ここだけの話、浦島太郎が今どこに存在しているか、僕は知っている。
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:和田成正(ライティング・ゼミ日曜コース)
ここから先は絶対に読んではいけない……。
……
まだ読んでくれているあなたに、これから3つの質問をしたい。
まず1つめ。
「あなたは、浦島太郎を知っていますか?」
そう、あの超メジャー作品。浦島太郎だ。
おそらく日本人のほとんどは、上の問いに「知っている」と答えるはずだ。
もちろん僕も知っている。
浦島太郎は、子供たちにいじめられている亀を助け、亀の背中に乗って海の中にある竜宮城まで行って、乙姫様や城の者にもてなされて、存分に楽しみ、帰る時には、「絶対に開けてはならない玉手箱」をもらって地上に戻り、最終的にはその「絶対に開けてはならない玉手箱」を開けてしまい、おじいさんになってしまう。
超簡単にまとめると、こんなところだ。
「知ってるに決まってるじゃないか」そう思っている人がほとんどだと思う。
では、ここで2つめの質問に移りたい。
「あなたがもし浦島太郎だったら、絶対に開けるなと言われた、あの玉手箱を空けない自信がありますか?」(もちろん開けたらどうなるかはわからないって状態で)
どうだろうか?
絶対に開けてはならない玉手箱をあなたは開けない自信はあるだろうか。
正直に告白する。僕は無理だ。絶対に開ける。
中が気になりすぎて確実に開けてしまう。
あなたにも経験ないだろうか。
「絶対○○○するな」と言われれば言われるほど、そうしたくなってしまうことが。
このように禁止されると逆にやってみたい衝動に駆られる心理現象を「カリギュラ効果」という。
「カリギュラ効果」という名称は1980年に公開されたアメリカ・イタリアの合作映画「カリギュラ」が語源だとされている。
「カリギュラ」は、カリスマ的なローマ皇帝・カリギュラを主人公とする歴史映画。しかし実際は、あまりにも過激で残虐なシーン、性的なシーンが多く問題作と言われていた。
そんな「カリギュラ」に不快感を明確に示した都市があった。
それは、アメリカの東海岸に位置するボストン。
数々の名門大学があり、風紀に厳しいボストンは「カリギュラ」の上映を禁止する。
しかしボストン市民は上映が禁止されたことでかえって作品への興味をかき立てられ、許可されている他の州までわざわざ映画を見に行く人が激増した。結果として「カリギュラ」は大ヒットし、ボストンでもついに映画の上映を解禁せざるをえなかった……という出来事があった。
もし僕が当時ボストンに住んでいたとしても、間違いなく「カリギュラ」を見に行っていたと思う。どんな手を使ってでも。
そんな僕は、絶対開けてはいけない玉手箱を空けないまま放っておくのは、やはり不可能である。きっと浦島太郎大先輩と同じことを僕もやる。
繰り返しになるが、浦島太郎は日本人のほとんどが知っている超メジャーストーリーである。どれだけ時が経っても、大体の人が浦島太郎の物語を説明することができる。
脳科学によると、人間は13歳までに与えられた情報で、思考や感情、感覚、行動の傾向性が大体決められると言われている。
昔話を聞くのは、大体子供の時だろう。
つまり昔話というのは、僕達が意識している、していないに関わらず、現在の感情や行動にむちゃくちゃ影響力があるのだ。
もちろん浦島太郎もその中の1つだ。
開けちゃいけないというものを、開けてしまう。
「○○しちゃいけないものを、○○してしまう」のは、子供の時に僕たちの頭の中にインプットされてしまっているのだ。
現在日本は、コロナウイルスの緊急事態宣言が終わりを告げようとしている。
ここ2か月のニュースもコロナ関連のことばかりだった。
そんな中、スーパーに長い行列ができている映像が流れたり、休業していないパチンコ店のお店の名前を公開して、次の日には多くの人が並んだりしている映像が、ニュースやワイドショーで流れている。それを見た司会、コメンテーターの方達が、
「スーパーで買い込むのはしないように!」
「パチンコには行かないように!」
視聴者に向かってそう伝えているのを何度となく見た。
すごく気持ちはわかるし、僕も同感だ。
しかし……
それだと、人は反応してしまうのである。
並んででも、それをしたくなってしまうものなのだ。
パチンコに行かないようにと声をかけるよりも、家で好きなことをやるようにと言う方がそうしてくれる可能性が高い。
さらに、心理学の観点から言うと、パチンコに並んだ人数を発表するよりも、パチンコに行かなかった人数を発表する方が効果があるのだ。
最後に3つめの質問を。
「浦島太郎が今どこに存在するか、知っていますか?」
もう大体答えはわかっていると思う。
そう、浦島太郎は僕たち日本人の中に今もずっと存在し続けているのだ。
僕たちの意識できていないところに、浦島太郎は今も生きている。
追伸
冒頭でここから先は絶対に読んではいけないと書いておきながら、最後まで読んで頂いたあなたに心から感謝したい。
***
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