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メディアグランプリ

大学講義での「知の出会い」を仕事にする!
~人生100年時代に迷わず仕事を続ける秘訣を探る

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*この記事は、「取材ライティングゼミ・マスタークラス」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

ライターになるための力を徹底的に身につける天狼院「取材ライティング・ゼミ《マスタークラス》」

<取材・構成 宮地輝光(取材ライティング・ゼミ)>

将来に向けての希望を叶えるために高度な専門知識を学びたいと考え、医歯薬系、理工学系、法学系や体育学系といった専門性の高い大学に入学したものの、価値観が大きく変化する社会において、大学で得た専門知識が仕事する上ではたして役に立つのか、不安に思う学生は決して少なくないだろう。
しかし、実社会では大学講義での学びをきっかけに、会社組織の中で、あるいは独立して、専門知識を活かしたことを仕事にして活躍する人が大勢いる。その一人であるコーディスポーツ代表の寺尾大地氏に話をうかがった。
寺尾氏は、順天堂大学スポーツ健康科学部の講義で出会った「コーディネーション理論」に基づいて、2009年に幼児から小学生への運動指導を主な業務とする「コーディスポーツ」社を設立。現在では8つの保育園での体操教室やその他運動教室を開催し、毎週450名を超える子供たちの運動指導を行うと共に、子供たちに運動の愉しさを伝える指導法の普及にも力を入れるなど精力的に活動されている。
その寺尾氏の話から、大学講義から得た知の出会いと学びの経験を活かして仕事を選択し、そして迷いなく続けていくための秘訣を探った。

子供たちに「身体を動かす愉しさを伝える」ことが私の仕事

私たちコーディスポーツでは、「スポーツで人と人をつなぐ、スポーツで人とスポーツをつなぐ、スポーツで脳と身体をつなぐ」を使命として掲げ、幼児や小学生といった成長期の子供たちへの運動指導を主な業務としています。
個別競技のスポーツスクールとは違って、運動を通して達成感や自信、運動って愉しいといった想い、子供たちどうしがうまくコミュニケーションをとれる愉しさ、そういったものを創る環境要因をコーディネートすることをめざしています。
また、自分の知らないスポーツに出会う場もコーディネートしたいと考えています。先日、私たちの運動教室でテニスを経験した子が、テニスが愉しくなったから教室を辞めてテニススクールに行きたいと申し出てきました。こういった子供たちが好きなスポーツを見つけるきっかけをコーディネートしたいと思っています。
運動指導のベースとしているのは「コーディネーション理論」です。この理論を噛み砕いて説明すれば、ただ同じ動作を繰り返すようなトレーニングではなく、いろいろと変化をつけて運動神経の回路をたくさん作っていくことで、運動神経が鍛えられる、という理論です。
「変化をつけて」というのは例えば、右手でボールを投げたら次は左手で投げるとか目をつむって投げるといった具合に、「投げる」という動作をするための身体の動きにさまざまな変化をつけるのです。こうしていくつもの動きを組み合わせて動作を行うことで、運動神経の組み合わせが増え、運動能力を伸ばすことができます。
コーディネーション理論は、東ドイツでスポーツ競技の専門的な強化法の一つとして発展したものです。この理論に基づいたトレーニングは運動神経を鍛える方法論であるため、サッカー、ラグビー、バスケットボールといった個別の競技にかかわらず取り入れることができるのが特徴です。近年では、さまざまなスポーツ競技のトレーニングとして取り入れられ、スポーツ界における理論的トレーニング法の進歩に貢献する理論の一つとして受け入れられつつあります。
しかし、運動神経を鍛えるコーディネーション理論は決してアスリートの人たちだけに通用するようなトレーニング方法ではありません。子供から高齢の方々まで、老若男女の方々がそれぞれの目的で活用できるものとしても研究が進んでいます。
そこで私たちは、コーディネーション理論を基にした運動指導を通して、幼児や小学生といった成長期の子供たちに身体を動かすことの愉しさを伝えています。

大学講義で出会った最新の専門的運動指導法

コーディネーション理論に出会ったのは、大学2年の後期に開講された「体つくり運動」という講義でした。体つくり運動というのは、身体のうまさとか、身体への気づきを鍛える運動のことですが、この講義の中で出てきたコーディネーション理論の話がすごく面白いと思ったんです。
そもそも私が大学進学を決めたのは、身体の使い方とその指導法を専門的に学ぶためでした。私は小学校の6年生から野球を始めたのですが、中学生になるとしばしば肩とか肘を痛めるようになりました。ところが、高校に進学して野球部の先生に投げ方を教わると、全く怪我をしなくなりました。それだけなく、投げる球も速くなりましたし、コントロールもつくようになりました。この身体の使い方ひとつで身体を動かす愉しさが劇的に変わった強い驚きが、大学で学ぶ大きな動機でした。
コーディネーション理論の話は、まさに私の学びたいことそのものでした。
この講義の後、友人からコーディネーション運動同好会といった活動があることを聞いてすぐに入会し、子供たちへの運動指導を始めました。わからないことは先輩から教わったり図書館で本や論文を読んで調べたりして学びました、私が大学在籍時には、コーディネーション理論について日本の先駆者であった東根明人先生が順天堂大学におられましたので、トレーニングの指導についてアドバイスをいただくこともできました。
この同好会活動での子供たちへの指導経験がコーディスポーツの活動へとつながっていくことになります。
コーディネーション理論との出会い以外にも、今の運動指導に役立っている講義はあります。例えば、吉村雅文先生の「専門サッカー」という講義です。
吉村先生は、よく学校の先生が指導をする時に黒板に書く「今日のめあて」といったものを決めてしまうと、日本人はまじめだからそれだけしか学ばないからやってはならない、とおっしゃるんです。初めて聞いた時はびっくりしました。
学びの中身は人それぞれで違うものです。ですから、学びを一つに方向付けてしまうより、指導した後に子供自身で何を得られたのかを理解できるほうが大事です。だから、指導者はテーマをあたえてしまうのではなく、指導者自身はテーマをもっておくだけで提示せず、それでもそのテーマが子供達に伝わるのがいい指導ではないか。これが吉村先生が教えてくれた指導の考え方でした。
この指導法を実践するとなるすごく難しいです。でも、この吉村先生から教わった指導の考え方が私にとっては一つの指針になっています。今でも、なるべくテーマを先に与えてしまわないよう、子供たちに問いかけて、子供たちの中から引き出す、ということを一番に考えて指導してます。
例えば、子供たちに聞いていって、子供たちの中から自分の指導テーマがでてきたときには「あ、そうだよね」と声掛けして話をするようにしています。
また、自分の指導テーマとは違っていても、「いろんな意見あるよね」「それもわかるよ」「そういったこともあるのね」と基本肯定します。そう捉えるのか! という驚きのある考え方が子供たちから出てくることもあります。子供たちの自由な発想は、とても面白くて刺激になります。

実践的な講義で「やってみなければわからない」を経験する

サッカーの話題から、講義での大失敗を思い出しました。大学3年生の講義での実践課題として初めてサッカー指導をした時のことです。相手は同じ体育系の学生ですから、身体を動かすのは普通以上に好きなはずなのに、全然面白くなさそうなんです。
私には部活動などでのサッカー経験はなくて、指導する相手はサッカーをやっている学生でした。ですから当然、予めコーチングをする内容を考えて、準備して講義に挑みました。ところがやってみると頭が真っ白になってしまい、準備したことは何一つできませんでした。
この失敗で、自分では準備してきたつもりでも、全然足りないことを痛感しました。それ以降、指導相手の性格や自分が伝えることへの相手の反応といった指導相手のイメージをより具体的に作るようになりました。そして、いかにして伝えれば興味をもって聞いてもらえるような話ができるかといった、練習メニュー以外の部分も準備するようになりました。
大学の講義では必ず指導案を作って提出します。指導の教員からは「決して単位のためでなく、自分のために作るんだよ」と教わりました。ですから、今でも指導案を毎回作成しています。こういった準備をしておけば、ある程度のことは対応できるようになりました。それ以来、指導を成功させるには準備が8割だと思っています。
講義を受けるといくらでも失敗は起きえます。でも講義そのものをとらなければ失敗しませんし、得られるものも得られません。ですから興味があることはもちろん、興味がなくても一度は講義を受けてみました。それで興味がなければ講義にでなければいい話です。そう考えて講義に出ていた結果、私は230単位ぐらいの講義を大学ではとりました。
ずっと「失敗」と言っていますが、それは単に「うまくいかなかった」だけのことで、その経験は実践の場でしか得られません。座学の講義で聞いた知識を自分の中に取り込んで、それをいかにアウトプットするかということを実践的な講義で考え実行することが、知識を自分のものにしていく過程として大事だと思います。
大学時代はいろいろな「うまくいかない」を経験できますし、うまくいかなくてもまだ責任は重くはありません。しかし、社会人になると責任も重くなるので、うまくいかない経験をすることに躊躇してしまいます。
でもやはり、大学でも実社会でも、うまくいくかいかないかはやってみないとわからないものです。例えば、私は大学卒業後に公立中学校の教員になりましたが、それを辞めた経験があります。これも、自分のやりたいことを中学教員としてはうまくできなかっただけのことでした。
公立中学校という環境では、私がめざしていたコーディネーション理論を取り入れた指導は難しかったですし、身体を動かす愉しさを伝えるには中学生ではすでに成熟しきっているなとも感じました。
これは教員という仕事をやってみて初めてわかったことでした。ですから教員を辞めることも、自らコーディスポーツを立ち上げて小学生や幼児を対象とした運動指導を始めることも躊躇いはありませんでした。

自分に「強い想い」があれば仕事はブレない!!

やってみなければわからないという姿勢以外には、「自分の想いをブラさない」ということも大事だと思います。
コーディスポーツでの活動を始めてからも、たくさんのうまくいかないことがありました。でもコーディスポーツでの活動を止めようとは思ったことはありません。これは、私に「子供たちにも運動をずっとずっと続けて欲しい」という想いが強くあるからでした。
子供たちに運動を続けて欲しいという強い想いを私が持っている理由は二つあると思っています。一つは、これまで自分が出会った大勢の方々を見てきて、運動の上手い下手に関わらず、運動が好きで続けている人は、とても幸せにしている人が多いと感じているからです。
例えば、一緒にやっているフットサルチームの方に、決して上手くはないのですが、無茶苦茶楽しそうにプレーする方がいるんです。そういう方の姿は、すごく素敵だなと思うんです。上手や下手という狭い価値観にとらわれずに、仲間と一緒に身体を動かすことが大好きで、その時間を思う存分に楽しんでいる、その姿に感動します。
そういった方々を見てきて、やはり運動を続けていくことは大切だと感じます。「継続は力なり」という言葉がありますが、「継続は幸せなり」かもしれません。運動を続けられれば、人生100年時代を幸せに生きられるのではないでしょうか。ですから子供たちにも、愉しく身体を動かして、身体を動かすことが大好きになって、ずっと運動を続けていってほしいと思っています。
もう一つの理由は、運動が愉しくないなと思っている子供たちの姿をみると悲しいと感じるからです。
基本的に子供は、一見単純な運動でも身体を動かすことが好きなものです。昔の話に遡って狩猟採集していた時代の人間を考えれば、身体を動かしていなければ生き残れなかったはずです。ですから、人間は誰しも運動が愉しいと思えるようにDNAができあがっていると思います。
だから本来ならば子供たちに愉しさを敢えて伝える必要はないはずです。ところが実際には、運動は愉しくないな、と思っている子供たちが大勢いるんです。
何故か? その理由は環境要因だと感じています。運動というのは基本的に自由で、自分の思った通りに身体を動かせばいいはずです。ところが大人から運動の自由を制限されたり、尊厳を損なうようなことを言われたりすると、身体を動かすことが愉しくなくなってしまうんです。また、上手い子が威張っていて下手な子は蔑まれるといった雰囲気が子供たちの中で作られてしまっていると子供たちから聞きます。
ですからコーディスポーツの運動教室では、単に身体の動かし方を教えるのではなくて、身体を動かすのが苦手な子も得意な子も身体を動かすのを愉しいと感じることができる雰囲気を作るようにしています。

「強い想い」によって仕事の幅も広がっていく

強い想いがあることで、仕事がブレないだけでなく、仕事の幅が広がっていくことも感じています。
例えば私たちコーディスポーツは、スポーツを通してたくさんのことを学ぶ経験をできるだけ多くの子供たちにして欲しいと思っています。ですから理想としては、私たちの活動内容を各小学校でもできればいいと思っています。そのため、私たちの考え方を先生方や親へと広めていくためのセミナー活動にも力を入れるようになりました。
また、私たちの活動を多くの人に知ってもらうため、FacebookやYouTubeを通して活動を公開したり、私たちの考えをnoteで記事にしたり、卒業生へのインタビューを通して卒業した人たちの成長を伝える活動にも力を入れ始めています。こういった活動を通して、子供たちに運動の愉しさを伝えるコーディスポーツの活動を理解してもらおうと思っています。
こういった子供たちへの運動指導以外への活動の広がりはすべて、「子供たちにも運動をずっとずっと続けて欲しい」という想いを広く理解してもらい、できるだけ多くの子供たちに愉しく身体を動かして欲しいからです。
私は子供の頃から運動が大好きで、スポーツを愉しむ中でたくさんのことを学ぶことができました。ですから、これまでに私自身が経験してきたスポーツを通して学ぶ愉しさを子供たちにも経験して欲しいという想いをコーディスポーツの使命に詰め込みました。
コーディスポーツを設立してから11年が経ちました。子供たちに伝えたいことは尽きません。これからも子供たちへの「愉しいの伝道師」となって、身体を動かす愉しさを精一杯伝えていきたいです。

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2020-05-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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