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飲み歩けないなら、歩き飲めばいいじゃない。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:タカハシナナ(ライティング・ゼミ通信限定コース)
 
 
2020年4月7日、新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的に発令された政府の緊急事態宣言は、5月25日をもって全ての都道府県で解除された。
今回の一連の出来事は、各所にいろんな影響を残した。仕事で出社することがほとんどできなくなったし、予定した旅行もキャンセルした。
そして私の最大の趣味「飲酒」も、工夫が必要になった。
だがそのおかげで、究極の飲酒法を見出すことに成功したのだ。
 
それは「歩き飲み」という。
 
流行がはじまった3月半ばごろから、飲み屋は軒並み営業自粛、短縮営業になった。感染防止を考えると、うかつに出歩けない。「贔屓の店が潰れないでくれ!」と念を送るしかない。テイクアウトやクラウドファンディング出来るお店には出来る範囲でお金を落とした。
お店で飲めないとなると、残念ながら家で飲むしかない。
もともと晩酌の習慣はあったが、zoom飲みという新しい飲酒形態も試してみた。缶チューハイやウイスキー、ボトルワインを買い込んで画面越しの飲み会に勤しむ。これはこれで、想像以上に楽しかった。
まず、外で飲むより安価に楽しめる。コンビニのツマミは品数が充実しているから、飽きもこない。
そして何より、泥酔しても粗相のリスクが少ない。ガンガン飲んで酔いが回ったら「ごめん、もう寝るわ!」の一言で退散できる。お冷をガブガブ飲んで歯を磨き、大好きなお布団に潜り込むだけだ。これまでの飲み会は帰りが悲惨だった。ぎゅうぎゅうの終電でちょっと気持ち悪くなりながら帰って、自販機のペットボトルの水を抱えて家に転がり込んでいた。
それと比較すると、リモート飲み会、あぁなんて楽ちんなのだろうか。
お店の美味しいごはんとお酒もよかったけど、家飲みも十分楽しいじゃないか。
 
そんな飲み習慣がすっかり定着したある日、体重計に乗って愕然とする。
+3.2kg。
仕事での外出も減り、運動不足のところに連日の深酒が効いてしまった。
アラサーのお腹のタプタプは、予想以上にしつこいと聞く。
 
以前からの運動の習慣がない私は、とりあえず散歩してみることにした。
だが、軟弱な私には、「ただただ歩く」のですらストイックすぎるから、目的の場所を選んで歩くことにした。
例えば、朝少し早く起きて、家から徒歩20分の美味しそうなパン屋まで買い物に行く。
お花見はできないけど、名残惜しいから桜を眺めに、30分歩いて大きな公園に行ってみる。
するとどうだろう。歩くのは全然苦にならなかった。
 
春の気候の良さも手伝ってくれたのもあるけれど、散歩にはいいところがたくさんある。
電車で通り過ぎるだけだったエリアで、知らなかったお店や公園を見つけることができる。
住宅街をふらふら歩いていると、ちょっと変わったマンションや豪邸に出くわすのも面白い。
地図ならいつでもGoogle Mapで確認できるけど、実際歩いた道だけの脳内地図が拡張して行くのはとても刺激的だった。
自分の足だけで、一体どこまで歩いていけるだろう?
 
そう思っていたある日、前から気になっていた有名なジビエのお店が、テイクアウトメニューを始めたことを知った。
ジビエというのは野生動物の肉のことで、例えばキジ、鹿、イノシシなど。牛・豚・鶏にはない、独特の風味が魅力で、お酒のアテにはぴったりなのだ。
そのお店は、田園都市線沿いに歩いて4駅離れた繁華街にある。片道1時間、往復2時間の道のりだ。チャレンジする価値はあるが、なかなかの距離だ。途中で嫌になるかもしれない。
そこで私はカバンにビールを詰めていくことにした。なんとなく、飲みながらならいける気がしたのだ。
店と店をはしごする「飲み歩き」ではなく「歩き飲み」だ。
 
この読みは大当たりだった。
ちょっと疲れた頃合いにビールの栓を抜いて、一口飲む。そうすると喉の乾きを癒せるのはもちろん、気分も上がる。でも歩いているから血行がいいし、座って飲むより酔っぱらうこともない。歩くことに忙しいから重いお酒をたくさん持ち歩くこともできないし、飲みすぎの心配も少ない。(※別途水やお茶などで水分補給はしっかり行いましょう)
幾多の幹線道路を越えて手に入れたジビエ料理は色とりどりでジューシー。家に残っていたボトルの赤ワインと合わせると、格別の味だった。受け取りのときお店の人に「えっ、1時間歩いたんですか?」と呆れられたが、歩く価値があるテイクアウトだった。何より、ビールのおかげでそんなに苦でもなかったのだ。
 
このことでよく学んだのは、酒飲みにとってほどほどのお酒は歩くためのガソリンになるということだ。前から街なかでカップ酒を飲みながら歩いている年配の方を見ると「大丈夫かしら」と思っていたが、もしかするとそういう用途だったのかもしれない。
もちろん飲みすぎは事故のもとだから、よく気をつけたほうがいい。万人には勧めない。ただ酒飲みにはこんな裏技も使えると知っておくと、100年に1度の非常事態もきっと楽しく過ごせるだろう。
 
緊急事態宣言が明けて、街も活気づいてきた。なじみのお店も座席間隔を空けて営業再開している。
とはいえ、感染の第二波には用心しなければならない。大勢での飲み会や、混雑した店をはしご酒するのはリスクが大きい。こんなときに「歩き飲み」だ。
お酒のテイクアウトが出来る店も増えたところだし、涼しい夜はお酒片手にぐるりと歩いてみるといいだろう。慣れ親しんだ近所でも、まだまだ発見があるのではないだろうか。
 
 
 
 
***
 
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2020-06-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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