チーム天狼院

おかしいな、『書店』に転職したはずなのに


記事:永井聖司(チーム天狼院)
 
「転職先は、どんなところなの?」

2018年10月。以前の勤務先で退職の挨拶をするタイミングで、多くの人から聞かれたことだ。

「書店です」
「へぇ〜、書店!」

僕の答えに、ほとんどの人が驚いていた。
なぜならその時、入社7年目になっていた僕の仕事は、採用に関するコールセンターの管理だったからだ

これまで経験を積んだ、採用に関するものでもなければ、コールセンターのような裏方の仕事とも違い、お客さんと直に接する仕事への転職を、皆が不思議がっていた。

「じゃあ、ウチの本もいっぱい置いて売ってね!」

こんなことを言う先輩も、いっぱいいた。
なぜなら、会社の半分は採用の事業だったけれど、半分は、出版の事業だったからだ。

「わかりました。そういう立場になったら……」

そう答えて、送り出してもらって、1年半以上が過ぎた。
 
 

「間もなく放送スタートします! 3、2……」

2020年4月11日、21:15。

同僚の山本さんが、どこかで聞いたことがあるような言葉とともに、カウントを始めた。手元には様々な機器があり、僕もその横で、パソコンなどの機器を準備していた。

山本さんが手を振り、合図を出す。

「こんばんは、天狼院書店店主の、三浦でございます」

カメラの前で話し始めたのは、僕の転職先、天狼院書店のオーナー、三浦社長だった。

FacebookLiveという機能で、生配信が始まった。
配信される映像の左上と右上には、ミヤネ屋など、ニュース番組で見るようなテロップが流れている。三浦社長の背景には、いま説明をしている『天狼院マルチディスプレイ』というものの画像が大映しになり、その前にいる社長の身体は、画像に合わせてキレイに切り抜かれているように映っている。
 

「例えばなんですけどね、板書しますね」

社長の言葉に合わせ、映像は、社長のiPad Proの画面と、社長本人が映った物に切り替わる。
そして社長がiPad Proに文字を書けば、その内容がそのまま、映像として配信される。

「では次は、福岡にいますスタッフの田岡さんとつながってます。はいどうぞー」

社長の合図で今度は、福岡で待機していたスタッフ・田岡さんが画面に登場する。一昔前の、ズームインの全国リレー中継のようだ。

田岡さんが説明をし、また映像が社長に戻り、説明を続ける。

「時間術ゼミは、3ヶ月で『時のバランスシート』を整えます」
「そして、バランスシートを整えて、余った時間は、お金と同じように、投資に回しましょう!」

 

4/12(日)に開講となる時間術ゼミについて、板書を交えながら、社長が説明をしていく。
そして時間術ゼミのはなしが終われば、また福岡の田岡さんに放送が繋がり、ライティング・ゼミの説明が放映される。

「文章をある程度書ける人が来るって思われると思うんですけど、全然書いたことがないって人とか、むしろ苦手な人の方が、いや、苦手な人こそ、受けてほしいんです!」

その後も都度映像が切り替わり、およそ40分に及んだ配信は、終了した。

終了後にFacebookをチェックしてみれば、配信は1,000回以上視聴され、社長・山本さん・僕と全員が、予想よりも多くの人の目に届いたことに、驚いていた。

そして僕も、微力ながらその放送に参加できていたことに高揚していた。
帰り道、社長たちと別れた後で、思わず笑みが漏れた。

満足感と、どこかおかしな気分が混じり合った、不思議な気持ちだ。
 

「おかしいな。『書店』に転職したはずなのに」

最近、同じく転職組の同僚と、よく笑いながら、こんなことを言っている。

今日一日、『書店』に転職したはずなのに、僕は本を一冊も売っていない。その代わりに、撮影用の機材を操作していた。書店員ではなく、テレビ局の技術スタッフ、と言ったほうが正しいだろう。

「放送局を作るぞ!」

と社長が言ったのは、今回の騒動が始まる、ずっと前だった。

「だから1ヶ月で、みんな技術を習得するように」

『おかしいな。『書店』に転職したはずなのに』

と、その時ももちろん思った。
 

「今度は演劇に力を入れるぞ!」

そう社長が言ったのは、『放送局』の話が出るよりももっと前のことだった。

『おかしいな。『書店』に転職したはずなのに』

と、その時ももちろん思った。

でも、社長のその発言の後、『こたつ劇』のプロジェクトがスタートし、演劇に関するゼミやイベントも多数開催され、社長が宣言していた『こたつ劇』も、実際に上演された。

 
「天狼院は、出版社化するぞ!」

『演劇に力を入れるぞ!』という話が出たのは、更に前のことだ。

半分出版社の会社から転職してきた身としては、『退職後1年以内は、同業種への転職は控えるように』などの文言が、前職の規定の中にあったように思い出し、少し怯えた。転職当時は全く知らなかった構想なので、是非ご理解いただきたいところである。

社長のその言葉も、今年、湘南天狼院のオープンを持って実現される。

 
「書店って言っても、ちょっと変わった書店なんです」

書店に転職する、と説明した後に付け加えて、確かに僕は、そう説明していた。

「『READING LIFEの提供』っていうのがコンセプトで、ゼミとかイベントってのをやってて……」

元々、天狼院書店が開催しているライティング・ゼミに参加していた僕は、そのことは知っていた。本の著者の方を呼んだイベントや、数ヶ月に渡って、文章の書き方や時間術、小説の書き方や起業の方法を伝えるゼミやイベントがあることを。そして、その進行役などをやることになるだろうとは、思っていた。そしてそれは、予想通りだった。

 
「ブックカフェになってる店舗もあるんですよ。カレーとかがめっちゃ美味しくて!」

先輩に説明しながら、カフェの業務をすることも、予想がついていた。これだけで、十分に『書店』に転職するというイメージからは離れていたけれど、そうなるだろうと思った。
実際に、ブックカフェの機能がある店舗の店長になった。
ある程度は、予想していたことだった。

でも、予想できていたことなんて、転職前に考えていたことの、5%にも満たない。

日々、状況が変わり、日々、新たなアイデアが社長はじめスタッフから出てきて、やるべきことが変わる。

 
ふと気づいた時に、「おかしいな。『書店』に転職したはずなんだけど」と、思う。

ただしその後に、必ず笑ってしまう。

おかしなことになっている。予想できないことが日々起こっている。

でもそのことが、楽しい。

 
洗濯機の中に放り込まれたように、どちらが上か下か、前か後ろかもわからない。
その状態が、まるで苦しくないといえば嘘になる。方向を見失い、途方に暮れることもよくある。

それでも、その先にあるお客様の笑顔や、喜びの声、新しいプロジェクトをやり終えた後の仲間の嬉しそうな表情を見る度に、吹っ飛んでしまう。

『楽しい』と、思ってしまう。

 
変化『しか』ない毎日は、ゼミやイベントに参加して、お客さんとして、天狼院書店に参加をしても、十分に味わうことが出来る。

お客さんとして過ごしていた時の僕がそうだったから、安心してほしい。

スタッフとして参加をすれば、また違った日々が、訪れる。

どちらを選んでもらっても良い。

ただ1つ言えることは、どちらを選んでもらっても、損はさせない。


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2020-04-12 | Posted in チーム天狼院, チーム天狼院, 記事

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