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ホテル自主待機生活を快適に過ごすコツは、ダイエットと似ている


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記事:大城 夢河(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
4月3日。私たち夫婦は諸事情があって、沖縄のホテルで2週間の自主待機生活を送ることになった。沖縄には私の実家があるのだが、この頃から、県外からの移入による新型コロナ感染の拡大が問題視されていた。県知事は来県を控えるよう訴え、県民の間では「空港を閉じるべきだ」という署名活動が展開されていた。
 
そうした状況も踏まえ、実家に行く予定を変更し、那覇空港に到着したあとそのままホテルへ向かった(なお、沖縄へ渡ったのには事情があり、不要不急ではないことをご了承いただきたい)。
 
二人とも在宅勤務が始まっていたので、問題なく仕事は継続できていた。部屋にこもって仕事をし、食事をし、寝る。この繰り返しだ。ただ、最初はつらかった缶詰生活も、1週間を過ぎた頃から健康・快適に過ごすコツがわかってきた。
 
それは、ダイエットに似ている。「食事と運動」を意識することだ。つきなみに聞こえるかもしれないが、非日常な状況といえども習慣が大事なのだ。
 
食事については、当初の想定が甘かった。出来合いの弁当や冷凍食品で2週間は持つだろうと思っていたが、5日目には飽きてしまった。「お腹が空いているが、どれも食べたいと思えない」という状態に陥った。
 
そんなとき、私たちを救ったのが無水鍋だった。
無水鍋とは、水を使わずに野菜など食材が持つ水分だけで蒸し煮をするものだ。水を使わないからなのか、食材の味がぎゅっと濃縮されとてもおいしい。
 
私たちはこの待機生活が始まる前、料理研究家リュウジさんの考案した「無水千切り大根鍋」に大いにハマり、毎週のように食べていた。
結婚式の自己紹介で、夫が「嫁が作る好きな料理」という質問に対して無水鍋、と答えるほどだ。これはさすがに複雑な思いがした。そんなに好きなら一生食ってろ、と思い、しばらく無水鍋しか作らなかったが、それでも夫は嬉々として食べていた。
とにかく、シンプルで簡単、おいしいのだ。
 
待機生活の話に戻る。
さいわいホテルにはIHコンロがあり、近くのスーパーでは鍋が売っていた。鍋を見た夫の「無水鍋食べたいな……」という一言で、ようやく、自炊するという選択肢が浮かびあがった。
 
鍋、アルミホイル、お玉(またはスプーン)、めんつゆ、塩。この5つの基本道具に、白菜と豚バラまたは牛コマ肉で、手軽に無水鍋を楽しめることがわかった。洗った白菜をちぎって入れ、お肉を乗せ、めんつゆと塩をふりかけ、アルミホイルで蓋をし、弱火で20〜30分。以上。
 
包丁がないので、手でちぎることができ、かつ水分量が多い白菜を使うのがミソだ。冷凍のお肉でも十分においしいので、買い置きして買い物の回数を減らすこともできる。
シメはパックごはんで雑炊にする。沖縄のスーパーでよく見かける、沖縄そば麺も安くてボリュームがあり、なかなか良い。塩は、「雪塩」を使うと最高においしい。沖縄の恵みを堪能した。
 
今度からは(「今度」があって欲しくないが)、鍋と調味料セットを持参しようと思う。電子レンジがあればシリコン鍋でもいい。素材を調理して食べることが、QOLを劇的に上げてくれた。食事は本当に大事だ。
 
ダイエットの2本柱のもう一つ、運動については次の2つを意識して行った。
 
・お昼休みに、人気のない道路を片道20分ほど、往復約2キロ散歩をする。
・ラジオ体操を1日1〜2回行う。
 
沖縄は車社会だ。ホテルの近隣は路上を歩く人がほとんどおらず、人とすれ違わずに散歩ができる。夫と、会社の同僚とランチに出かけるノリで散歩をするのも、新鮮で面白い。お散歩ルールは、一緒にやれる人がいると続けやすいと思う。家庭持ちの強みだ。
 
そして、ラジオ体操。これは日本人の財産だと言っても過言ではないと思う。子どもの頃は大した刺激も感じられなくて、「これのどこが体操なんだ」と愚痴っていたが、これは大人のための運動なのだ、と今回勝手に納得した。
 
二十年ぶりぐらいに聴くのに、あのピアノのイントロが流れると自然に体が動く。自分でも奇妙な感じがするし、愉快でもある。
個人的には「両うでを大きく回す運動」が肩こりに効いて大好きだ。誰もいない公園の原っぱで、力の限り、グルングルンと腕を振り回すのが最高に気持ちいい。
 
第1部だけなら3分、第2部までやっても6分で終わる。座りながらもできる。なんて素晴らしいカリキュラムだろう。
音楽はラジオアプリで聴けるし、Amazon Prime Musicでも配信している。体操のやり方が分からなければテレビ放映もあるし、動画もある。今こそみんなでラジオ体操をしよう、と大声で呼びかけたい。
 
以上のとおり、ダイエットと似ていると書いたものの、特にストイックなことをしているわけではない。食事と運動について意識的に習慣を取り入れることがコツだと思う。
 
今回のケースは色々と特殊な条件もあるが、これから先、別の形で非日常的な生活を強いられたとき、この経験が役に立つと思う。
 
この記事を書いている今は13日目を迎えたところで、明日まで発熱などの体調異常がなければ晴れて出所である。実家に帰ったら、土鍋の「無水千切り大根鍋」を心ゆくまで食べたい。
 
 
 
 
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2020-04-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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