ライティング・ラボ

【大切なこと】土曜深夜の夫婦生活


 

記事:Koeike Ryosuke(ライティング・ラボ)

*この文章は、「天狼院ライティング・ラボ」(現在はライティング・ゼミにパワーアップ)の受講生が投稿したものです。
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コミュニケーションについての話である。
仕事で疲れていることもあってか、平日、子どもを寝かせつけるつもりが一緒に寝てしまい、そのまま朝を迎えることが多い。日曜日も、翌日からの一週間に備えて夜更かしすることはない。

 

しかし、土曜日の夜は違う。一週間のうち、この日だけは特別である。

 

子どもと一緒に横になるが、私の目は見開いたままである。

酒を飲んでいたとしても、泥酔していない限り、私の意識は覚醒したままである。

子どもの寝息が聞こえてきてようやく、私の体はそっと動き始める。

 

足音を立ててはいけない。ドアを閉める音を響かせてはいけない。ましてや廊下から漏れてくる光など、もってのほかだ。

 

リビングでしばらく待つ。待つ時間が実にじれったい。

数分後、遅れて妻がやってきた。息子と娘をそれぞれ別々に寝かせつけているためだ。

 

一言、二言交わし、和室に向かう。もちろん、何も音を立てずに。

 

準備作業として何をすればよいかは、もう体に染みついている。

押入れから枕を取り出す。

床に敷物を引く。

タンスの奥から、モノを取り出す。

 

部屋の明かりは、つけたままにしている。

 

準備ができたところで、妻は眼鏡をはずし横になった。

私も眼鏡をはずし、寄り添うように傍に座り込む。

 

結婚して7年目になる。お互いのことは好きなものから嫌いなものまで、だいぶ知り尽くしてきたように思う。

ポイントはだいだいわかっているので、スムーズにコトは進む。

 

私は、細かく、慎重に、けれど強弱をつけつつ、指を動かす。普段の生活では滅多にしないような手つきである。

しかし慣れているようでいて、未だに難しい。相手への配慮を考えずに自分勝手にしていると、痛みを与えてしまうこともある。デリケートなことなのだ。

 

私の動きが、相手の希望に添えているようなら、いい表情になる。

逆に、自信なくさぐりさぐりしているような動きだと、相手が不安になる仕草が見てとれる。

それらの反応が何だか面白い。

 

基本的に会話はない。言葉以外の、顔の表情、身体の反応、声にならない声を頼りにしてコミュニケーションを図る時間である。

 

しばらくするとお互い満足してくるので、体勢を変えてみる。

そしてまた、一から楽しむことになる。

 

一通り終えると、攻守交代。今度は私が横になり、妻が上になる番である。

順番はどちらからでもいいのだが、私はあとでしてもらう方が好きである。

 

全てを投げ出して妻に身を委ねる。

最初の一撫での感触がたまらない。体を、脳内を、電気が走るというのはこのことかと思うくらい感じてしまう。

 

1週間の中でも、一番至福のときだ。

そもそも、1週間で1回という縛りは本来ない。1か月で1回の場合もあれば、毎日の場合もあろう。人それぞれである。かくいう私も、恥ずかしい話だが、1週間に1回ではどうしても我慢できない時があったりして、そんな時は妻にお願いしてしまう。逆もあったりするけれど。

 

もちろん、自分1人でやってもいい。そういう場合も多々あるだろう。ぶっちゃけ、1人でやるのもそれなりに気持ちいい。ただし、自分でやるときと、やってもらうときでは、感触は似ているようでいて、全然違う。

 

終わると、すっきりする。この解放感!

ティッシュに包まれたモノを見せながら、同じく満ち足りたような表情の妻は言う。

 

「こんなに出たよ。今日はいつもより多かったかも」

 

他人にしてもらう耳かきは、本当に気持ちいい。

 

耳かきは、上手くやらないと痛い。

そして、相手のことをよくわかっていないと上手くいかないのだ。

また、やってもらう方も、相手を信頼していないとリラックスして耳を委ねられない。

 

最近の生活では、どうしても子どもの面倒を見ることが優先となり、夫婦だけの時間は少なくなってしまっている。二人の関係をなおざりにしないよう、普段から会話しているつもりだが、まとまった時間はなかなかとれない。

 

言葉によるコミュニケーションはもちろん大事だが、言葉だけではなく五感を使った方が感情や思いが伝わりやすい。言葉だけの感謝と、握手やハグを併せての感謝との違いは歴然だ。

 

愛する人ときちんとコミュニケーションできているだろうか。

耳かきというコミュニケーションツールを使用してみることも、円満な夫婦生活の一歩になるに違いない。

 

***

 

*この文章は、「天狼院ライティング・ラボ」(旧ライティング・ゼミ)の受講生が投稿したものです。

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2015-07-13 | Posted in ライティング・ラボ, 記事

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