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リーダーはライオンの雄を目指せ! そして誰でもリーダーになれる!

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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:きさらぎ(ライティング・ゼミ通信限定コース)
 
 
「今年はすごいですね! 出席率もいいし、みんな協力的だし。
さすがですね~。私、来年同じようにできるか心配だわ」
PTAの会合が終わった帰りに、来年同じ役をする人から声をかけられた。
 
私は中学校のPTAで副会長であり、母親代表という役を仰せつかっている。
会長は行事での挨拶や他校とのつきあいが中心で、学校内PTA行事は母代が取り仕切っている。
 
PTA役員を自ら申し出てくれる人はほぼいない。
だいたいは、くじ引きなどで、嫌々? 無理矢理やってもらう現状で、例年、会合の出席率も悪く、他校との合同行事でドタキャンということも度々あるのだ。
 
今年は違っていた。冒頭の言葉のように、みんなとても協力的に取り組んでくれている。
そして案外楽しそうに。
 
「どうしたら、そんなに上手に仕切れるのですか? もともとリーダーシップがあるから? 真似してできるものじゃないのかしら?」
 
「私は決してリーダータイプじゃないのよ。むしろ、マイペースで自分だけで何かをやる方が得意。大勢の集団でなにかするのはどちらかというと苦手」
本当にそうなのだ。謙遜ではない。
 
では、どうやってPTAを切り盛りできたのか。
 
それは今を遡ること30年近く前のこと。
入社2年目の私は、新規事業の立ち上げメンバーに選ばれ、しかも自分の企画が採用され、リーダーとして進めていくことになった。
リーダーといっても、上司2人の他には、パートの女性7人がいるだけの小さな部署だが。
自分の企画を進められる嬉しさと誇らしさが、絶対に成功させたいという強い思いにさせる。
やる気に満ちあふれていた。
そしてリーダーとして、皆にテキパキと指示をして、仕事のできる女になりたい!いまでいうと、いや少し前、ドラマ「BOSS」の天海祐希さんのようなイメージだった。
 
立ち上がりから飛ばしていく私。
やって欲しいことは正確に伝えていたし、皆の仕事の細かいところまで把握しようとしていた。そして逐一報告してもらい私が決めていく。
そう、全部自分で管理し、自分で決めて、やろうとしていた。
残業しても「やることリスト」は減る所か増えていくし、担当同士の連絡ミスでイベントが飛びそうになったり。
頑張れば頑張るほどうまくいかない。
 
イライラMAXで臨んだミーティングで、悪びれるでもなく、期日までに間に合わないかもしれないと報告があがってきたときに、私の中の何かがプチっと切れ、もうどうでもいいや、知らん、とやけくそになった。
 
「そうですか。何か間に合わすことのできる方法はありませんか?」
 
私がどう考えてもないのだ。他の人にそんなアイディアがでるとは思えない。
どうにでもなれ! あとで上司に報告して私が叱られたらいい。オープンが遅れるのはしょうがない。なんなら会社を辞めてもいい。
 
「あのう、よろしいでしょうか」私の母くらいの年の女性がおずおずと手を挙げた。
 
彼女は自分のアイディアを説明してくれた。
とてもいいアイディア。これなら十分間に合う。
もっと早く言ってくれたら良かったのに、という私に、決まったことだけを指示されて、言う雰囲気になかった、と言われた。
 
リーダー失格。
そして、かっこ悪すぎる。
 
私はそれからなんにもしないことにした。
 
自分のリーダーシップのなさと、たいしたアイディアも能力もないことに気がついたから。
仕事丸投げ。
やる気がなくなったのではない。
みんなそれぞれの部分で能力が高いことに気がついたのだ、私よりもずっと。
そのかわり、空いた時間は皆とコミュニケーションを積極的に取るようにした。
仕事を丸投げしているのだ、当然かける言葉は感謝からはじまる。
家族のことや趣味などの雑談から、業務改善などの固い話しまで。
そして、最終的になってほしい仕事の結果と私の熱い? 思いを伝え、心から信頼して仕事を任せる。
必要なものはたった3つ。コミュニケーションと信頼と褒めること。
褒めてもお世辞はだめだ、本心からのみ。
褒めることは「認めている」ことでもある。
 
結果がうまくいけばその人の手柄、悪ければ私の責任。
リーダーとして唯一の矜持だ。
 
ライオンの雄はあんなにも立派な風貌で強そうなのに狩りに行かない。
狩りをするのは雌だ。
でもきっと、ライオンの雄は、狩りに出かける雌に
「いつもありがとうね。君のとってくる獲物が一番美味しいよ」
なんて声をかけているのかも。
 
PTAでも同じようなやり方をした。
忙しいなか、引き受けてくれたことへの心からの感謝。
そして、みんながそれぞれ担当を持つように業務を分けて(その作業もまかせる)取り組んでもらう。
言われてやったことより、自分で決めてやったことの方が責任を持ってやることができる。
当たり前といえば当たり前のことだ。
部会ごとに全部まかせるので私の出番はどこにもない。
私はにこにこ笑って、場を和ませるように声かけするだけ。
 
PTAの一年間の活動を終える時、多くの人に、「楽しかった、引き受けて良かった!」と言ってもらえた。
一番近くで見てきた来年度の母代は、そのやり方なら私にもできそう、と自信を持てたようだ。
 
いま、急にリーダーになって、自分に務まるのか不安になっているあなた。
大丈夫です。
大船に乗ったつもりで、みんなに丸投げしてください。
もちろん、その人が得意なことを見つけてね。
そのためにもコミュニケーションは必要なのです。
そして、手柄は他の人へ、失敗の責任はあなたのもの。
大事なことなのでお忘れなきように。
 
ライオンの雄は狩りをしない。
雌に丸投げだ。
でも、それがうまくいくコツなのだと思う。
 
 
 
 
***
 
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2020-07-18 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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