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ライティング・ラボ

福岡では、アラサーの博多美人があまっている


記事:世良菜津子(ライティング・ラボ)

 

「結婚する?」
彼は、無邪気な笑顔で突然私に問いかけた。

私にとって、生まれて初めてのプロポーズである。
女として憧れ続けていたその瞬間は、あまりにも唐突に訪れた。

「この中でだれがタイプか?」という、
飲みの席ではおなじみ会話が、その日も繰り広げられていた。
私が指名したのは、友達の友達、その日初めて会った1個上の男の子だった。

とてもノリがよく、笑顔が魅力的な、私のタイプの男の子だった。

「私は・・・けんくんかなぁ?」
「え?マジで!?結婚する?」

みんなの前で彼から私に向けて発された「結婚する?」は、その場の雰囲気、ノリで出た言葉である。

もちろん、その言葉が本気なわけではない。
そんなこと、私自身、聞いた瞬間にわかっていた。

彼は、この出来事を、今ではもう覚えていないだろう。
私は、この数年前の出来事を、今でも鮮明に覚えている。
「人生初のプロポーズ」が、冗談であったとしても、素直に嬉しかったのだ。

24歳の頃、一人暮らしに憧れて、実家(北九州)を出た。
社会勉強も含めて、一人暮らしを2~3年経験して、そのうち彼氏もできて、結婚すると思っていた。

私が移住先に選んだのは、福岡市内。
「ずっと住むつもりもないし、ちょっと狭くても別にいっか。どうせ少しの辛抱やし」
そんな風に思って、今の物件に決めた。

しかし、当時(24歳)の私の考えは甘かった。

気が付けば、今年で私も30歳。
30代に突入した私は、一人暮らしを始めたときと同じ場所で、今でも暮らしている。
この家に住んで6年目になる。

九州の中でも「美人が多い」と言われている熊本県や、安室ちゃんやガッキー(新垣結衣)、黒木メイサを輩出している沖縄県など、系統が違う美人が九州中から福岡に集まってくるといわれている。
それ故に、福岡は、美人が多いのである。

街を歩いていて「かわいい!」「美人!」とすれ違いざまに目を奪われることが多い。
友達にも「美人!」と自信を持って言える子が何人かいる。
女の私から見ても、福岡は美人が多いと思う。

まさか!と思うが、福岡は、結婚適齢期と言われている25歳~35歳の女性が、男性に比べて約1万人も多いといわれている。

今勤めている会社は、女性が8割の会社で、同世代が多い。
その中でも「彼氏がいない!」と9割の女子が嘆いている。
私から見て会社の同僚は、今どきのかわいいキレイな女の子が揃っている。

会社の中で「彼氏がいない同盟」を組んで、ある夏、週1回合コンをしていた時期があった。能古島でキャンプをしたり、合コンをしたり、糸島でBBQをしたり。

あの夏は、たくさんの男性との出会いがあったが、結局、誰一人として彼氏ができることはなかった。
この出来事は、今では笑い話として社内で話されているが、当時の私たちは真剣だった。
「今日こそ運命の人に出会える!」と。

また違う時期、彼氏ができない!と嘆いていた友達と、同じく彼氏がいない!と嘆いていた私は、積極的に街コンや飲み会に参加していた時期があった。
いっしょに参加していた友達は、私から見ておしゃれで女の子らしい、1歳年上の友人である。

1ヶ月に1~2回、街コンや飲み会に参加していた。
それでも彼氏ができなかった。

ある街コンでは、男性の参加人数が少なすぎて、女の子が見るからに余っていた。
30前後のおしゃれなかわいい女子が、あんなにたくさん参加しているのに。
あまりに参加男性が少なく、開始早々退室する女性参加者もちらほらいた。
その街コンでは、1人の男性に対して、女性が4~5人取り囲んで話していた。
これでは、会話を楽しむ余裕さえない。胸に闘志を燃やした女子同士の戦いである。
1人の男性に対して、我が先に!と、質問攻めである。

何回か街コンや飲み会に参加するうちに、あることに気が付く。
出会いの場では、よほど積極的に動かない限り、あの戦いに勝つことができない。
また、よほどの美人でなければ、男性から声をかけてもらえない。

私たちはよほどの美人でもなければ、ガッツリと自分たちから男性に声をかけるタイプではなかった。
次第に「街コンいこうよ!」「飲み会あるらしい!行く?」と、お互いに声を掛け合うことがなくなっていた。

私自身、周りの友人よりも積極的に動いていた分、異性と出会うチャンスは多かった。
しかし、そのチャンスを1度も掴むことができなかった。

私に彼氏ができない原因は、福岡の男女比率のせいだけではなかった。
私自身の「こだわり」に、その大きな原因があったのだ。

これは、私だけに当てはまることではないと思う。

かつて「彼氏がいない同盟」を組んでいた会社の同僚にも、いっしょに街コンに参加していた友人にも、各々に「譲れないこだわり」があったのだ。
明確に「言葉」にするのが難しいが、それぞれに「タイプ」があり、「付き合う上で譲れないところ」があったのだ。

出会いがあっても、知らず知らずのうちに相手をふるいにかけている。
理想を追い求める結果、せっかくのチャンスをつかむことができずに、
また「運命の相手を探す旅」が始まる。

28歳の時、年上の男友達から、飲みの席で言われたことがある。
「男から見て、女が30歳過ぎて相手がおらんやったら、なんか問題があると思われるよ?早く誰か見つけんと」と。
これが男の本音なのか!?と、かなりの衝撃を受けた。

少し前まで、25歳を過ぎた女の人は、クリスマスケーキに例えられていたこともあったそうだ。
「25歳を過ぎたらたたき売り!」という、「女性の旬」を表現した言葉らしい。

その頃とは、かなり時代が変わっている。
しかし、こんな言葉が一般的であったという事実は覆すことができない。

「30歳を過ぎたら…」という年上の彼からの私に対する激励は、
あながち間違っていないのか?自問自答を繰り返す。

女である私たちが思っている以上に、男たちの中で「女性の年齢」は重要視されているのかもしれない。

そうこうしているうちに、私も「アラサー」と呼ばれる年になっていた。

ようやく本気で焦りだす。「相手を見つけないと…」
そしてまた、合コンや街コン、飲み会などに足を運ぶのである。

しかし、時は既に遅いのである。

大好きな「福岡」という街は、そもそも結婚適齢期である私にとって、ライバルが多すぎる街なのである。
30歳を過ぎて、慌てて「出会いの場」に参加しても、25歳前後のぴちぴちの博多美人がライバルとして出現している。
年齢で、彼女たちに勝つことはできないのだ。

結果、相手を見つけることができない。

30代に突入した今、この状況だからこそ、25歳の頃の私に教えてあげたい。
「なんか、あの時のあの言葉が引っ掛かるっちゃんねー」など、

そんな細かいどーでもいいことを気にしている場合ではないのだ。

もっと、1回1回の出会いを大事にするべきだった。
相手の「いやなところ」を探すのではなく「いいところ」を探すべきだった。
そうして、もっと早く「恋」を始めるべきだった。

今まで長々と書いてきたことは、福岡の中でも、ものすごーく狭いネットワークである、私自身に起きていることを独断と偏見でまとめたものである。

私の周りでは、アラサーの博多美人が、まさに今、「彼氏がおらん!」と、嘆いている。

 

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2015-07-22 | Posted in ライティング・ラボ, 記事

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