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薄っぺらいOne Teamなんて捨ててしまえ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:神岡麻衣(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「どいつもこいつも、『One Team』『One Team』ってうるせーな!」
 
都内のベローチェで、思わず怒鳴ってしまった。同僚のOは驚いていた。
10年ほど社会人をやっているが、私が同僚に怒鳴ったのはこの1回だけ。このとき、私は「One Team」という言葉に嫌気がさしていた。
 
ちなみに、この件を耳にした先輩はこの出来事を「ベローチェの変」と名づけた。おかげでしばらく冷やかされた。
 
2019年秋、ラグビーワールドカップが日本で開催された。このとき日本代表が掲げた「One Team」は、実は私の勤務先での合言葉でもある。
実は2018年春に決めた合言葉なので、世間よりも一歩早く使いはじめたことが自慢だったりする。
 
ベローチェの変は、社員合宿を目前に控えた2019年5月下旬に起きた。
合宿のテーマはもちろん「One Team」だった。準備を担当したOは私を相談役に選んだ。「いつも親身になって話を聞いてくれるから」だそうだ。
彼が経営層にダメ出しをされながらプランを練っていたことを、私は知っている。きっと彼は藁にもすがる思いで私に相談を持ち掛けたはずだ。
 
語気を強めてしまったことは、彼には申し訳なく思っている。
 
ただ、経営層から「やれ」と下りてきたというプランは、正直ときめかなかった。
合コンの自己紹介のような、そんな企画ばかりだった。まるで「練習のための練習」、試合に向けた実践的なものではない。
 
そんななか「One Teamが足りないと言われて……」「どうすればOne Teamにできるのか……」と続くので、つい口調が強くなってしまった。
 
あげくの果てに、「One Teamってなんなんだ……?」と私もわからなくなってしまった。
 
生まれて30数年、それなりの数の組織に所属してきた。
いろんな組織があった。今でも「最高だった」と思えるチームは、もれなく良好なチームワークを発揮していた。One Teamを言い換えるなら、「良好なチームワーク」に行きつくと考えている。
 
チームワークを語るとき、私はバレーボールは最高のスポーツだと思っている。
経験者のひいき目もあるかもしれないが。
得意なポジションやプレーで、6人が力を合わせて戦う。誰かがミスをすれば、誰かがカバーする。3回触るまでに相手コートになんとか返す。穴ぼこを他のなにかで埋める、そんな感じ。
 
「相手コートにボールを返す場所に迷ったら、セッターを狙え」
バレーボール経験者なら、一度は言われたことがあるセリフだろう。セッターがレシーブをしたら、トスをあげることはできない。エースを知り尽くした、セッターからの最高のトスは望めない。
代わりにトスが得意なメンバーがエーススパイカーにボールを託す。苦しい局面も、メンバーの力で補う。
 
助け合う精神を大事にする文化だったおかげで、高校時代に所属したバレーボール部は最高のチームだった。強くなかったけれど、あんなに気持ちのいいチームはない。今でもそう思う。
全員の得意技がはまりあう、歯車が狂いなく回るようなチームだった。
それから15年が経とうとしている。残念ながら、こんなに気持ちのいいチームにはあまり出会えていない。
 
だが、とびきり最高のチームがひとつある。
大学生の時、総菜屋でアルバイトをしていた。午前シフトで一緒になる主婦たちのチームワークが最高だった。
 
フライを揚げるのが早いコガさん、
巻き寿司をあっという間に作り終えるカワムラさん、
接客と製造をマルチにこなすオガワさん、
調理師を目指していたリーダーのセキさん。
 
初めて会った時、テキパキとタスクをこなす姿に驚いた。製造スケジュールに遅れもない。
むしろ余裕がある。
 
トラブルに見舞われても、少し話しただけでリカバリして解決してしまう。
正直、主婦のパート集団とは思えないほどの判断力と対応力だった。
 
このストレスを感じさせないスピード感。気持ちよく回り続ける歯車のような、そんなチームワークだった。
私は、これを超えるチームを求めている気がする。
 
ベローチェの変でOne Teamがわからなくなった私だが、合宿は無事乗り切った。
「他部署の業務体験」という代案の企画を用意し、他の社員の業務や考えていることを体験してもらったのだ。
おかげで社内では、部門を超えたコミュニケーションが活発になった。部門間での連係ミスが減った。
 
「営業チームが、想像以上に顧客からの期待やプレッシャーを受けていることがわかった。アシストできるように製品情報を伝えないといけないと思った」とエンジニアが答えていたので、心の中でガッツポーズをした。
 
合宿のテーマはとりあえず達成できたと思っている。
ただ、One Teamはこれで完成ではない。むしろ、One Teamをめぐる私たちの戦いは始まったばかりだ。
 
すこし時間が経ち、この3月から私は新チームの立ち上げを任されることとなった。
私ひとりで担当してきた業務が、晴れて部署として生まれ変わる。私はその責任者になる。
 
実は、部署の責任者という立場は、私にとってはじめての経験だ。
新しい部署で全メンバーが最大限の力を発揮できるチームを作り上げたい。まだ見ぬメンバーとの仕事が、いまから楽しみだ。
 
 
 
 
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2020-03-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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