第5章 お客様がこない!〜絶対につまづく壁「集客」を乗り越えよう《ママ起業のリアル》
記事:ギール 里映(READING LIFE編集部公認ライター)
一刻も早く、なんとかしなくては。
毎月50万円の赤字を生み出す自然食品店を抱えて、私は起業塾で新しいビジネスを立ち上げていました。そんなに赤字なんだったら、閉めればいいじゃない、と思うかもしれませんが、店を閉めることはそんなに簡単ではありません。
物件の契約にかかった費用、内装工事にも数百万円、商品の仕入れや広告宣伝費なども含めると、膨大なお金がかかっています。うまくいかないから、といって、すぐにやめられるわけはありません。
少なくともまずは3年、どんなに大変でもやりきってみよう。
私はそう考えていました。そのため赤字がでることも想定内ではありましたが、毎月ぐんぐんと減っていく通帳の数字を見るたびに、背筋が凍る思いをしていました。
小売店の経営は楽ではありません。なぜなら、利益率が恐ろしく低いからです。商品の仕入れ値は販売価格の6、7割しますし、家賃などの固定費、人件費がかかることを思うと、毎月数百万円の売り上げがあがらないとまわりません。
商品単価が数百円、高くても千円代の商品で、毎月数百万円の売り上げをあげるためには、たくさんのお客様に来ていただかないといけません。しかし店は人通りが多いメインストリートではなく裏道にあったので、通りかかる人に見つけてもらえることはほぼ皆無でした。広告を出したりチラシを作って配るお金もなかったので、看板を通りに出させてもらったり、ブログを始めたりするぐらいしかできることがありませんでした。
「集客」は、どの業界であろうと、どんなビジネスであろうと、かならずぶち当たる壁です。店舗へ来店してくださるお客様を増やすのは、簡単ではありません。なぜなら、オンラインショッピングでもないかぎり、客は必ずお店に足を運ぶ必要があります。そうなるとどうしても商圏が限られてくるからです。たまに遠方に住む友人が訪れて、気を利かせて買い物をしてくれることもありました。それはそれでとてもありがたいのですが、彼らに頼っていては経営は成り立ちません。商圏の人たちに愛され、リピートされるからこそ店舗は成立するのです。
もちろん、オンラインショップを立ち上げることも考えていました。しかしWEBの知識があるわけでもなく、オンラインショップのノウハウも全くありません。ゼロからオンライン化に投資する資金も、私の手元にはもう残っていませんでした。店舗が軌道に乗り出したらスタートしようとは考えていましたが、いつまでたってもなかなか軌道に乗せられない経営で、オンラインショップ計画はまったく進むことがありませんでした。
いったいどうしたらお客様を増やせるのか、試行錯誤しましたが、当時なんの知識も経験もなかったために、完全に行き詰まってしまったのです。
集客でつまずいたのは、自然食品店だけではありませんでした。新しく立ち上げがビジネスでも、最初の集客で大きくつまずいてしまったのです。セミナーを企画して募集をかけるも、まったく申し込みがないのです。
しかしそれは当たり前のことでした。なぜなら私は、ビジネスで一番大切な「お客様を作る」ということを、全くやっていなかったからでした。
ビジネスに必要なものはたった3つしかありません。
ビジネスで作るべき3つのもの
1 売るものを作る
2 売る場所を作る
3 お客様を作る
ビジネスの基本は実にシンプルで、どの業種だろうと本質は変わりません。売るものを作り、売る場所を作り、お客様に販売する。ただそれだけでなのです。
1 売るものを作る
売るものとは、つまり商品、コンテンツのことです。自然食品店では野菜やお弁当、食材、カフェメニューといったものが商品でした。店では仕入れて販売していましたが、自分で作って販売することもできました。しかしそこまでやるには人手もノウハウも技術も持ち合わせておらず、ただ仕入れたものをうまくパッケージングしたり、組み合わせたりして、お店ならではの商品にして販売したりしていました。
起業塾で新しく創っていたビジネスはいわゆる講座ビジネスなので、講座が商品になります。お店で扱うモノと違い、形がないものをゼロから作らなければなりません。そのため私はまず、50冊以上の参考図書を読み漁りました。もちろん、これまでに学んできたことを振り返り、過去のテキストや記録もすべてひっくり返して見直しました。自分ができることのなかで、必要なものはどれなのかを試行錯誤しながら、最終的なコンテンツに絞り込んでいきました。
何時間でいくらの講座にするのか、またその内容はどのようなものか、膨大な資料をもとに相当な時間を費やしました。なんせこれまでになかったものを自分が生み出そうとしているのですから、簡単なはずはありません。
「こういう講座が欲しかった!」
と、喜んでいただけるような講座を作るため、まるまる4ヶ月の日数を要しました。3ヶ月のコンサル付き講座で、理論と実践の両方を学ぶことができ、尚且つ個別のサポートも受けられるという手厚い講座です。やっとの思いで完成し、いよいよセミナーを開催し、募集を開始するところまで行きました。
2 売る場所をつくる
商品があっても、それを販売する場所がなければ売ることができません。
自然食品店ならそれは店舗ということになりますが、講座はどこで販売すればいいのでしょう。まさか店で販売することはできませんから、インターネット上のどこかで販売するページを持たなくてはなりません。WEBといってもホームページの時代ではもはやありませんから、私はブログを開始して、そこを販売のプラットフォームにしようと考えました。
起業するまでブログなど、一文字も書いたことはありません。当時インターネットの世界のことに、あまり関心がなかったのです。情報は本やネット検索で充分だと思っていましたし、普通の人が書く普通のブログなんてそもそも信頼できないと思い込んでいたので、自分がそれを自ら書く様になるとは夢にも思っていませんでした。
しかしここ数年続く起業ブームは、ほとんどがインターネットを使い、SNSを使ったSNSマーケティングが主な手法です。これをやらずして大きな成果は見込めないことはすぐに理解することができたので、いやいやながらもブログを始めたのでした。
せっかく始めてみたものの、いきなりブログといっても何を書いたらいいのかさっぱりわかりません。そりゃ人のブログすら読んだこともないのですから、一体誰がどんなことをどんなふうに書いているかのイメージすらわきません。
まずはアメブロが始めやすいと聞き、素直にアメブロを選びました。
女性が多く参加しているアメブロ は、ママ起業ではもっとも始めやすいブログの一つと言われています。
ゼロからアメブロを立ち上げるときに必要な10カ条
アカウントを取得したら:
1 ブログのタイトル(USP)を決める
2 ブログの基本設定を行う(ブログの説明、など)
3 プロフィール画像、トップページの画像を入れる
4 プロフィールページに、ストーリー型の自己紹介文章を載せる
5 専門家としての記事を30記事アップする
6 自分自身のことが分かる記事(セルフパフォーマンス記事)を30記事アップする
7 問い合わせ・お申し込みページ(フォーム)を作る
8 毎日記事をアップするルーティンを作る
9 アップした記事をSNSで拡散する
10 フォロワー申請(1000人まで可能 *1)をする
基本の設定だけでもかなりのボリュームです。しかしやるしかありませんので、私は1ヶ月でこれらを終わらせました。なんせ私には無駄な時間は1分たりともありません。私が何もしない時間、確実に赤字は膨らんでいく一方なのです。がけっぷちに立っていた私は、このころから「すぐにやる」「とことんやる」「最速でやる」を心がけるようになりました。
これらのマインドは、これから始まる起業人生で最も大切なものであることを、後から知ることになるのでした。
3 お客様をつくる
売るもの、売る場所ができたら、いよいよお客様を作らなくてはなりません。
しかし私はここで、大きなミスをしていたことに気づいたのです。
大きなミスとはつまり、コンテンツができあがるまで、私はお客様を全く作ってこなかったことでした。売るものを作ることよりも、売る場所を作ることよりも、お客様を作ることが最重要なミッションで、なおかつ一番早くに着手すべきだったことを、コンテンツが出来上がってから知らされたのでした。
ママ起業がうまくいかない理由は、多くの場合ここにあります。
売るものを作るよりも先にお客様を作るとは、一体どういうことなのでしょう。
普通で考えたら、商品がないうちにお客様を作るなんて、できそうなこととは思えません。売るものがないのに、どうやってお客様にアプローチをしたらいいのか、売るものもなくお客様に売っていたら、それは詐欺と言われてしまうのではないかと思いますよね。
「自分の好き! を仕事にしよう」
と言われることがあります。つまり、自分の趣味、特技などの能力や才能を使って、それで起業をしようというメッセージです。しかしここには、ちょっとした誤解が生まれます。
いくら自分が好きなことを仕事にしたとしても、それを買ってくださるお客様がいなかったらビジネスになりません。「私はコレができます!コレを10000円で販売します」と謳ったとしても、お客様がいなかったら独り相撲に終わります。それを発信しつづけていればいつかはお客様に出会う日も来るかもしれませんが、それはいつになるのか、本当に来るのかもわかりません。そんな不安定な状態では、起業を継続していくことすらとても難しくなります。
では、こういうメッセージではどうでしょう。「私はあなたのソレを解決できます」
つまり、すでにソレで困っていて解決策を探している人がいて、その方の役にたてますよというメッセージであれば、あなたのサービスはすぐに買っていただけるでしょう。これがつまりお客様が、すでに存在しているという状態になるわけです。
売るものを作るときにも、自分ができることをコンテンツにするのではなく、お客様が求めているものをコンテンツにすることが基本です。ここでは自分が何がしたいのかはあまり重要ではなく、お客様がなにを必要としているかのほうがむしろ重要なのです。
そんなことは、それまで主婦をしていた私にはわかりようがありません。
最初はとにかく自分の想いだけでコンテンツを作ってしまっていたので、なかなか申し込みが入らないわけです。
手前味噌ながらものすごくいいものができたと思っていたので、なかなか人が集まらないことは正直ショックでした。しかし、そんなことで落ちこんでいる時間はありません。私はすぐさま切り替えて、一度作ったコンテンツを全部ひっくり返し、お客様作りをゼロからスタートさせたのでした。
お客様を作る、というのは、こちらが誰かを無理やりお客様にするということではありません。お客様の悩み、痛み、取り除きたい苦しみを明確にして、それらを持った人が泣いて喜ぶものを作ることなのです。人が動くには2つの感情があります。それは「恐怖」と「欲望」です。この2つの感情のどちらか、もしくはどちらもがないと、人は絶対に動きません。だからこそこれらを明確にして、それを言葉で表現していくことが、お客様作りの第一歩。そのため私は一念発起して、メルマガ をスタートさせたのでした。
これまで文章など一文字も書いたことがなかった主婦がメルマガ を書く。
冷静に考えたら「そんな大層なことできるのかな」と不安になるかもしれません。しかし私には不安になって行き詰まる時間はありませんでした。
通帳の額面が減っていく恐怖に比べたら、メルマガを始める不安などたいしたことではありませんでした。
*1 2015年当時のアメブロ の仕様による
《第6章に続く》
頑張るママのお助けレシピ
怖い気持ちを乗り越えるには、「腎」助ける食材がおすすめ。
ストレスに打ち勝ち、恐怖を乗り越えるのに大量のミネラルを消費します。
海藻、切り干し大根、ゴマはミネラルを多く含み、腎の働きを助けてくれます。
心臓にだって毛が生える?!恐怖を克服
ワカメと切り干し大根のナムル
材料 3人分
乾燥わかめ 15g
切り干し大根 15g
もやし 一袋
いりごま 大さじ1
ごま油 大さじ1
梅酢 小さじ1〜
醤油 小さじ1〜
<作り方>
1 もやしはさっと茹でる。水気を切っておく。
2 切り干し大根はさっと水で洗い、ざるにあげて水気をきる。水につけすぎないのがポイント。
3 乾燥わかめはさっと水に戻しておく。(生わかめでも美味しいです)
4 1、2、3をボウルに合わせ、そこに調味料を入れて和える。味付けはお好みで調節してください。
5 いりごまを散らしてできあがり。
毎日バリバリ食べられるナムルサラダです。
作り置きもできるので、常に冷蔵庫に常備しておきたい一品です。
パパ向けにはラー油やおろしニンニクなどを入れてもOK。
❏ライタープロフィール
ギール 里映(READING LIFE 編集部公認ライター)
食べかた研究家。京都の老舗料亭3代目として生まれ、現在は東京でイギリス人の夫、息子と3人ぐらし。食べることが好き、が仕事になり、2015年にゼロから起業。現職は食べるトレーニングキッズアカデミー協会の代表を勤める。2019年には書籍「1日5分!子どもの能力を引き出す!最強の食事」、「子どもの才能を引き出す!2ステップレシピ」を出版。
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