忌避していた電子書籍、判明した恐ろしさ。
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:安達 悠樹(ライティング・ゼミGW集中コース)
電子書籍という物に、どんな印象をお持ちでしょうか?
「書店に行く手間がはぶけて便利」
「紙を使わず、エコロジカル」
「読みづらいんじゃないか」
「目が悪くなりそう」
色々な意見があるかと思いますが、私はあまり良い印象を抱いていませんでした。
「本は紙に限る、電子書籍なんて邪道だ」
漠然とそんなイメージがありました。では、なぜ邪道なのか。
「温かみが、無いじゃないか」
口から出てくるのは、そんな頼りない回答だけ。
手を出してしまうと、何か大切なものを失ってしまう。
まるで、劇薬に手を出すかのような後ろめたさ。
当時の私には、形容し難い忌避感があったのです。
そんな私ですが、昨年の冬、電子書籍リーダーを購入しました。
なぜ購入に踏み切ったのかと言いますと、ひとえに「己の至らなさ」が原因です。
勤め先からボーナスを頂いたものの、これといって欲しい物がない。
でも自分への御褒美として、何か買っておきたい。
思案していると、自室の本棚に目が留まりました。
乱雑に並べられた本の背表紙が、延々と続きます。
しかも空いたスペースを無駄にしまいと、縦横無尽に押し込まれているのです。
これ以上の収納は絶望的。次の書籍を購入しても、置き場所がありません。
「本を整理して、不要な物を処分すれば良いじゃないか」
常識的な方々から、そんなツッコミが飛んできそうです。
しかし、その方法は選べませんでした。
なぜなら私は、片付けが大の苦手なのです。
特に相手が書物になると、その症状は殊更ひどいものになります。
「この小説は、また読み返したい」
「この実用書も、いつか必要になるかも知れない」
「このマンガ、こんな所にあったんだ。今度続きを買ってこよう……」
整理を始めたつもりが、いつの間にか蔵書を読み漁ってしまう。
次善の策として、本棚を買い足そうかとも考えました。
ただ狭い我が家に、これ以上の置き場所はありません。
どうしたものか頭を悩ませていると、脳裏によぎるものがありました。
電子書籍です。
長らく避け続けていたソレに、一つだけ魅力を感じる点がありました。
それは「省スペース」ということです。
電子データですから、当然置き場所を必要としません。
本棚に残された収納スペースに悩まされ、ハードカバー本の購入を躊躇する必要もないのです。悩みました。己の信念を貫くか、利便性をとるか。
「……買おう」
意志薄弱な私は、あっさりと電子書籍の誘惑に負けてしまいました。
数分後には、大手通販サイトにアクセスし、購入ボタンを押していたのです。
「いや、試してみるだけだし」
誰も聞いていないのに、一人言い訳を口にしながら。
数日後、商品が届きました。
開封してみると、文庫本サイズの大きさで携帯性も上々です。
電源を入れ、早速本を購入してみます。
選んだのは、とあるシリーズもののホラー小説。
書店でいくら探しても見つからなかった、その第二巻。
書籍のアイコンをタップすると、真っ白な画面に、文字が浮かび上がります。
驚きました。まるで紙に印字されたような自然さです。電子ペーパー恐るべし。
しかし手放しで喜ぶこともできませんでした。
めくるべきページが存在せず、代わりに画面をタップするという動作には、やはり違和感があります。
ただそれも時間と共に慣れていき、大きな支障にはなりませんでした。
リーダーの種類にもよりますが、私が購入した物はバックライトと防水機能がありました。
これらの機能は、私の読書生活を一変させたのです。
消灯したまま読書に興じ、そのまま寝落ちするのが日常となりました。
本が痛むことを恐れて出来なかった、入浴中の読書も可能となりました。
読書時間が圧倒的に増えたのです。
本を読む手が止まりません。
こうなると、本の消費が激しくなります。
つい先日購入したばかりの本も、すぐに読み終わってしまう。
新しい物が欲しくなる。
悩みの種だった収納問題も気にしなくてよいので、金銭が許す限り購入できる。
電子書籍を導入してから、私の読書量は増加の一途を辿るばかりです。
「とんでもない物に、手を出してしまった」
電子書籍に抱いていた、漠然とした不安は的中しました。もちろん、良い意味で。
電子書籍に興味があるものの、手を出せない人は意外と多いのかもしれません。
一度手に取り、触れてみてはいかがでしょうか?
貴方の生活に、変化をもたらしてくれるかも知れませんよ。
ただし、人によっては劇薬となり得るため、自己責任でお願いします。
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