ヨガが教えてくれたこと
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:渡辺絵美(ライティング・ゼミ 日曜コース)
「ヨガをやっています」
と言うと、体が柔らかいんだよねと言われることが多い。
残念ながら私はいまだに体は柔らかくもないし、一般的には体の堅い部類にはいるかもしれない。そういう意味では目に見える効果はないかもしれない。
私がヨガを始めてかれこれ10年が経つ。
そもそもヨガを始めたのは肩こりの悪化をなんとかしたくて、自宅近くのピラティス・ヨガ教室をおとずれたのがきっかけだ。
ピラティスならできるだろうと習いにいったのに、いつのまにかヨガのクラスにはまってしまった。子供のころから体が硬いことがコンプレックスだった私がヨガをやっている。
何より自分で驚きだ。なにがよかったのだろう。
当時はヨガブームでおしゃれな教室や雑誌の影響もあるかもしれない。
やってみると、ポーズの名前がいちいち難しい。トリコーナーアサナとかスリヤナマスカーラとか。ただ寝るだけのポーズもシャバアサナだ。ヒンズー語の不思議な響きが神秘的に思えるのだ。
ヨガに大事な呼吸も「吸って、吐いて」とは言わずに「inhale、exhale」と今度は英語だったりする。
今日本で主に行われているヨガは、インドで修業した欧米人が主にアメリカでエクササイズ化したものだ。だからおしゃれなヨガウエアがいっぱいあったり、スタジオにはアロマの香りが漂っていたり、スタイリッシュになっているのだ。
当時ブームだったとはいえ体が鉄板のように固い私は週に2回の練習で、1年間ずっと筋肉痛になりつづけながらもできなかったポーズができるようになっていく達成感が楽しくてしかたがなかったのだ。
でもずっと続いているのは体の変化だけが理由じゃない。
レッスンで言われて最初に覚えていることがある。
「ポーズが出来ている、出来ていないと自分の周りの人と比べない」ということだ。
そういわれたときに、はっと思ったのだ。
今までの社会生活で自分を誰かと比べないということがあったろうか。
学校でも、職場でも、自分と誰かを比べて自分の方が上だとか下だとか漠然と考えてこなかっただろうか。いつも競争しているわけでもないけど、自然と自分の位置を確認しないと不安になってしまっている自分に気づいたのだ。それからはみんなが出来て、自分ができないことに恥ずかしさを感じたり、ダメだと落ち込んだりしなくなったのだ。
そしてレッスンで必ず言われるのが、自分の体の感覚に注意を向け自分を観察すること。
これが意外に難しいのだ。
ポーズをとって5秒間ホールドする。そうすると自然と頭の中に「このあとスーパーに行って夕飯の買い物をして、その後クリーニング屋に寄って...」などといろいろな考えが浮かんでしまう。いかん、いかん、と気持ちをポーズに集中しようとするけれど集中力がなかなか続かない。意識をとどめておくことが難しいのだ。
そうしてレッスンを重ねていくうちに、ヨガのポーズの最後に瞑想を行うことになった。
実はヨガは瞑想を長時間行うための体の鍛錬だったのが本来の姿だという。
座禅を組んで、ゆっくり呼吸する。そして意識を「無」にする。
と、いわれてもやはり頭の中をいろいろなことがよぎってしまう。
「先生、どうしても何かを考えてしまい、無になりそうもありません。」と言うと
「それが普通なんです。意外と人間って常にいろいろ考えているものだから。」
そういえば、仕事から帰ってきて自宅であーでもない、こーでもないって仕事のことを頭の中で考えていることって多いなあと気づかされたのだ。
ヨガをしているとたくさんの「気づき」が私にやってくる。
ただあの狭いマットの上で体を動かしているだけなのに、自分を大事にすることに気づかされたり、自分の思考のくせに気づかされたり。実はこの「気づき」は生活の中で感じる「生きづらさ」を少しだけれど和らげてくれるのだ。
ヨガをただのストレッチだと思う人はただのストレッチになるのだと思う。それはそれでいいのだと思う。でも「気づき」があるからヨガなんだって思うことも素敵だと思うのだ。
そうやって今までいろいろなスタジオでヨガをやってきた。いろいろな先生やいろいろなヨガがあったけれど、どこでも同じように「気づき」は訪れる。
先週初めて行ったスタジオでいろいろなポーズをとって、最後に瞑想を行うことになった。
みんな瞑想ができるわけじゃない。みんなで感想を言って感覚を共有したときに、先生が言ったのだ。
「それが「気づき」の一滴だよね。その一滴、一滴が溜まっていって、ある日器を満たすときがやってくるから」
私の器には今どのくらい「気づき」が溜まっているのかわからないけれど、いっぱいになった時にどうなるのか、私はその時を待っている。
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