「もう頑張るしかない」はただの白旗だ
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:Hiroki(ライティング・ゼミ通信限定コース)
「あぁ、もう頑張るしかない」
気づいたら、もう試験前日の夜だった。
明日は大学の試験があるが、なかなか勉強は進まない。
まだまだ覚えないといけないことはたくさんある。
……とにかく、頑張るしかない。
そこから一夜漬けで頑張った。
そして迎えた試験当日、とりあえずやれることはやった。
そのはずだったが、結果は散々だった。
「あぁ、これはもっと頑張るしかないな」
そう思って、次の試験はもっと早めから頑張って勉強をした。
しかし、散々だった。
「とにかくやるしかない」
そう思って、その次の試験はもっと一生懸命勉強した。
バイトも休んで、睡眠時間も削った。
でも、やはり結果は散々だった。
また単位を落としてしまった。
これ以上落としたら本当に留年してしまう。
僕は途方に暮れた。
どうしてだろうか。
自分は頑張っているはずだ。
自分より勉強していない人だって、もっといい点をとって合格している。
試験の前日までバイトをしている人もいた。
試験前に飲み会をしていた彼も合格したらしい。
では、なぜ?
そんなの納得いかない。
自分と同じグループの友達でも、テスト前でも部活の練習に明け暮れていたが、合格している人がいた。
正直、癪だったけど、彼にどのくらい勉強しているか聞いてみた。
「だいたい1週間前くらいから予定のない日は少しずつやって、あとは前日に一気に覚えるかな」
……予想通りの答えだ。
それで受かるなら苦労はしない。
しかし彼は続けた。
「最初のほうは過去問とかを見て、出題傾向をつかむよ。それで必要なところを見定めて、そこを集中的に覚える感じだね」
なるほど、ちゃんと考えてやっているのか。
「今度またテストあるし、一緒に勉強するか」
こうして、次のテストの勉強は彼とすることになった。
テスト2週間前、彼は過去問を眺めつつ、教科書やプリントを整理していた。
勉強はまだしていない。
「勉強しないのか?」
彼に尋ねてみた。
「してるよ! まずはどれだけの範囲があるか見てるんだ」
なるほど。
1週間前になって、彼は過去問を解いていた。
解けないところが多く、ノートや教科書で確認しながらやっている。
3日前くらいになると、過去問を見つつその周辺の知識など、ノートを見ながら確認している。
今まで使ってきているので、どこに何が書いてあるかはある程度把握しているようだ。
そして前日は今まで見た範囲を確認している。
こうやって彼の勉強を見ていると、たしかにやるべきことはやっているが、あまり必死にやっている感じはしない。
なんだか拍子抜けするが、一緒に勉強していた僕もそんな感じだ。
そんな中でテスト当日は迎えた。
当日は「ものすごいできた!」というわけではないが、ある程度は書けたと思う。
そして、結果は……
合格していた。
そうか、これでいいんだ。
そう思った。
それもそうだ。
やるべきことをしっかりやれば受かる、それが試験だ。
思い返せば自分は「頑張るしかない」と言いながら、ただ自分の不安をかき消すためだけに勉強をしていた。
必死になって、何かを犠牲にして、それで勉強した気になっていた。
でもそれは違った。
試験の勉強で一番大切なのは「何をやるべきか考える」ところだった。
でも、自分は「とにかく頑張る」ことが目標になって、それが疎かになっていた。
目的地を確認せずに全速力で走りだしたって、目的地にはたどり着けない。
しっかり目的地を確認することに時間をかけて、
いつまでに到着すべきか考えて、適切な道を歩いていく。
それこそが目的地にたどり着く唯一の方法なのだ。
「頑張るしかない」なんて言葉は、「何をするべきか考える」ことを放棄しただけのただの白旗だった。
ただ、ひたすらやることで思考停止の言い訳をしていただけだ。
それで「自分は頑張った」なんて言っていたらいつまで経っても結果はついてこないのも当たり前だ。
「必死になるのは良くないですね。「必死」というのは、「必ず死ぬ」ということなので」
「なので、必死にならなくてもいい方法を、あらかじめ考えましょう」
そういえば、大学受験のときに高校の先生がそう言っていた。
その言葉の大切さが、今になって改めて心にきた。
それ以来、がむしゃらに勉強を頑張ることはやめた。
まずは2週間前になったらテスト範囲を確認して、必要な教材をまとめる。
そして、過去問をみながら周辺知識をさらっていく。
前日は無理せず、今までやったところを見直す。
バイトも部活もやっていたけれど、それをするようになってからは単位を落とすことはなくなった。
それどころか、常に平均より上の成績をキープできるようになった。
テストだけじゃない、スポーツでもなんでもそうかもしれない。
「頑張るしかない」なんて言わずに、きっちりと「何をするべきか考える」ことこそが、本当の意味で「頑張る」ことなのだろう。
たとえ、ぱっと見は楽をしているように見えたとしても。
***
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