「ポップ」を追いかけ続けてもいいでしょ?
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記事:石野敬祐(ライティング・ゼミ平日コース)
「おおー、なんてこった! 2020年、こりゃ楽しみだ!」
そのニュースを知り、鳥肌が立った。東京オリンピック? いや、僕の中でオリンピックのワクワクに勝るとも劣らないのではというニュースが2019年末に発表された。それは漫画「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」(以下ダイの大冒険)の2度目のアニメ化が2020年秋に始まる、そしてゲーム化の話が始まるというものである。この作品をご存知でない方の反応としては、きっとこんな感じだろう。
あ、そうなんだ。(ふーん、それで?)
だが、そういう人にこそ、今更感のあるこの発表ってすごいことだってわかっていただけると思っている。この話はタイトルの通り、ゲーム「ドラゴンクエスト」をモチーフにしたストーリーだ。週刊少年ジャンプ掲載、1989年に始まり1996年に完結している作品なのだ。TBSでアニメ化もされたが、1991年から92年までの1年間だけ。ストーリーも原作から見れば途中までで終わっていた。
結局のところ、そんな流行っていなかったってことじゃない? その時代のジャンプ漫画っていえば、ドラゴンボールとかスラムダンクとかでしょ? そういうほどじゃなかったってことじゃない?
確かに比べてしまうと否定はしにくいが、ドラゴンボールとかが凄すぎただけだ。実は、ダイの大冒険も累計約5,000万部の売上。先ほど調べたところ、とあるサイトでは日本の歴代コミック売上ランキングで27位タイと書いてあった。ダイの大冒険も十分すごい漫画だったのだ。
同じジャンプ漫画でも、今や鬼滅の刃というメガヒットしている漫画もある状況で、続編が作られるわけでもないこの漫画に約30年ぶりにスポットライトを当てると。それだけのものがダイの大冒険にあると信じている人が多いということじゃないか。
ダイの大冒険のストーリーはドラクエらしく、主人公である勇者ダイが魔物に苦しめられている世界を救うために魔物たちを倒し、最終的には魔王を倒す、ざっくりいうとそういうものだ。その中でストーリー展開も面白いのだが、何よりその中に描かれている登場人物が実に魅力的だ。
その中でも、僕がずっとあこがれ続けており、今もどこかで追い求め続けている存在。それが、主人公ダイと初期から行動を共にする仲間、魔法使いポップである。
なぜ、こんなにポップに思いを持ち続けているのか。それは「僕はヒーローになんてなれない」と自分に絶望していたからだ。まだ小さかった僕は、ずっとヒーローになりたかった。でもヒーロー要素は僕に何もなかった。体育はいっつも2。ルックスで目を引くこともない。クラスの中心にいたことなんて夢の中でさえ一度もない。僕が登場する物語があるとすれば、セリフのない通行人その2でも御の字ぐらいの存在だ。
その当時僕の周りではやっていたドラゴンボールにしても、スラムダンクにしても、登場人物は大体みなかっこよかった。負けることがあっても、僕にはレベルの高い負けにしか映らなかった。ドラゴンボールで今や相対的に弱いキャラの扱いを受けるヤムチャだってクリリンだって、十分レベル高いじゃないか。そう思っていた。主役でなくても、脇役でもみんなまぶしく見えた。
そんな僕が唯一共感できたのがポップだったのだ。
ポップはストーリー全体でみるとかっこいい。だが「ちゃんとかっこ悪い」のだ。戦いに勝ち目が薄いと思ったら、ダイたち仲間を置いて逃げたりすることもあるし、調子に乗って失敗することも。空気を読まない冗談を言って仲間にたしなめられる。スケベ心を発揮し、仲間の女性からビンタをされる。そんな一方、ポップの周りでは恋愛模様も繰り広げられる。そんな人間臭さを出しつつも、成長度合いナンバーワンの変化を見せ、主役ダイを食うような大活躍をし、最後までダイの傍らでまばゆい存在感を放ち続ける。
他の登場人物と違って普通であることに悩みつつも成長を続け、そして様々な壁を乗り越え主役を食うような活躍をするポップに、僕は希望しか感じなかった。しかも、ポップという英語にも「大衆的」という意味を含んでいるし。
僕は主人公ダイにはなれない。だが、頑張り続けていれば、ポップにだったらひょっとしたらなれるかもしれない。そう思えた日から、ダイの大冒険は僕の人生のバイブルになった。
今考えれば、なんという思い上がりだろうとは思うが。
今も唯一家の中にある漫画、このダイの大冒険を定期的に読み返す。読むたびにワクワクする。涙を流す。新たな気づきをもらえる。
そんなダイの大冒険が、また今年からアニメやゲームの形で再び動き始める。
そんな時流に乗って、僕も改めてポップを目指して再び動き始める。
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