「愛はどこからきてどこに消えていくのかの考察」
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:綿谷しふみ(ライティング・ゼミ日曜コース)
「愛を固定できるスイッチがあればどんなにいいだろう!」いつも恋が終わるたびに、ありえない妄想にとらわれていたことを思い出す。
だって恋の悩みほど不毛なことはないと思うのだ。グルグルと好きな相手のことばかり考えて時間がもったいないったらありゃしない。
こんなことを考えるなら、もっと生産的なことに頭を使った方が余程いい。と思いながらも恋に落ち恋に破れた人たちは、日々、非生産的なことに時間を費やしている。
この人を狂わせる愛は、一体全体どこから来てどこに消えていくのだろうか。
愛と言っても友愛や家族愛ではない。恋愛感情が絡む愛である。
そもそもこの愛はある日突然やってくる。愛が宿った状態は脳内麻薬がでていているハッピータイム。
このハッピータイムはお互いのことが、絶世の美女や美男子に見えるらしい。
幻覚まで起こさせる恋の麻薬の威力ってホントすごい。
感のいい人ならわかるだろう。ここで愛はどこから来るのか答えがでた。
愛とは単なる錯覚。そうなんです! ただの勘違いなのだ。
どういうことかというと、ノーベル経済学賞を受賞したダニエルカーネマンによると、私たちの脳にはたくさんのバイアスがあるのだそうだ。
バイアスとは思い込みのこと。つまりは勘違い、錯覚である。
代表的なのがハロー効果。ハローとは挨拶のことではない。後光のことである。何かひとつずば抜けたところがあると、全てがかさ上げされ、よく見えるという大きな勘違いのこと。
たとえば東大を出ていると、なんだか凄い人のように思ってしまう。たとえ仕事ができなかったとしても、いい風に勘違いされることがある。これは東大という後ろ盾があるおかげだ。
元上司が東大卒だったのだが、指示をだすのも何がいいたいのかよくわからない人だった。
私としては「東大でてるのに頭ワル! 」と思っていたのだが、他の人の評価は違った。
「何がいいたいのかよくわからないのは、東大を出ていて頭がいいからだ。頭のいい人がいうことはよくわからない」であった。
これは正にハロー効果の代表例。もしも東大には足元も及ばない大学卒の上司だったとすると、評価は違ってくるはずだ。
さて、愛とは勘違いの国からやってくることがわかったところで、これを上手く利用するにはどうしたらいいかを伝授しよう。
小悪魔やジゴロと呼ばれる愛の魔法使いたちは、この勘違いをフル動員してターゲットとなる異性の心を奪い取っていく。
どうやって?
彼らは勘違いの掛け算がとても得意なのだ。掛け算を使うことで勘違いしてくれる可能性を大幅にアップできることを知っている。
ここで愛の方程式をご紹介しよう。
意外性×ハロー効果=好きにさせる
何年か前、結婚報告をした芸人さんが、タクシー代のおつりを返してくれた彼女にいたく感動し、結婚を決めたということをテレビで話していたのを聞いたことがないだろうか。
これはまさに、愛の方程式。
彼の発言からすると今までおつりを返した女性はいなかったと推察できる。そんな中、お釣りを返した彼女は意外性があり、そのことがヒトキワ目を引きハロー効果を起こしたのだ。
おつりを返したというだけで、彼女の人格全てがかさ上げされ、こんな素晴らしい女性と出会えることはもうないかもしれないとなり、結婚となったのではないかと思われる。
ここまで読むと、勘違いさせたもん勝ちだと感じたかもしれない。ハイ。そうなんです。勘違いさせたもんが強いんです。
でもちょっと待って。
そうだとすると、ずっと勘違いさせ続ければいいわけで、なぜ破局や離婚が多いのか疑問がわいてくる。
ここで残念なお知らせです。なんと愛は4年で終わると人類学者であるヘレン・フィッシャー博士がおっしゃっています。
前述した愛の方程式は永続的なものではなく、脳内麻薬を出させるための戦略。
この脳内麻薬は長くても4年程しかもたいないのだ。
なんとあっけない幕切れ。愛の消失は脳内麻薬であるドーパミンの分泌がなくなると終了してしまうのだ。
ドーパミンの分泌がなくなると美男だったはずの彼は普通の男に戻り、美女もしかり。
だけど、ここで落ち込むことはない。
恋愛という愛が消失しても、愛が全く消えてなくなるわけではないのだ。愛にはたくさんの種類があり、友愛や家族愛という緩やかな愛に移行していくのだ。
別の愛に移行していくためにはお互いを補いあえることが大前提。
たとえばネガティブな彼女にポジティブな彼という間柄であると、彼女が落ち込んでいる時に視点を変えるように励ますことができる。
まとめると愛とは勘違いの国からやって来て、人を少々狂わせる。そして狂わせていた成分が枯渇すると、燃え上がる愛は消失し他の愛に形を変える。
愛とは複雑なようで単純で、単純なようで複雑なものだと感じる今日この頃だ。
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