詐欺師に間違われる職業って?
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記事:まつしたひろみ(ライティング・ゼミ)
「お仕事って何されてるんですか?」
よく聞かれませんか?
初対面の人にはだいたいされる質問ですよね。私もついつい聞いちゃいます。
「弁護士してます」とか「教師です」っていうのはわかりやすくていいですよね。私の仕事はイマイチメジャーではないので、まずはこう答えてしまいます。
「会社員です」
この答えをすると、次にはこの質問がきます。
「で、何されてるんですか?」
ですよね。気になりますよね。そこを聞いてるんですものね。
真面目な場だと、この後は真面目に答えます。ただ、飲み会で、コンパも含みますがこんな答えもします。
「夜のお仕事です」
水商売ですか? ホステスさんですか? いやいや、まさかそんな方には見えませんけど?
心の中にはそんなことを思い浮かべるでしょうか。笑いをとってインパクトを与えるためですよ。飲み会の場だったら会話のキャッチボールも楽しみたいですから。
ほとんど毎日が昼過ぎからの勤務で、終わるのが日付が変わる時間帯です。準夜勤帯と呼ばれる時間です。なので、夜のお仕事なんです。でね、これを説明すると、
「大変ですね」
って言われます。いやいや、大変じゃないですよ。だって勤務時間がずれてるだけで、残業は1時間、多くても2時間くらいなので。日中勤務している人とは仕事のある日に遊ぶことは難しいてすけど、そこまで不便を感じてはいません。休日に朝早く起きれなくて損した気分になるくらいですかね。勤務時間は天狼院書店の皆さんの方が長いんじゃないですかね? それにBAR天狼院が閉店するのは日付が変わる頃ですよね? 朝から夜まで。そちらの方が大変ですね。
「医療職です」
真面目に答えるときはこれですね。これ、文字にするとよくわかるんですけど、聞くだけだとちょっと聞き取れない時もあるらしくて。
「いりょうしょくって、アパレルですか?」
と聞き返されたこともあります。いや、衣料じゃなくて医療です。って聞いてるだけだとよくわからない会話になったりします。もし、カフェで隣の人がこんな会話してたら、私だったら「なに?」って聞き耳立てちゃいます。
「病院で、検査する人いるでしょ」
「あ、レントゲンとか」
ほらきた。検査っていうとすぐレントゲンにつながっちゃうんだよなー。それは、ちょっと違って、診療放射線技師っていう別の職業になるんですよね。
「それは違うんだけど、ほら、血液検査とかしたことあるでしょ。あの採血をする・・・・・・」
「あー、看護婦さんだ!」
自信満々に答えてもらったところ悪いんですけど、看護婦さんじゃなくてね、そもそも今は看護師さんって呼ばれてますよ。
確かに、看護師さんは採血します。準夜勤帯の仕事の方もいらっしゃいます。でも、検査する人って言ったじゃないの。簡易検査、インフルエンザの検査とかね、「すぐ出ますよー」なんていうのは看護師さんがやってくれたりしますけど。
「血を採るってことは、献血とかか。俺、献血したことあるよ」
はいはい。わかりましたよ。献血したって元気アピールですか? 献血はね看護師さんが採血してくれますよ。でも献血の話はしてないですよね? 検査だって言ってるじゃないの。
「健康診断で血液検査をしたことないですか? あれですよ」
「やったやった。あれさー、コレステロールが高くて」
これもよくあるんです。健康相談。
検査はします。検査の結果から病気の予測もできます。でも、判定はお医者さんのお仕事なんです。私たちが勝手に判断してしまってはダメなんですよ。
私たちの仕事は、医療の中でも黒子みたいなものなんです。
表舞台にはあまり出てこないし、認識もされにくい。あれこれ説明しないとわかってもらえないし、説明してもよくわからないままかもしれません。病院の検査室って大きな病院にしかないですし、心電図とか超音波とか、元気な人にはあまり縁がない検査ですよね。それに血液検査をしている場に患者様が入ることはないですから。
でも、検査って結構重要なんです。黒子が舞台変換を間違えてしまったら、その舞台が台無しになるのと同じで、1本の採血管も取り違えることができません。
私たちのいる会社は病院様がお客様です。検査の設備を持つことのできない小さな病院様の血液をお預かりして検査したり、大きな病院様の特殊な検査を行ったりしています。診療が終わってからお預かりして、すぐ検査をします。血液ってナマモノなので、少しでも早く検査をすることが求められます。
実際に患者様にお会いする機会はないですが、1本1本の採血管を患者様だと思って大切にお取り扱いしています。
血液検査って本当にすごいと思っています。体を切り開くことなく体の状態を確かめることができる。少量の血液で多くの検査をして、病気がないかどうか調べることができる。
車の点検をするときに、オイルをちょっと抜いて検査しても異常はわかりませんが、人間の体だとそれができるんです。
あ、そうそう。
時々、詐欺師に間違われます。
臨床検査技師なんですけどね。検査技師・・・・・・けんさぎし・・・・・・さぎし・・・・・・。
最後の3文字しか聞き取れてないですよー。
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