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メディアグランプリ

アートが断捨離に効く理由


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:近藤佑子(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
高く本や書類が積まれたデスク。物で埋もれ、床が見えないほどになっている部屋のなか、ベッドの上には脱ぎ捨てた服が積まれ、横に押しやって寝るような生活。
 
私は部屋が片付けられない人間だ。
 
「部屋が片付けられないのは天才の証拠」だなんて自分に言い聞かせていたときもあったけれど、部屋が片付いていないと必要な物が探せなかったり、家で作業がはかどらなかったり、当たり前であるが大変に不便だった。
 
そんな私は、数年前、一念発起して部屋の片付けを研究することにした。こんまりこと近藤麻理恵さんの『人生がときめく片付けの魔法』をはじめとして、断捨離、ミニマリズム関連の本を読み漁り、夏季休暇にほとんどどこにもいかず取り組んで、無事、部屋を片付けることができた。その後も、少々散らかったり元に戻ったりを繰り返しながらも、昔のような過度にひどい状態にはならないでいる。
 
私の片付けのベースは、こんまりさんのメソッドが中心だ。「本なら本、服なら服とジャンルごとに全部出して、ときめくか、そうじゃないかで仕分けをする」というやり方を提唱している。
 
自分にとってときめくかそうじゃないか。こんまりメソッドの肝となるこの感覚。
片付けられないのにたくさんのものを買っては捨てられずにとっておいてしまう。
そんな私は、ある出会いがなければ、何が自分にとって「ときめく」か、判断することができなかったであろう。
 
10年前、私はKさんというアーティストの方と出会った。
 
京都に住んでいた頃、京都のグループ展に出展するために京都に滞在中のKさんと、Twitterを通じて知り合った。実際にお会いして、お茶をしながらアートについて楽しく意見交換した。
 
Kさんは、細い筆とアクリル絵の具を使い、根気のいる筆致で作品を制作される方だった。それが「アートを日常に取り入れる生活を提案したい」ということで、デジタルプリント技術を活用し、比較的安価な作品を制作・販売する活動をしようとされていた。
 
当時学生だった私は、Kさんが手に取りやすい価格帯として制作していた5000円のプリント作品ですら買うことができなかった。そのことはずっと心に残っていて、いつかKさんの作品を買いたいと思うとともに、「アートを日常に取り入れる生活」を必死に提案しようとしていたKさんのメッセージが心に残っていた。
 
アート鑑賞を趣味にしていた私は、美術館やアートフェスティバルに行くのが好きだった。有名な作品をまじまじと見て、解説を読みながら、批評家のような気分になること、巨大な作品に向き合って自分がどんな感覚を覚えるかを楽しむこと、そんな鑑賞スタイルでアートを楽しんでいた。アートは生活に根ざしたものではなく、公共空間にあるものだった。
 
そんな私がKさんに出会い、「自分の部屋に飾るとしたらどれがいいかな」「この値段を自分は出せるだろうか」という、お買い物をする視点で作品に向き合うようになったのだ。
 
とある美大生の友人の個展で「これだ!」という作品があった。色味やモチーフが好きな感じだった。しかも、販売価格も当時の私にとって出せない金額ではない。就職と引っ越しを間近に控えた私は、「この作品を新しい部屋に飾りたい」と購入を決意した。
 
引越し後の部屋に飾ってみると、少し古めかしい部屋の雰囲気に作品はマッチした。作業デスクから正面に見える特等席の場所に飾ると、そこは、自分の部屋のなかで最も神聖な場所に思えた。
 
あれから、もともとのお知り合い、Twitterで知った方、展示を見て一目惚れした方、さまざまな方の、自分にフィットする作品を購入するようになった。今では購入した作品数は10はくだらない。
 
購入して後悔した作品はひとつもない。作品を買う際には「ここに飾ろう」とイメージできるものしか買わないから、部屋に飾ったときに昔からそこにあったかのようにしっくりきて、作品同士が相互に連動しあっている。ベッドサイドなら淡い色合いでまとめて安らぎの空間に、デスクまわりはいつも刺激を与えてくれる大活躍のアーティストの作品を飾って自分を奮い立たせるために、別の壁面には夜の星空をモチーフにした作品が自然と集まってきた。
 
アートという、究極に実用的ではないものを真剣に選んで、そして飾るという使いこなし方をする。このことは、自分の身近なものを「ときめくかどうか」で判断するための、究極のレッスンではないかと思うのだ。
 
こんまりさんは、本のなかで、片付いた部屋には新鮮な花を飾ろうと勧めていた。花はときめきをもたらしてくれると彼女は言う。
 
私はアート作品を買うことによって「ときめき」を知ることができた。そんな私は、花のかわりにアートを部屋に飾る。
 
「アートを日常に取り入れる生活」の素敵さに気づかせてくれたアーティストのKさん。10年前は作品を買えなかった私は、いつしか大人になり、Kさんの作品を手にすることができた。ベッドサイドに飾った作品に描かれたのは、Kさんが住む長野に咲く花。その花は、私にときめきをもたらしてくれる。
 
 
 
 
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2020-04-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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