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将来はカレーうどん


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:いはみどり(ライティング・ゼミ 日曜コース)
 
 
「あの時の授業おもしろすぎたよね!」
 
「ほんと、あの頃は良かったよ~」
 
前日に作ったカレーを家に招いた学生時代の友達に振る舞いながら、昔話に花を咲かせていた。こんな会話、もう何百回というレベルでしている。
 
「わたしたちも歳とったよね!」
 
これは20歳のころからずっと言っている。
 
「まだ成人式を迎えたばかりの、ピヨピヨした若造が何を言っているんだ」っと今となっては思う。そんなセリフを言うことで少しだけ自分が大人になったように感じるので、ただ言ってみたかっただけだ。
 
基本的に人は歳をとることを嫌がる。
 
当時のわたしもそう考えていたうちの1人だった。
 
“若さは武器”
 
若いからと許される環境が心地よかった。頑張ったら褒められるし、失敗しても慰めてもらえる。これが年齢を重ねるにつれて“出来て当たり前”そう思われることがとても怖かった。
 
出来ることならいつまでも新入社員でいたい。
研修中の名札を外したくない。
責任も持ちたくない。
 
大人になるの怖すぎる……。
 
そんなマイナスな気持ちが無くなったのは、何かきっかけがあった訳ではなく、なんとなくの流れだった。
 
年齢を重ねるってカレーと一緒だ。
 
以前、勤めていた道の駅にはヨットハーバーがあった。そこには船を所有しているオーナーさんや、海と生涯を過ごしてきた船乗りさんたちがたくさんいる。
 
お昼休みに職場の外をふらふらいている時
 
「おーーーい、いはちゃーーーん!」
 
聞き覚えのある声がした。
 
ぱっとヨットハーバーに目を向けると、70歳を過ぎてもまだまだ現役で船の整備の仕事をしているおじちゃんの姿。よく事務所に遊びに来ては楽しくお話をし、たまにマクドナルドをごちそうしてもらっていた。
 
「ちょっと海いく?」
 
「え、いいんですか!?!?」
 
初めての海へのお誘いだった。
 
恐る恐るヨットに乗り込む。東京に住んでいたら、絶対に体験出来ない贅沢な昼休みの使い方だなっと1人にやにやしながらライフジャケットを着用していた。
 
「いくよ~」
 
ごーーーっという音と共にゆっくりとヨットが動き出す。
 
気持ちの良い潮風を浴びながら、ヨットはだんだんとスピードを上げていく。
道もない、コースもない、ただ青くて広い海が目の前には広がっていた。
 
「……これ最高すぎます!」
 
「そうでしょ~! 何歳になってもこんな場所で仕事が出来るなんてほんと幸せ者だよ」
 
その時なんだかわからないけど、はっとした。
 
なんとなく、大人になったら制限をされながら生きるものだと思っていた。
自分のやりたいことも出来ず、上司と部下から挟まれて、世間のしがらみを気にする窮屈な世界。
 
でもわたしの目の前にいるおじちゃんは、自分のやりたいことを思いっきり楽しんでいた。
 
人生を味わえば味わうほど味が出る。
日を置くほどにコクが出るカレーのようだった。
 
まずはカレーライスとして食べ、カレートースト、カレーパスタ。
もう一回カレーライスとして食べ、カレードリア、カレーコロッケ。
最後はカレーうどん。
 
どうやって調理をしていくかは自分で決めることが出来る。
 
確かに、20歳のころは誰からも可愛がられてずっとこのままが良いと思っていた。
今20代後半に差し掛かり、仕事であのころのような可愛がられかたをされることはない。
でも、20歳のころよりも今の方が楽しいと思っている。
 
思考も行動も自由になった。世間を気にして自分を出せなかったこともあったけど、そんな感情はもうない。恥ずかしいという感情や、人と比べることも少なくなった。
 
いろいろなことを経験して、勉強して、気持ちにも余裕が出来て、小さな幸せにも目を向けることが出来るようになった。
 
「誕生日おめでとうございます!」
 
女性の先輩に伝えると「全然おめでたくないよ~、歳ばっかとっちゃってさ!」という回答が返ってきた。でも、歳をとることってそんなに嫌なことじゃない気がする。
 
その先輩はとても美人だ。
 
とっても仕事が出来て、みんなに優しい。
それは先輩の美に対する努力と、仕事に対しても真剣に取り組んできたから今の先輩があるんだと思う。
 
「今の先輩が1番ステキです」
 
って言いたかったけど、なだんか照れくさかったからやめた。
今度お酒を飲みながら、酔っぱらった時に言おう。
 
年齢の重ね方には2種類あると思っている。
 
「最近の若いものは……」
「腰が痛くてやってられない」
 
こんな人と
 
「来週はバンドのステージがあるんだ!」
「ゴルフ行くの楽しみ~!」
 
こんな人。
 
どちらも素敵な人生だけど、わたしは後者に近づきたいな。
 
そんなことを考えながら、今日は2回目のカレーライスを味わった。
 
≪おわり≫
 
 
 
***
 
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2020-09-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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