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「不登校」はブートキャンプだ~短期集中プログラムのススメ


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:早瀬亜由子(浜松ライティング・ゼミ)
 
 
「またみんなに噓つきって言われた」
 
車の後部シートからハスキーな声が聞こえた。
信号待ちのミラー越しに怒りなのか悲しみなのか、どちらとも言えない顔。
 
かける言葉を探すけど、どれも上滑りで無責任に感じてしまう。
彼は7歳のわりに早熟で大人の都合や逃げをすぐに見破る。
 
好奇心旺盛で実験好き。モノの見方や目のつけどころも独特。
親の目からみた彼はとても面白いのだが「みんなとうまくやれるか」はまったく別の話だ。
 
本日の案件は「ガソリンと走行距離」
同じ性能の車を同じ距離だけ走らせた時、ガソリンは同じだけ減る。
誰かが車の話をはじめて、そういう流れになったので彼はそれに異論をとなえた。
 
「早く走ると同じ距離でもガソリンは早く減るよ」
 
なぜだかこれが大炎上し彼は何度目かの噓つき認定をされた。
 
まあ、いつものことだけど。
 
一事が万事、そんな感じなので先生に相談してみたこともある。
「背も高くて目立つタイプですが穏やかな性格なので言い返したりやり返したりってコトはありません。穏やかなゆえにみんなから強く出られてしまうのかもしれません」
 
つまり要約すると
「なんかあいつ気に入らないんだよね。何言ってもブチ切れて暴れたりしないからやっちまおうぜ」っていうことでしょうか?
と、聞いてやりたかったがやめておいた。
「事実」とか「正解」とかもう全然関係ない、ただの多数決。
学校というところは多かれ少なかれこういう理不尽が横行するところだ。
 
四年生なったとき決定的なことがおきた。
当時の担任に
「こんなにひどい書き取りはない。消して書き直しなさい」
と、クラス全員の前でノートをさらされた挙句、消しゴムで1ページ消して書き直しをさせられた。
「頑張ってやったのにみんなきたねーって笑ってた」
無表情がかえって痛々しく感じた。
 
「ディスレクシア」
学習障害のひとつで一般的理解能力には異常は見られないのに読み書きにに関して著しい困難を抱える。
 
いろいろ調べてみてここに辿り着いた。全ての謎が繋がった瞬間だった。
「字」の認識が苦手で成績の悪い彼が何を言っても認めてはもらえない。
彼が「わかっていること」を誰にも、先生にさえ「わかってもらえない」というのが突きつけられた現実。
頭の中のことをカタチにできない辛さ。
 
「学校いかなくていいよ」
「いいの?」
「うん、もっといい方法があるよ、きっと」
 
中学は地元公立ではなく私立にした。
田舎では中学受験はまだ珍しい。
エスカレーターなら万が一また学校にいけなくなっても対処できるという大人の事情もあったが一番は本人の希望だった。
オープンスクールに参加して決めた学校だったが一年の二学期からまた「不登校」になった。
やっぱりみんなとは「うまくやる」ことができなかった。
 
「定期テストだけはきちんと受ける」というのが担任との約束だった。
点数はひどいものだったがテスト期間は時間を守って登校した。
それ以外の時間はゲームと読書(漫画を含む)に費やしお気に入りのユーチューバーが語るいい話から、とんでもないヘイト発言までなんでも聞いていた。
 
「学校行こうと思う」
 
中学二年の三学期直前。
本格的に不登校になってから一年半たっていた。
せっかく決意したのにすぐにコロナ休校という肩すかしだったがリハビリにはちょうどよかった。
先日の進路面談で「このペースでやっていければ希望するクラスに入れる」とのこと。
 
ホッとした。
「学校に行けた」ということよりも望む進路を目指せることがうれしかった。
 
学校にいかない一年半は私にも彼にとっても、とても濃密で大切な時間だった。
そして試練の多い時間だったと思う。
「不登校」や「学習障害」に理解は拡がりつつある。
 
しかし「一般的ではない」ということはいろいろと面倒も付きまとう。
彼自身もどこからともなくやってくる不安や同調圧力とずっと戦っていただろう。
 
「自分は学習障害だったと思う」と彼は言った。
「小学校のときから最近まで意味は全部わかるのに、頭の中のことを文字にできなかった」
 
彼にとって「不登校」期間はブートキャンプのようなものだった。
10時間のゲームマラソン。
年のはなれた高学歴のゲーム仲間との会話はとても刺激になった。
寝食を忘れるほどハマった漫画やライトノベル。
図鑑にしか興味がなかったのに今は読書が楽しい。
特殊な短期集中プログラムに没頭したら実力がついた。
普通に学校に通っていたらこのペースで「苦手」の克服は出来なかったかもしれない。
そう、人生が八十年なら学生時代なんてその中のほんの少しだ。
 
親の私がいちばん大変だったのが「信じて待つ」ことだった。
「さぼった人にしかわからないと思うけど、さぼったヤツはサボってる時間に考えて考えて過ごしてる。このままでいいなんて思ってる奴なんていないと思うから」
 
「だから、もし心配してる家族がいたら大丈夫だから信じてあげてって思うよ」
 
彼の心からの声。
体験した人にしかいえない言葉。
 
私や彼のやり方がいいかどうかなんてわからない。
現段階ではいいカタチに見えるけど、まだ実験段階だ。
私がこの世を去るときに、そして彼がこの世を去るときに
「うまくいった。楽しかった」
と思えたら実験成功ということなんだろう。
 
「大丈夫だから信じて」
 
大丈夫。私は信じている。
 
ディスレクシアの著名人の中に大好きなトム・クルーズ氏がいる。
私の息子はハリウッド俳優になれるかもしれない(笑)
 
 
 
 
***
 
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2020-07-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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