雑誌READING LIFE創刊号

僕が書店に戻った本当の理由〜READING LIFEという名の翼〜《『READING LIFE』予約受付開始》

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「どういうことですか!」

さすがに僕も切れた。相手は発売日に印刷が間に合わないと言ってきた。

「こっちはもう発売日に合わせて雑誌の広告も買っている。インターネット広告もだ。今持っている会社の財産も僕個人の財産もつぎ込んだ。あなたにとってはどうでもいい仕事のひとつかもしれない。でもこれは僕にとって命をかけた勝負なんだ」

「でも、もう働く時間終わり。従業員働かない。帰った。間に合わない」

香港で大学教授をしているというその男は、リー・シェンロンと名乗った。
僕らの世代にとって「神龍(シェンロン)」という名前は特別の響きを持っていた。そう、ドラゴンボール世代の僕は、全ての夢を叶えてくれる神龍が現れたと勘違いした。
それはとんでもない勘違いだった。

借金をしてまで印刷代と広告費を揃えた。それまで全く好ましくなかった僕の始めたビジネスの、それは起死回生の一打となるべきものだった。ところが、広告でうたった発売日に、商品が届かないという。不手際があって、どうしても、日本の税関を通過できないというのだ。
メイド・イン・チャイナのシールを1,000冊の本ひとつひとつに付けなければならず、しかもそれは装丁につけなければだめで、シール代として50,000円と通関の手数料を、更にこちらに請求されるという。
事前に、一つも聞かされていないことだった。
神龍は電話でこう言っていたのだ。

「日本の会社よりも印刷とてもやすい。そして、早い。香港の会社じゃない。カナダに本社がある会社だから問題ない」

おもえば、おかしいことだらけだった。
楽天ビジネスを通じて知り合ったその男は、部下として、日本の佐藤という名の女性を紹介した。指定された打合せ場所は神田の築50年ほどの雑居ビルの薄暗い一室で、その部屋には看板もなく、長机に幾つかの印刷物が置かれているだけだった。
企業の体を成していない。
そんなこと、見れば一発でわかった。けれども、楽天が斡旋してくれた印刷会社であるし、何よりも値段が破格に安かったので、ほとんど残りの資金が尽きかけていた僕としては、この危険な賭けに乗ることを選んだ。
結果は、散々だった。
結局、メイド・イン・チャイナのシールを装丁に強制的に貼られた本が届いたのは、発売日から二週間を過ぎたころのことだった。
もう、そのころには、神龍はほとんど電話に出ずに、佐藤と名乗った女性も音信不通になっていた。
騙されたのか。
いや、そういうわけでもなかった。
神龍も、おそらく、僕を騙す気はなかった。日本を相手に楽天ビジネスを使って印刷の仕事をしようと思いたち、実際にやってみた初めてのケースが、僕だったということだろう。
つまり、まるで勝手がわからない同士が、印刷と貿易を同時にやろうとした結果がそれだった。
ただ、「結果がそれだった」で済まされる状況ではなかった。
この本のために、僕は新しく借金をして、印刷代と広告費をまかなった。それが、完全な不発に終わり、もう、僕は事業を維持できなくなっていた。楽天にどうして悪質な業者を紹介したのか、問い合わせたところ、それぞれの交渉に関しては楽天は一切の責任を取らない、そういった文書にもうすでにこちらが「同意」をしていると相手にされなかった。けれども、その本を売るためにと楽天が進めてきた広告費だけはしっかりと徴収された。
もはや、どうすることもできなかった。銀行にも国民生活金融公庫にも借りるのは無理で、その時にはもう田舎の実家も僕を見放していた。
事業どころか、明日、どう食べていけばいいのかもわからなくなった。そして、それまで何とか維持してきた闘志も、もはや風前の灯火となっていた。
こうして、僕は初めての起業を実質的に失敗した。

今ならわかる。
神龍のせいでも楽天のせいでもない。
僕に力がなかったのだ。力とは、すなわち、お金であり、知識であり、スキルであり、そして経験である。
そして、そのとき作った本『エバーストーリー・マスターファイル』は、僕を逆境のどん底から舞い上がらせるだけの力を持っていなかった。売れる本ではなかった。
今なら、わかる。
あれは、僕が見た幻覚だった。

すべてを失い、借金を負った僕は、それでも生きていかなくてはならなかった。
すがりつける場所は限られていた。そもそも、大学を卒業していなくて、それまでほとんどフリーターとして生きていた僕を、雇い入れてくれる企業など当時はなかった。
生きていくために、僕がすがりついたのが、裏切って飛び出した古巣の書店だった。それでもなお生きていくために、社長と本部長に頭を下げた。
楽な状況でないにも関わらず、その書店は僕を再び雇い入れてくれた。ただし、それまでの店長などではなく、また一からのスタートとして、時給1,000円と月50,000円の提示を受けた。
本当に一からのスタートだった。決して高くはない給料だったが、僕は毎月決まった日に給料が入るということが、奇跡だと思えた。働くのが、面白くてしかながなかった。明日、生きられるという実感は、こころを穏やかにした。
そこには見栄も矜持も承認欲求すらも、ほとんどなかった。借金を返して、自らを食べさせていく。ただ、生きていくために必死で働いた。

すると、不思議なことが起きた。
数々の素晴らしい本と出会った。
その本を作った人々と出会った。
『ピクト図解』(ダイヤモンド社)の著者板橋悟さんとダイヤモンド社営業部長の井上直さん、井上さんを通じて当時発売されたばかりの『働く君に贈る言葉』(WAVE出版)と編集の田中泰さん、そして『1坪の奇跡』(ダイヤモンド社)の編集の寺田庸二さんと装丁の石間淳さんと、著者の稲垣篤子ともその当時に出会った。不思議なことに、その出会いが今につながっている。

振り返って考えてみると、僕を奈落に落としたのは本だった。
これだけやれば儲かる、あなたも必ず成功する、夢は叶えられる、といった類の本をむさぼるように読み、何者でもなかったのに、何者かのように勘違いした。その言葉に安易に反応し、起業し、一度、失敗した。
けれども、僕を奈落から引き摺り出してくれたのも、また本だった。
『マーケティング・マネジメント』であり、『利他のすすめ』(WAVE出版)であり、『1坪の奇跡』が、僕の人生を変えた。

発売日に本が届かなかったあの日から、四年以上の月日が流れた。
そして、また僕は本を作っている。
きっと、そのときよりも少しばかり、たくましくなった。力がついた。
何より、僕には今、天狼院がある。
全てをかけて作った天狼院で、天狼院のスタッフとともに、お客様とともに全力で新しいかたちの雑誌を作った。
それが、雑誌『READING LIFE』だ。

あるいは、ホームページやFacebookで何としても発売日に間に合わせると、本当に10日間ほどほとんど寝ずに狂ったように取り組んでいる姿を見て、不思議に思った方も多かったかも知れない。また、一緒に制作していたチームのメンバーも同じように感じたかも知れない。
僕には、11月8日に設定した発売日に、今度こそ雑誌『READING LIFE』を出さなければならない理由があったのだ。
今度こそ、『READING LIFE』は僕を羽ばたかせてくれるに違いない。
天狼院を羽ばたかせてくれるに違いない。
この雑誌に関わった一人ひとりの、そしてこの本を手に取り、読んでくれる人一人ひとりの、明日へと羽ばたく翼になるだろう。

僕は『READING LIFE』があなたの翼になると信じている。

本日11月1日、今より、正式に雑誌『READING LIFE』の予約受付を開始いたします。

 

2014年11月1日
READING LIFE編集長
三浦崇典

【雑誌『READING LIFE』予約する際の注意と通信販売について】
雑誌『READING LIFE』編集長の三浦でございます。
 『READING LIFE』は3,000部作りますが、造りがかなり複雑になっていますので、最終工程は手作業となっております。それなので、発売日にお渡しできる分の数に限りがございます。確実に手に入れたい方はご予約をおすすめ致します。
また、万が一予約が殺到した場合、予約順でのお渡しとなりますのでご了承くださいませ。
店頭、お電話、メール、下の問い合わせフォーム、Facebookメッセージなど、あらゆる方法で予約受付致します。

 雑誌『READING LIFE創刊号』2,000円+税
11月8日(土)10時から発売開始・予約順のお渡し

今回は通信販売も同時に受付開始します。通販での受付も予約受付順の発送となります。PayPalでの決済完了時間が予約受付時間となります。
通信販売の場合、送料・手数料として500円別途頂きますが、その代わりに天狼院書店でご利用頂ける「コーヒーチケット(360円相当)」をおつけしますので、東京に来る際に、ぜひ、天狼院でご利用頂ければと思います。
通信販売分は、11月8日より、予約順に順次発送致します。

《通信販売》
雑誌『READING LIFE創刊号』2,000円+税
送料・手数料 500円(*360円相当コーヒーチケットつき)
11月8日(土)から予約順の発送




【天狼院書店へのお問い合わせ】

TEL:03-6914-3618

 

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2014-11-01 | Posted in 雑誌READING LIFE創刊号

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