『わたしの心は、いつトキメクの?』
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
【2月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:佐藤 弥(ライティング・ゼミ日曜コース)
高校時代、PHSがはやり、次々と周りの友達が携帯をもちはじめた。
「電話帳に、友達の登録件数が〇件になったよ」と
友達の数を競いあったり、自慢したりする子が増えはじめた。
「携帯はやく買ってよ! 連絡先交換しようよ」
そう友達に促されても、しばらくは公衆電話と家の電話を使って、連絡のやり取りをしていた。それで別に困ってもいなかったから。
大学に入り、初めて知り合う友達と遊ぶ約束をしたり、外で待ち合わせをしたりする機会が増えてくるにつれて、確かに携帯があったら便利だなと思うようになった。
周りからは大分遅れをとって、購入したのを覚えている。
私は、周りではやっていることを、自分もはじめてみよう! となるまでに、時間を必要とする。それって、今の自分に本当に必要なの? と、抵抗感が生まれるためだ。
『インスタグラム』をやってみることにも、抵抗感をもっていた。
インスタ映えする写真を撮るため、「いいね!」をもらうため、旅行の風景や料理などの写真を撮って周囲に知らせる。
そのことに対して、なんかモヤモヤっとする違和感を感じていた。
人からすすめられても、「へ~やったほうがいいんだね」と受け流していた。
ある日、買い物目的にぶらぶらと街を歩いていると、路上で演奏している女性の歌声が聞こえてきた。
普段は、ほとんど立ち止まらないのだけれど、その日は何か惹きつけられる声だなと思い、自然と足がとまった。
「なんて素敵な曲を歌うんだろう」気付けば1曲聞き終わっていた。
その女性の足元には、CDが並べられていて、販売されているのに気づいた。
「CD欲しいな」「でも周りで誰も話しかけていないし、自分だけ行くのは恥ずかしいな。声を掛けるのに勇気がいるな」と心の中で葛藤して、なかなか一歩を踏み出せずにいた。
せっかくの出会いを無駄にして、後悔したくないと思い、意を決して話しかけてみた。
「あの、CDを買いたいんですが」
すると、気持ちのいい笑顔で話しに応じてくれた。
CDと一緒に1枚のチラシをくれた。そこに今後のライブ情報は、『インスタグラム』に載せてあるので、登録してくださいと記載されていた。
「登録してみよう!」心がワクワクして、これまで抱いていた抵抗感が減っていた。
一歩を踏み出す力が、一気に加速するのを感じた。
さっそくアプリをインストールして始めていくうちに、多くの情報の中から、自分の欲しいと思う情報を見つけていける便利さに、驚いた。
その感動を友達に話すと、「え、今ごろ? 気づくの遅くない?」と言われたが、自分にとって必要としたタイミングがたまたま今だった、そう思う。
だから無理をして、流行にのる必要はない、とも思った。自分の気持ちに無理をする生き方は、ぜんぜん楽しくないし、続かないから。
その女性と繋がりのある歌手のライブ情報も知ることができた。
平成から令和に変わる節目として『平成最後のライブ』という題目のイベントが目に飛び込んできた。
「その日は暇だし、思い出づくりとして行ってみるか」と、4月30日そのライブを見に行くことに決めた。
そのライブでは、5人の歌手が順番に演奏していった。
その中の一人の演奏が、ずば抜けて素晴らしかった。歌うときの雰囲気、声、表現力その全てに感動して、涙が浮かんだ。自分にとって衝撃的な体験だった。
その方のライブには、それからも続けて見に行くようになった。
私の日常の楽しみに『好きな歌手のライブに行くこと』が新たに加わった。
未来に楽しみがあることは、生きていく力の支えになってくれる。
あのとき勇気を出して、路上で演奏していた女性に話しかけたこと。
『インスタグラム』に登録してみたこと。
『平成最後のライブ』というタイトルに惹かれて行ってみたら、大好きな歌手に出会えたこと。
ふり返ってみると、どれもたまたまの出会いだった。
自分の心が動いたことをキャッチして、実際に行動に移してきたことが、こうして繋がっていった。そして今の人生に彩りができたことが、とても嬉しい。
私の人生も捨てたもんじゃないと、自分のことが前よりも好きになった。
たとえ今、一歩を踏み出せなかったとしても、自分を責めないようにしている。
もし後悔が残るのなら、あのときの自分は、本当はどうしたかったのかな? とじっくり向き合うための、良いきっかけになってくれる。その思いを、次に生かせればいい。
そんな風に捉えなおすと、気持ちも楽になった。
今この瞬間、なにかやってみたいという思いが湧いてきたら、一歩を踏み出してみようと思う。その一歩が、きっと何かに繋がるかもしれない、そんな人生の楽しさを味わっていきたい。
心が動いた瞬間を大切にしていきたい。
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