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隣のモデルさん


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:栗林弘志(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「ガハハハ!」
 
突然の大きな笑い声が店中に響いた。
 
ここはアメリカンチェーンのカフェ。
 
間引きされた席に数人が座っている。
 
テイクアウトのお客が数人並んでいる。
 
みんな思わず声のする方を見た。
 
うわっ、すごい美人さん!
 
どう見てもファッションモデルと思うような白人女性。
 
今はカジュアルな黒のジーンズに黒のTシャツに黒のワーカーズブーツ。
 
ベンチで一人でパソコンに向かって何やら作業中。
 
その間もすごくチャーミングな笑顔でニコニコしている。
 
イヤホンで誰かと話しをしている。
 
「ガハハハ!」
 
すごい大きな声でまた笑った。
 
でも笑顔が絵になってるから、見てる方も楽しくなってくる。
 
こういう人は日本人にはいないなー!
 
そのおおらかさ、カジュアルさ、気さくさ。
 
なんで普段の仕草からして、こんなに違うのだろう?
 
話してる英語のアクセントはアメリカンイングリッシュ。
 
やっぱりアメリカ人は豪快だ!
 
日本人みたいにこじんまりした雰囲気はない。
 
心から楽しんだり怒ったり、裏表があまりない。
 
本人はイヤホンをしているからか、結構大きな声で話している。
 
時々カタコト日本語も混ざって、それがまた可愛らしく聞こえる。
 
どうやら翻訳の仕事をしているようだ。
 
自分の翻訳は終わったから後は誰々に任せるよ、みたいなことを言っている。
 
きっと頭も良いのだろう。
 
それにしても周りの目は気にならないのだろうか?
 
注目を浴びることには慣れっこの様子。
 
全く気にしている様子はない。
 
黒のマスクをしているが、あごにひっかけたま放置。
 
お店の割り振りで席が一メートル以上離れているので、特に気にはならない。
 
アメリカ国内の新型コロナ感染状況はひどい状態だが、彼女を見ていると、細かいことは気にしない大らかなカルチャーのせいかと、妙に納得してしまう。
 
これではアメリカの感染拡大は当分収まらないな。
 
そんな思いがよぎった。
 
おっと、仕事の時間だ。
 
自分は席を立った。
 
先客の彼女は、立ち去る気配はない。
 
まだ当分パソコン越しに、おしゃべりするのだろう。
 
それにしてもとびっきりの笑顔がめちゃくちゃ魅力的だ!
 
誰かに似てるな!
 
そうだ、電車の中でよく見かける歯医者さんの広告で、白い歯を見せて思いっきり笑っている金髪女性に似ている。
 
同じ人ではないが、周りに安心感と癒しを与える笑顔。
 
ウイルスを吹き飛ばすかのようなオーラを振りまいている。
 
このパンデミックで人の心はすさみがちだ。
 
世の中の暗い雰囲気。
 
マスクをしていない人を見ると嫌悪感が走り、できるだけ避けようとする。
 
マスクをしていると今度は笑顔なのか怒っているのか分かりにくい。
 
面倒なので人を避けようとする心理が働く。
 
みんなちょっといら立っている。
 
このところ仕事で外出が増えてきた。
 
学生も普通の授業に戻っているようだ。
 
ここへ来る電車も、それなりに混んでいた。
 
電車内のアナウンスは、あまり大きな声で会話するのはご遠慮ください、みたいなことを言っている。
 
しかし、高校生、大学生たちは、数人で固まって、車内でおしゃべりに夢中だ。
 
久しぶりに顔を合わせれば、話したいことはたくさんあるだろう。
 
それは心情として分かるものの、でもその近くには居たくない。
 
誰か注意するかなと思っても、最近はトラブルが多いので、みんな関わらないように無視している。
 
これまで何か月も移動制限をされてイライラが募った。
 
でも今度は制限解除で移動するとイライラが募る。
 
そんなときだから余計に笑顔が大事だと感じる。
 
こんなエピソードを思い出した。
 
イラク戦争の時、アメリカ軍の兵士が現地に進軍し、次々と街を占領下に置いていった。
 
そんなある地域でのできごと。
 
一時的な占領下に置くために戦車を先頭に米軍の大部隊が街に入った。
 
司令官の機転で兵士全員に対して「我々は街を解放するために来たのだからとにかく笑顔を絶やすな」と命じた。
 
その結果、街の人々は、米軍の物々しい重装備にもかかわらず、兵士を過剰に恐れなくなりトラブルなく受け入れてくれるようになった。
 
戦争下で、人々の心はすさみ切っていたのだが、たった笑顔になるだけで心をほぐすことができた。
 
今は世界中で新型コロナと戦っているので、みんな一種の緊張状態を強いられている。
 
そんなときだからこそ、心からの笑顔に出会うとホッとするのだろう。
 
今日のふとしたことで見かけた笑顔が、心に明るさを与えてくれた。
 
その後の仕事がうまくいったことは言うまでもない。
 
これからは、彼女ほどの飛び切りの笑顔ではないけれど、自分も大らかな気持ちになって笑ってみようと思う。
 
家に帰ると、家族がお笑い番組を見てゲラゲラ笑っていた。
 
いつもなら、またお笑い番組か、たまにはもっとましなものを観たらどうだ、と思うところだ。
 
でも、まあこれも幸せのうちだな。
 
今夜は自分も一緒に笑ってみるか。
 
いつの間にか大らかな気持ちに感染していた。
 
思わず心の中でつぶやいた。
 
こんな感染なら大歓迎だな。
 
 
 
 
***
 
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2020-07-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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