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運命を変える、言葉の魔法


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記事:楠田 真奈美(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「こんな毎日から抜け出したい!」「日常を変えたい!」
かつて学生時代から社会人3年目ぐらいまで自分が毎日のように考えていたことだ。(強いて言うなら、今も少し考えている) きっと、当時の私と同じように考えている人も多いのではないかと思う。
 
やりたいことや買いたいものはたくさんあるけれど、収入を考えるとどれか我慢しなくてはならない。旅行に行きたくても休みが取れず、連休の時はかなり値段が上がって損した気分になる。ストレスの溜まる職場で頑張って働いても、給料はそれほどもらえない……。こういった事に何度もぶつかるうちに、いつしか運命を恨むようになった。
お金持ちの家に産まれていたら全く違う人生だったに違いない! と家柄が良い人を嫉む時もあった。
 
ある日ふと、本当に運命は変えられないのかと疑問に思い、その足で書店に向かった。キャリアアップなどのテーマが並ぶビジネス書のコーナー……ではなく、女性としての生き方をテーマにした淡い色合いが目立つコーナーで1冊の本に出会った。その本にはこう書かれていた。
 
「運命を変えたければ、言葉遣いを変えなさい」
 
たったそれだけ? これを読んだ時の率直な感想である。ポジティブな言葉を使い続けると意識が変わるというのは聞いたことがあるが、言葉遣いを変えるだけでそんなに変わるものなのか? と半信半疑であったが、藁にもすがる思いだった私は、早速実践してみることにした。
 
コテコテの大阪弁や汚いとされる言葉を使うのをやめ、代わりに全国どこで使っても恥ずかしくない標準的な言葉を使うようにした。例えば、「うまい→おいしい」「マジ→本当に」といった具合である。
最初こそ慣れないものの意識して正すことでだんだんと定着し、自然と綺麗な言葉を使うようになった。
 
そこでふと気づいたことがある。言葉遣いを変えることで自分でも気づかないうちに、仕草も少しずつ変化していったのだ。前はどちらかと言うと荒っぽい仕草で物の扱いも荒かったが、知らず知らずのうちに丁寧に扱うようになっていた。また、座り方や食べ方など普段のちょっとした仕草も変化し、以前よりも上品な印象になった。
 
すると、自然と似たような人と付き合うようになり、交友関係が変わっていった。地元に帰っても、以前よく遊んでいた友人とは疎遠になり、代わりに今まであまり話さなかった人と仲良くなって連絡を取り合うようになった。それが良いか悪いかはわからないが、明らかに周りの環境が変わりだしたのである。
 
交友関係が変わるのと同時に、仕事にも変化があった。言葉遣いを変えた影響で話すテンポが少しゆっくりになった影響で心に余裕が生まれたのか、どのように処理すれば効率が良いかを考えながら仕事をするようになったため以前よりも仕事が早くなり、またミスをすることも減った。すると、人間関係が上手くまわるため楽しく仕事が出来るようになり、以前のように嫌々仕事に行くということもほぼなくなったのだ。
 
更には、新たに出会った友人の紹介で華やかなパーティーに誘ってもらうことも度々あった。華やかな世界は自分とは一生無縁だと思っていたので、こんな世界に自分がいることが信じられなかった!
以前では考えられないような貴重な経験をたくさんさせてもらい、自分自身がどんどん変わっていくのを体感していった。
 
確かに言葉遣いを変えるだけで、私の人生は変わった。ただ、それは変えれば瞬時に効くような魔法ではなく、少しずつの積み重ねが巡り巡って自分に返ってくる自然の節理のようなものである。
言葉遣いを変えると、「自分は上品な人だ」と脳が無意識に錯覚し、知らないうちに行動や人格まで変えていた。最初は脳が勘違いしていただけだが、そのうちそれが定着し、本当に全てが変わっていったのである。
 
「運命を変える」と聞くとかなり大袈裟に思えるが、実際には毎日のほんの少しの積み重ねであることに自分の経験から気づいた。何事も変えたいと思うなら、コツコツ少しずつ頑張り続けることが一番の近道なのである。
 
運命が変わってからしばらく経ち、地元に帰ってきて環境がまた大きく変化した。冒頭で「今も運命を変えたいと少し思っている」と書いたが、油断していたのかまた少しづつ昔に戻りつつある。地元に戻り、昔の感覚が濃くなったのか以前よりも言葉が荒くなっている気がする。と同時に、思い通りにいかないことも増えた。やはり言葉遣いが変わると、変化が顕著に現れる。
 
変わってしまったことを環境のせいにせず、また言葉遣いを改めて自分が思う方向へ進んでいきたい。また、環境を変えたいと悩んでいる人に、言葉遣いを変えることの重要さが広がることを願っている。
 
 
 
 
***

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2020-06-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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