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ウィズコロナの世界で誰の為にオシャレする?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:高柳翔子(ライティング・ゼミ特講)
 
 
「それ、可愛いね」
職場で一度も話したことがない同僚から突然そう言って話しかけられた。私は自分に話しかけられてると気づかなくて反応が遅れてしまいながら「え? そうですか?」と返した。
「うん。いつもあなたは可愛い物をつけてきてるなって思って見てたから」
私が職場で「それ」を身に着けるようになってから褒めてもらえたのは今回が初めてじゃないけど、一度も話したことがない人にいきなり言われたのはびっくりした。でも「可愛い」と言ってもらえるのは嬉しかった。だから素直にお礼を言って軽く話をして、その人と別れた。
ここ最近、ある物をつけて仕事に行くようになって、「高柳さん可愛いのを付けてるね」と職場の人から褒めてもらうようになった。それで私はこの事を母親に自慢げに報告した。しかし母は冷静に返した。
「マスクを作ったのは私なんだから、これは私の手柄なんだけど」
……そう。私が職場で色々な人たちに褒めてもらったのは母お手製の布マスクだ。
新型コロナウイルスがまん延しだして、職場内ではマスクを着用する事を義務付けられた。しかし使い捨てマスクの備蓄が少なかったので、母が私のてぬぐいで布マスクを作ってくれたのである。
 
たかがマスクと思った人もいるかもしれないけど、私にとって自分が身に着けている物を褒められると言うのは大事件だ。
太っていて身長が低い私は、オシャレかどうかよりもまず自分が着られる洋服を探さなければならなかった。なので長い事オシャレを諦めていたので、ファッションセンスと言う物を全く身に着けていなかったのだ。
太っている女性に向けたファッション雑誌が刊行されたり、洋服のサイズ展開が広がったおかげで私にも着られるオシャレな洋服が増えてきた。インターネット等で色々な情報を集めたり、パーソナルカラー診断と骨格診断を受けてその結果を参考にするなどしながら私なりにオシャレを模索していた。メイクに関しても化粧品関係の仕事をしていた母親が勧めてくれたファンデーションが自分に驚くほど合っていて、もっと自分が良く見えるメイクを研究するようになった。
でも私の友人はオシャレに全く興味がなかったし、職場の人からも私の見た目や服装に言及してくる人はいない。だからオシャレをするのは私の為。自分が良い気分で仕事をしたりライブを観に行ったりする為のアイテムでしかなかった。
 
最初に私のマスクを褒めてくれたのは上司のHさんだった。Hさんはアラカンの男性で特別おしゃれな人と言う訳ではないが、一度だけ悪い意味で私のメイクに言及した人である。
それは私が初めて有名ブランドのファンデーションをネットで購入してつけて出社した時。顔を合わせた途端に「高柳さん、どうしたの! 顔色悪いけど、大丈夫?」と声を上げたのだ。
実はファンデーションを選ぶときに綺麗な色だからと思って購入したが、色白だった私の肌には白すぎた。それでHさんは私が体調が悪いのではないかと心配になったらしい。幸い周囲に聞こえる事はなかったものの、その時はとても恥ずかしかった。そのコスメは勿体ないので今はコンシーラー兼アイシャドウベースとして愛用している。
それから特に身に着けている物に何も言われる事はなかった。だけど初めて母親の布マスクをつけて仕事の朝礼に出た時にHさんが「可愛いマスクをつけてるね」と褒めてくれた。
Hさんの言葉を皮切りに他の同僚から「あ、本当だ可愛い!」「作ってきたの?」と褒められるようになった。この時着けていたのは私が大好きなアザラシの柄のマスクだったので気分はとてもよかった。その雰囲気の中でHさんはこう言った。
「こういう時だから可愛い物を身に着けてくれると皆明るい気分になれるよね」
 
このコロナ禍でオシャレをして出かけて行く機会が無くなった。メイクは仕事で毎日するけど、マスクをしている事が多くなったからフルメイクで出かけることはない。その事でオシャレに対するモチベーションは落ちていた。
だけどHさんの言葉で、仕事場でオシャレをする事は綺麗な花を活ける事と同じなんだと気づかされた。自己満足でもオシャレをする事で自分のモチベーションをあげる事は誰かにとっても必要だったんだと思った。
確かに誰かが可愛い洋服を着ているのを見ていると自分も気持ちが明るくなる。そこには嫉妬とか軽蔑とか暗い感情は存在しない。たまに「自分が観てほしい人以外にファッションを褒められるとオシャレが汚された気がする」と言っている人はいるけど、それは私に言わせれば思い違い。職場に咲いた花をめでているだけなのだ。だからオシャレが大好きな人は誰に何を言われたって気にせずオシャレをし続けてほしい。美しい花は褒められても貶されても何も言わず、そこで咲き続けている。
 
ウィズコロナの世界で私はこれからも自分の為にオシャレをする。
ただどうせならもっと綺麗な花を咲かせたいので、ファッションセンスやメイクのテクニックはこれからも磨き続けていくつもりだ。
 
 
 
 
***

この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

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2020-09-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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