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天職を辞めて転職した話


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記事:渡邊千尋(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
四年半続けていた書店員を辞めた。
これには正直、自分でも驚いた。辞めるほんの少し前までは一生この仕事を辞めないだろうなと思っていたからだ。
 
書店員の仕事は、端的に言えば私にとって天職だった。
 
書店員というのはかなりの重労働だ。重たい本を何冊も持って移動したり、書籍を入れ替えるのに、ほぼ必ず上下運動をしながら棚を整える。私が勤めていたのは某大型書店の本店だったため、特に担当する物量は多いほうだった。
勤めた当初は、毎日筋肉痛で死にそうだった。先輩方には腰を痛めてる方も多かった。それでも、昔から元気が取り柄の私はほとんど身体を痛めることなく続けることが出来たので、体力面でもかなり向いていたと思う。
 
必須業務であった接客も、私は好きだった。レジ打ち担当の時間になると、同僚のほとんどは嫌な顔をしていくのをためらっていたけど、私はむしろ自ら進んでレジに入ることが多かった。学生時代からカフェアルバイトなどを経験していたこともあり、接客そのものが好きだったのだ。
その分、理不尽なお客さんに当たってしまうことも多かった。嫌な思いもたくさんしたし、訳も分からずおじさんに怒鳴られて泣いてしまったこともある。それでも、接客が理由で辞めたいと思ったことは無かった。
 
一年目は覚えることがいっぱいで余裕もなく、仕事ってしんどいなって思うことはもちろんあった。
だけど、二年目三年目からは余裕が出来てきて、営業に来た出版社の方から本について教えてもらえることが楽しくて好きだったし、チームの売上を管理するようになってからは、考えて売上を伸ばしていくことも楽しかった。指導社員として、何人もの後輩に接客業務を教えたり、知識を伝授するのも好きだった。
 
何より、一緒に働いていたメンバーが私は大好きだった。同僚も後輩も、私のことをきちんと認めてくれていて、楽しむときは全力で一緒に楽しんで、仕事になったら意見を言い合うことも出来る素敵な関係が出来ていた。
仕事も学校も、一番大事なのは人間関係だと思う。どんなに好きな仕事をしていたとしても、一緒に働く相手が冷たかったり、マイナスなことばかりを言っていたりしたら、好きなことも楽しめなくなってしまうから。その点でも、私は周りの人間関係にかなり恵まれていて、たくさん救われていたと思う。
 
書店員の仕事は、どこをとってもやりがいがあって楽しくて、辞めたいと思う理由はひとつもなかった。
 
じゃあ、なんの不自由もなく楽しくやっていた天職をどうして辞めることになったのか。
 
理由は、なんの不自由もなかったことだった。
きっかけ自体はいくつもあって、副業としてイラストを生業にしている先輩が身近にいたことや、自分の文章スキルを伸ばしたいと飛び込んだ先で、縁あって声をかけてもらえたことが結果として今の仕事に繋がった。
でもそのタイミングが、書店員一年目のときだったらきっと私はこの道に進んでいなかったと思う。四年半経って、自分にとっての天職を知ったあのときだったから、私は辞める決断を出すことが出来た。
 
高校二年生の頃、進路を決めるにあたって文系・理系、どちらのコースに進むのかを決めなければいけないことがあった。特別苦手な教科があるわけでもなく、何か進みたい進路が明確にあるわけでもなかった当時の私は、悩んで父に相談をした。
得意な教科はないのかと聞かれ、どちらかと言えば国語が得意かな、と返した。その頃から文章を書いたり本を読むのは好きだったから。すると父は、
 
「それなら理系に進みなさい。学ぶなら、苦手なものを学んだ方がいい」
 
と言ってくれた。正確な言い回しは違ったかもしれない。でも、得意なものを究めるのが当たり前だと思っていた私には、この助言はすごく意外で驚いたことを覚えている。
 
それから私は、何かを決断するときにはこの言葉を思い出すことにしていて、転職を決めたときもそうだった。
書店員の仕事と今の仕事、どちらも”やりたいこと”という点では同じだった。そうして、今自分が出来ないことって何だろうと思ったときに、今のライターという仕事こそ自分が究めたいと思うことだった。
 
今の仕事は正直大変なことが多く、毎日悩んでるし毎日本当にこれであってるのかな、と不安になることが多い。あの時辞めなければもっと楽に過ごせたんだろうな……と思わないこともない。
 
でもその分、知らなかったことをたくさん知れるようになったし、少しずつでも自分が成長していると感じられる部分がある。天職に満足してじっとしていたらなれなかった自分に、きっとなれていると思える。
ライターという仕事に、明確な正解はない。だからきっと、この仕事が天職だって思えることはそんなにすぐには訪れないだろう。ライターが天職だと言い切れるその時まで、私はこの職業を究めていきたい。
 
 
 
 
***
 
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2020-05-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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