最高のマインドフルネスと一緒に見つけた大切なこと
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:南園 貴絵(ライティング・ゼミ平日コース)
「マインドフルネスしてる気分になるだけで、いつも以上に思考ぐるぐる脳みそフル回転だわ……」
マインドフルネスを意識すればするほど余計なことを考えてしまう自分に、私はほとほと嫌気がさしていた。
マインドフルネスとは「今、この瞬間」を大切にする生き方や「今、ここ」にただ集中している心のあり方を指す。マインドフルネスの実践により、ストレス軽減や集中力の強化、自律神経の回復などの効果が得られるとされることから昨今注目を集めている。
マインドフルネスというと、まず思い浮かべるのは瞑想ではないだろうか。ヨガや呼吸法なども代表的なところである。他にもジグソーパズルや大人の塗り絵、ペーパークラフトなどいずれも試してみたが、うまく集中できない。「今日の夕飯どうしようかな」とか「明日の仕事のダンドリは……」とか考えてしまうのだ。
こうして数々のマインドフルネスに挑むも、見事に挫折し続けた私がみつけた最高のマインドフルネス。
そう、それは「儀式」や「神事」のようにご飯を炊くこと。
忙しく過ぎていく時間の中で、何かを考えながらお米を研いで、よそ見をしながら炊飯器のスイッチを押し、他のことをしながらご飯が炊き上がるのを待つ。こんな風にご飯を炊いていることが当たり前になっている。
「儀式」や「神事」のようにご飯を炊く。
きっかけは大阪府枚方市楠葉にある「御食事ゆにわ」の店長 料理人ちこさんの映画「美味しいごはん」の上映会&ワークショップに参加したことだ。
「100年先の日本を守るために、今日美味しいごはんを食べよう」
「食べ方を変えると生き方が変わる」
「心を満たすごはん」
気になる方は、ちこさんの著書を読むか、映画を観ることをおすすめしたい。
「儀式」や「神事」というように、まずは台所と自分を整える。
台所に物が溢れ、ごちゃごちゃしているのはダメ。自分自身の呼吸も、気持ちも整える。
そして、お米を研ぐ前に、割れたり、欠けたり、元気がなかったり、黒いところがあるお米などを手で取り除いていく「ハンド・ピッキング」という作業をする。
テレビもつけず、BGMも流さず、静まりかえった部屋でお米を一粒ずつ見る。この一見地味で、おおよそ目は疲れ、肩はこり、背中は張りそうな作業こそ、マインドフルネスだった。
私の場合、2合分のお米をハンド・ピッキングするのに1時間半もかかってしまったが、そんなに時間が経っていたとは思わないほど集中し、作業が終わる頃には清々しい気持ちになった。
そして「土鍋で丁寧にご飯を炊く」という行為。
炊き始めから、炊き上がりまで土鍋のそばから離れないように。もちろん電話やメールをしたり、テレビをみたり、本を読んだりすることもできるだけ避けた方がよい。そう言われると、もうじーっと土鍋をみているしかない。
土鍋から聞こえてくる音の変化、だんだんご飯が炊けてくるあの独特の香り。
目を閉じると稲穂が揺れる長閑な風景が目に浮かび、気づけば涙が溢れていた。
こうしていつもより丁寧に炊いたご飯を、おむすびにして食べた。
お米はふっくら、つやつや輝いており、とても美味しい。
シンプルな塩むすびだけど、おかずもお漬物もいらないくらいの満足感。
一緒に食べた夫も「美味しい」と呟き、バクバク食べていた。
食べ物だけでなく、物や情報に溢れ、効率ばかりを求められる日々。
家事も、仕事も、やらなければならないことが多く、速く速くと急かされる。
速ければ速いほど「有能」というような空気感。
でもそれって、本当に有能? 本当に優先してやるべきこと?
そんな疑問を抱いても、すぐにかき消し、効率ばかり考える日々を過ごす。
そんな日常から、身も心も切り離してみる。
ただテレビやBGMを消すだけでいい。
一度手を止めて、ゆっくり深呼吸するだけでいい。
自然の音と自分の心に耳を傾けると、気づくことがある。
お米を選り分け、炊き上げるまでのわずかな時間であったが情報を遮断し、「今、この瞬間」「今、ここ」に集中したことで感じたもの。
それは、心の豊かさこそ本当の幸せではないかということ。
確かに、美味しいご飯を食べたら、自分や誰かを責めたり、傷つけたりする気にならない。自然と笑みがこぼれ、幸せを分かち合いたいと思うだろう。
「儀式」「神事」のようにご飯を炊く。
本当の幸せに気づくことができ、且つ、美味しいごはんが食べられる。
今まで瞑想ではマインドフルネスの効果を十分に感じられなかったという人にも、食べることが好きな人にも、是非一度試してみてほしい。
思いっきり、目の前のお米に集中すること。
静かな台所で、土鍋からの音と香りに集中すること。
自分自身の心からの声に耳を傾けること。
ポイントはただそれだけ。
とびきり美味しいご飯と最高のマインドフルネス。
このふたつのセットに気づけて良かった。
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