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メディアグランプリ

個人情報と言う砂の城に隠された「秘密」の話


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:高柳翔子(ライティング・ゼミ通信限定コース)
 
 
コールセンターで働いている私は、お客様へ案内する時に「個人情報保護」と言う言葉をよく口にする。
本人以外から問い合わせがあった場合には「個人情報保護の観点からご本人様以外への案内を控えさせて頂いております」と案内する。本人からの問い合わせに対しても「個人情報保護の為にお客様から情報を仰っていただいた上で、正誤でご案内しております」とまず伝えて確認しながら案内を進めていく。
個人情報の管理が厳しいのは当然の事だ。住所や電話番号、生年月日、パスワードなど様々な個人情報を取り扱う会社はその管理を厳しくしなければいけない。個人情報が簡単に漏えいされれば、漏えいされた側の人間には多大なる支障が出る。漏えいしたという話になれば当然その企業はバッシングされ、厳しい罰を受ける。
だけど最近私は個人情報を守ってと言うのなら、個人情報を持つ人間も果たすべき義務があるのでは、と考えている。もちろん大半の人間はきちんと個人情報が漏えいしないように自衛して管理している。だがこれから私がしたいのは「個人情報」を隠れ蓑にした、その人間が持つ「秘密」についての話だ。
 
「悩み事を家族や友達に相談するなんて嫌だ。個人情報だもん」
これは10年以上前、私が高校生だった時に読んだある小学生を取り上げた新聞記事の文言だ。衝撃が強すぎて今でも覚えている。彼は身近な人間に悩み事を相談しない代わりにそれをブログに書いて名前も知らない誰かに聞いてもらっていると書いてあったからだ。
この新聞記事では小、中学生のインターネット事情について取り上げていた。当時はブログやmixiがようやく注目を集め始めた時期だったと思う。私も趣味関連でブログを書いていたし、学校の友達よりもインターネット上で繋がって交流していた人の方が数は多かった。だから共感できるところもたくさんあった。けれど私はこの文言を読んで違和感を持ってしまった。
私は悩み事や愚痴を含めて自分の話をする事にほとんど抵抗がない。むしろ自分の話を聞いてほしいという気持ちが強い。だからブログやSNSをやっていて、自分の事を積極的に発信する。それでも本当に誰かに隠したいと思う悩みや考えは誰にも口にしない。インターネットにも書き込まない。言葉にして世に発信した時点でその身近な誰かに見つかってしまうリスクが上がるからだ。
だから私はこの小学生に対して「個人情報だからと身近な人間に悩みを秘密にするのであれば、最後まで誰にも言わなければいいのに」と思ってしまったのである。個人情報を主張するにはあまりにも無防備な気がしてしまったのだ。
 
個人情報保護を主張する一方で、個人情報の管理が甘い人が多いのではと思った例はまだある。それは誰にも内緒で借金をしたり高額商品のローン契約を組んでいる人々の内、支払いが遅れている人間が意外と多いと言う事だ。
誰かに内緒で借金したり、高額商品をローン契約で購入することは簡単だ。今の時代は利用明細をWebで閲覧できるようにしておく事が出来る。郵便物の発送先も勤務先等自宅以外の場所を選べる。
ところがその秘密はある過ちを犯せばいとも簡単に崩壊する。その過ちとは「支払いの延滞」だ。
支払いが遅れた場合、自宅への郵便物の発送を拒否する設定にしていても督促状は本人が住む自宅にのみ発送される。また本人が住んでいる自宅や携帯電話宛にも支払いを催促する連絡がいく。会社側は家族にばれないようにできる限り配慮して督促するが、わかる人にはわかってしまう物。結果家族に秘密がばれて、とんでもない事態に発展してしまう。
その為、信販会社の督促部門のコールセンターには「お前らが督促状を送ってきたせいで妻に借金がバレて離婚問題に発展した。どうしてくれる。これは個人情報の漏えいだ!」と言うクレームが後を絶たない。私が読んだある督促コールセンターのオペレーターが書いたエッセイ本にそう書いて私はまた疑問に思った。そもそも延滞しければこんな事にはならなかったんじゃないのか、と。
きっとローンを契約した当時は問題なく毎月支払いできると確信していたのだろう。けれど突然予定通りに給料が入ってこなくなったり、急に別途お金が必要になってその支払いにまで回らなくなる事もある。その辺りも考慮に入れた上で契約を交わせなかったのか、と思ってしまったのだ。
私の父もかつて母に内緒で高額商品をローン契約で購入した事がある。それが発覚したのはやはり何かで延滞していた時だった。その当時は離婚寸前に陥ったが、祖母に父親が泣きついて何とか残債を一括返済して離婚は免れた。以来、父親は勿論私も高額商品は貯金して一括で購入するようになった。どうしてもすぐに購入したい時は家のお金で先に立て替えてもらい、家の支払いを管理する母親宛に毎月返済していた。それも借金であることには変わらないけれど、家族で情報共有しているので誰かに秘密にしていない。それに支払いが万が一遅れても迷惑をかける人間は少なくて済んでいるので私はこれでいいと思っている。
 
個人情報は砂の城だ。どれだけ美しく、そして立派に作り上げたとしてもちょっとした事で簡単に崩壊してしまう。例えば海に作られた砂の城であれば突然波に攫われて崩壊してしまったり、近くで誰かがボール遊びをしていて、そのボールが飛んできて砂の城を破壊してしまったり。作っている段階で砂が固まりきっていなくて崩壊してしまう事だってあり得る。砂の城を守る為には様々な破壊されるリスクを考えて作らなければいけない。それを面倒だと思ったり、砂の城を破壊した原因に怒りをぶつけてしまうような人間には、そもそもその場所に砂の城を作る資格はない。
住所や電話番号、生年月日、パスワードなどを守る為に様々な工夫をし、注意を払っている人間はたくさんいるだろう。だけど自分が持つ誰にも言えない秘密を守る為に注意を払っている人間はどの位いるのだろうか。個人情報を盾に秘密を抱えている事に心当たりがある人は今一度確認してみてほしい。……今生きている世界が崩壊する、その前に。
 
 
 
 
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2020-06-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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