方向性としては近い気がする。世の中的には、「目標や計画は口に出していいなさい」、「細かく紙に書きだしなさい」などもよく言われることだ。でもわたしは、そういうこともざっくりとはできるけれど、細かくはできない。それよりも波乗りの練習をした方が、自分にあっている気がする。誰にでも向き不向きというものがあるように。
 
ひとまず、綿密ではないわたしは、これから人生の計画を立てる代わりに、人生の荒波を乗りこなせるプロサーファーを目指してみよう。
 
時々は「ゲホゲホ」となるまで、水を飲んでしまうこともあるかもしれない。
大きな波にのまれることもあるかもしれない。
でも、それでも日々、波乗りを意識していったら、少しずつでも上達していくんじゃないか?
 
そう思ったら、なんとなく大丈夫な気がしてくるし、計画なんて立てられなくてもよい気がしてくる。
 
いつかオーストラリアで見たような真っ青な空の下で、大きなウェーブをさっそうと乗りこなす自分をイメージしよう。そうやって今日も生きていこう。
 
それはきっと、この先のわたしの人生を楽しくしてくれるエッセンスや思考になっていくはずだから。

 
 
 

❏ライタープロフィール
藤原華緒(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

1974年生まれ。2018年より天狼院書店のライティング・ゼミを受講。20代の頃に雑誌ライターを経験しながらも自分の能力に限界を感じ挫折。現在は外資系企業にて会社員をしながら、もう一度「プロの物書き」になるべくチャレンジ中。
 


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2019-05-13 | Posted in 週刊READING LIFE Vol.32

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