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週刊READING LIFE Vol.41

私は変わるために自分の可能性を潰している《 週刊READING LIFE Vol.41「変わりたい、変わりたくない」》


記事:千葉 なお美(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 

小さいころから、器用貧乏だった。
 
小中高と成績は常に学年トップ。短歌や読書感想文など、コンクールへ応募したものは全て入賞。おまけに、書道では飛び級を繰り返し中学3年で特待生になった。
運動ができなかったかと言われるとそうでもない。小学校のマラソン大会は毎年1位か2位だったし、校内の水泳大会では2年連続で新記録を出した。
 
影で人一倍努力しているわけでもなかった。
人より少しだけ要領がよく、なんでもそつなくこなせてしまうたちだった。
 
おかげで、子どもの頃はわりといい思いをした。
友達からも羨ましがられたし、先生にもかわいがられた。
 
しかし、苦手なことがなく全ての分野で平均点以上だった私は、これといって秀でたものがないのも事実だった。
自分は何が好きで、何に向いているのか。
わからないまま大人になり、流れでなんとなく就職した。

 

 

 

 

社会人生活が長くなればなるほど、「自分はこのままでいいのだろうか」と思い始める。
年齢を重ねると、それは次第に焦りや不安へと変化する。
20代後半へ差しかかった頃、私はその壁にぶち当たった。
 
仕事は嫌いではないけれど、特にこれといって執着があるわけでもない。
趣味といえるものもない。
毎日の生活にどこか物足りなさを感じていた。
 
変わりたい。このまま人生が終わるのは嫌だ。
 
そう思った私は、まず自分がやりたいと思うことを片っ端からやってみることにした。
 
1度目の挑戦は、ワーキングホリデーだった。
海外生活に憧れていた私は、親に内緒で半年間カナダに滞在した。
飛び立つ前は、これからどんな出来事が待っているのだろうと期待に胸を膨らませていたが、実際のカナダ生活は楽しいことばかりではなかった。
ホームステイ先のホストファミリーとは相性が合わず、その次に移り住んだシェアハウスは違法だったために家を追い出された。挙げ句の果ては、アルバイト先のイタリア料理店でオーナーからセクハラまがいのことをされるという、アクシデントの連続だった。
もちろん素敵な出会いにも恵まれたし、海外での生活は新鮮そのものだった。
しかし半年間の滞在で気づかされたことは、私は日本が大好きでなおかつ日本語が大好きだ、ということだった。
海外は旅行で十分だ。そう思って帰国した私は、日本で再就職し、気づいたらカナダへ行く前と変わらない生活を送っていた。
 
そんな私に訪れた2度目の挑戦は、社会人大学だった。
大学といっても公的なものではなく、20〜30代の若者たちが有志で勉強会を開いているものだった。私は友人に誘われ、参加することにした。
主に経済について学ぶのだが、ざっくりいうと会社員以外の働き方も身につけていこうとする場であった。
参加者の熱量が高く、一人一人がエネルギーに満ち溢れていた。自分たちの夢に向かって走っている姿はキラキラ輝いていて、ここでなら私も変われるかもしれないと思った。しかし、結論からいうと私は大学を辞めることとなる。
毎週土日は講義があり、平日仕事終わりも大学の活動で文字通り寝る暇もなかった。1日3時間睡眠を5日間続けた結果、私は倒れてしまった。
自分の将来について考え直し、大学の方向性と照らし合わせた結果、私は大学を辞めることにした。
 
3度目の挑戦は、天狼院書店の「人生を変えるライティング・ゼミ」だった。
もともと書くことが好きだった私は、ゴールデンウィークの10日間を有意義に過ごせるという安易な考えに加え、「人生を変える」というキャッチフレーズに惹かれ、軽い気持ちでゴールデンウィークの10日間集中コースに参加した。
毎日の課題提出と辛辣なフィードバックでスパルタ講義ではあったものの、とても楽しく充実した学びだった。
結局私は「書く」という魅力に取り憑かれ、その上級クラスである「ライターズ倶楽部」へ参加することとなった。
 
しかし「ライターズ倶楽部」は、それまでのライティング・ゼミとは違う。
ここの集まりは狂人ばかりだ。
プロのライター志望から、実際にライターとして活動している人もいる。
書くことに長けているのはもちろん、才能の塊であるがゆえに変わった人しかいない。
そんななかで、私のような何の取り柄もない凡人に勝ち目はない。
そう思いつつ、書くことが好きで続けてはいる、が。
 
私はおそらく、いずれこの倶楽部を抜けるときが来るだろう。
それが3ヶ月後か、半年後か、1年後かはわからない。
人はそれを挫折というかもしれない。
 
でも、私はそれでいいと思っている。
挑戦して初めて、自分が本当に好きなのか、プロとして極めたいのか、身体を酷使しても身につけたいものなのか、見極めることが大切であると思う。
いつまでもかりそめの夢にしがみついていては、そこから離れられない。
 
私が「変わりたい」と願い続ける限り、今後もいろんなことに挑戦し挫折を味わうだろう。
その度にまた振り出しに戻ることになるが、きっとそれは無駄ではない。
 
イモムシがサナギから蝶へと羽化するとき、サナギは殻の中で一度ドロドロに溶けるという。
イモムシがあの美しい蝶の姿へとなるには、一度溶けてなくなる必要があるのだ。
 
今私がしていることは、きっとサナギと同じである。
自分の可能性を潰し、ドロドロに溶けている真っ最中。
挑戦も挫折も私の中のドロドロであり、どれも蝶へなるために必要な要素なのだ。
これを繰り返すなかで核になるものを見つけたとき、私は蝶となり空へと羽ばたけるのだろう。

 

 

 

 

最後に、スティーブ・ジョブズのスピーチで、有名な言葉がある。
 
“You can’t connect the dots looking forward; You can only connect them looking backwards. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future.”
 
先を見通して点をつなぐことはできない。
振り返ってつなぐことしかできない。
だから将来なんらかの形で点がつながると信じることだ。
 
私の今までの挑戦も挫折も、今はまだ点でしかない。
私はこれから蝶となり羽ばたいていく過程で、これらの点をつなげていくのである。
そう信じて行動することが、大切であると心に刻みながら。
 
 
 
 

◻︎ライタープロフィール
千葉 なお美(週刊READING LIFE編集部 ライターズ倶楽部)

青森県出身。都内でOLとして働く傍ら、天狼院書店のライティング・ゼミを経て、2019年6月よりライターズ倶楽部に参加。

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2019-07-15 | Posted in 週刊READING LIFE Vol.41

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