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メディアグランプリ

大阪名物、〇〇焼き


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:ちゃんなな(ライティング・ゼミ通信限定コース)
 
 
「今度大阪出張するんだけど、おすすめのお店ある?」という質問をもらうことがある。
確かに4歳から18歳までの14年間を大阪で過ごしたけど、その間は当然お酒が飲めたわけではないから、大人が仕事終わりに行くようなお店のことは正直よくわからない。しかも私が大阪を離れてから、繁華街・梅田は再開発が進んでガラッと変わって、東京の大規模ターミナル駅と店構えに差がなくなってきている。
それでも一軒だけ、万人に絶対におすすめできる、とっておきのお店がある。行った人は100%「美味しかった、ありがとう」と満足げに報告してくれる。
食べログで検索していろいろ悩むくらいなら、騙されたと思って500円だけ握りしめて行ってほしい。
 
そのお店は梅田の地下にある。
複雑に入り組んだ梅田の地下街を「阪神百貨店」への案内を目印に歩き、デパ地下エリアを抜けると出現するフードコート「スナックパーク」を目指してほしい。
お好み焼き、焼きそば、うどんといった関西名物や、お値打ちの寿司や海鮮料理を提供する店が軒を連ねる中、いつ行っても長い行列が目立つコーナーがある。
 
その正体は、大阪を代表する粉もん「いか焼き」のお店だ。
わざわざ大阪に行ったなら、食べるべきは「たこ焼き」ではない。たこ焼きはどこでも食べられる。家でも焼ける。
だから食べるべきは絶対に「いか焼き」なのだ。
「いか焼き」と聞いてあなたが思い浮かべるのはどんな食べ物だろうか。
日本の一部地域を除いて、ほとんどの人はイカをまるごと鉄板で甘辛く焼いた、縁日の屋台料理を思い浮かべるようだ。
けれど大阪出身者の考えるそれはまるで違う。我々にとってのそれは、細かく切ったイカの入った、ダシの効いたクレープのようなものだ。ソースを塗ってお箸でいただく。
ソースとイカが嫌いな人以外、万人が美味しく食べられる絶品料理なのに、たこ焼きのようにあちこちに屋台があるわけではない。梅田の阪神百貨店の地下でしか買い求めることができない、極めて希少な食べ物なのだ。
私はこの食べ物の存在を母親から教わった。
母の出身地は大阪の隣・京都だが、京都でさえ「いか焼き」と言えばイカの丸焼きのことを指すそうだ。就職して大阪に通うようになってから阪神百貨店のいか焼きを知り、その美味しさの虜になったという。
京都では当時誰も薄焼きのいか焼きを知らなかったため、母は「大阪にはこんなに美味しいものがある!」と家族や近所の人に配って回っていたらしい。
子どもを産み専業主婦になってからも、母のいか焼き愛は健在だった。たまに用事があって平日昼間に都心に出かけると、家族へのお土産としていつも10枚ほど買って帰ってきた。
学校から帰ると、おやつとしていか焼きを食べさせてもらえる。そんな日は私も弟も「いか焼きあるの!? 食べる!」と飛んで跳ねて喜んだものだ。
 
いか焼きはおやつに丁度いい。原料はとにかくシンプルで、小麦粉とダシ、そしてゲソ。それらを混ぜて直径15センチほどに丸く焼いて折っただけだから、夕方に1枚食べても夕食が食べられなくなるほどではない。飲みに行く前の0次会にもおすすめだ。
製造工程は至ってシンプルだが、家でつくることはできない。阪神百貨店の店の厨房を覗けばわかるが、巨大な鉄板でプレスして焼き上げる必要がある。この工程のおかげで他の粉もん料理にはないモチモチの食感が生まれるという。
たこ焼きの鉄板は今や全国のご家庭でおなじみになるほど普及した。だけどいか焼きのあの大きな鉄板を、私は他で目にしたことがない。東京はもちろん、大阪でも。
大阪名物とつく粉もん料理はたくさんあるけれど、たこ焼きもお好み焼きも、全国に展開するチェーン店である程度美味しいものが食べられる。だがいか焼きは違う。だから大阪出身者は口を揃えて「『阪神の』いか焼き」と言い、帰省の際は隙を見て梅田の阪神百貨店に立ち寄るのだ。
いか焼きの特徴として「シンプルな美味しさ」「珍しさ」を挙げてきたが、最後にもうひとつ推させてほしい。
「とにかく安い」のだ。
なんと1枚152円(税込)。1957年に阪神鉄道の初乗り料金と揃えて売り出されてから、ずっと同じ水準を維持し続けているという。
阪神百貨店スナックパーク内では、焼きたてのいか焼き2枚と小さな生ビールのセットで500円だ。万が一気に入らなくてもたったのワンコインだ。
 
だからどうか、この記事を読んだあなたも大阪に行ったらいか焼きを食べてほしい。
60年間、阪神百貨店で大阪人を癒やし続けてきたいか焼きは、大阪が隠し持ってきた心のふるさとなのかもしれない。
 
 
 
 
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2020-07-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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