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産後うつに忍び寄る魔の手


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記事:Sakko(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「なんで寝てくれないの・・・。」
なかなか寝てくれない我が子をぼんやりと見つめていた。
産後1カ月、当時の私は完全に産後うつ状態だったと思う。
第一子を出産し、退院。
里帰りして家事はすべて母に頼っていたものの、産後のボロボロの体に、何もかもがはじめての体験。
平均すると2時間おきに起きて泣く娘を抱え、ホルモンバランスの変化と極度の寝不足で、心身ともにズタボロだった。
 
皆さんは、産後の女性がどのような状態だかご存じだろうか。
 
産後の体は、交通事故に例えると全治1ヶ月の状態とよく言われる。
その上、妊娠中に大量に出ていた女性ホルモンの急激な減少で、心のバランスも崩れやすく、イライラ、ククヨクヨしやすい状態になっている。
普通、全治1ヶ月の事故にあい、心も弱っていたら、ただひたすらベッドで寝ていることを推奨されるものだと思うが、産後の母親だけは、当たり前のように育児をすることになっている。そして、2~3時間おきに泣き出す我が子の世話をするのだ。
 
おむつ替え、授乳、寝かしつけ、おむつ替え、授乳、寝かしつけ、おむつ替え、授乳、寝かしつけ・・・。
どれだけ過酷なことをしているか、少しはお分かりいただけるだろうか?
 
母性があるから!
みんなやってきたことだから!
そんな当たり前のことのように考えるのではなく、まずはこの努力を褒めたたえていただきたい!!
 
私の場合も、そんな身体で育児をしていたからか、うまくいかないことがあると、どんどん神経質になっていった。
実母の抱っこでぐっすり眠る娘を見て、うまく寝かしつけられない自分がみじめで、こっそりと泣いていたこともあった。
 
「趣味は、ポジティブですか?」
と軽くディスられ調で言われたこともあるくらいポジティブの塊のような私が、まさかこんな状態になるとは思ってもみなかった。
産後うつは誰しもがなる可能性があるものだと思う。
 
そんな私の心のよりどころは、「育児書」だった。
育児書を複数購入し、ネットの情報も細かく確認。
少しでも寝ればいいのに、我が子の発育と照らし合わせて確認した。
子どもの発育には、大きな個体差がある。
でも、そのことはあまり強調して書かれていなかった気がする。
もともと家電の説明書をしっかり読むタイプ。
やりだすと止まらず、毎日の授乳やおむつ替え、睡眠時間をアプリで記録し始めた。
 
完全に弱っていた。
そんな中、すっと心に入り込んできたのが、ミルクに頼らず母乳で育てましょうという完全母乳をかかげる思想だった。
 
完全母乳はすばらしい。
ミルクはだめだ。
母乳は免疫力があがる。
母乳は太りにくく、体の引き締まった赤ちゃんになる。
 
確かに正しい情報もあったと思うが、その強い思想は、まるで新興宗教のようだった。
完全母乳の「完母教」に私はすっかり入信した。
しかし、我が子はなかなか寝てくれない。
母乳が足りなくて、おなかが空いて眠れないのかもしれない。
神に背いた罪悪感に苛まれながらも、しかたなくミルクも追加で飲ませる。
そんな生活が1カ月続いた。
 
生後1カ月過ぎたころ、不安はあったが里帰りから家に戻った。
そのころ、助産師さんが家に来てくれ子どもの体重を測ってくれたところ、基準よりも重たかった。
母乳は足りていた!
これからはミルクを足す必要はないかもしれないと安堵したものの、さらに、完母教にはまり込んでいくことになった。
 
それから卒乳まではずっと一緒。
私は体質的に母乳がしっかり出るほうだったので、優秀な信者だったと思う。
もし母乳が出にくかったら、相当苦しんだのではないだろうか。
 
次にはまったのは、「睡眠教」
規則正しい生活サイクルにしましょう。
朝に1時間、午後に2時間。夜は10時間。しっかり寝かせましょう。
でも、子どもは寝るのが苦手、なかなか寝てくれない。
無理やり寝かせようとすると大泣きして、余計に眠れない。
それでも、決まりだからと何とか寝かせようとして、できない自分に自己嫌悪になった。
 
少し大きくなってくると、「離乳食教」
三食バランスの取れた食事を作りましょう。
食べる量は少ないのに、品数たくさん、バランスも気を付けて。
見た目も素敵に作りましょう。
「手抜きで簡単」って書いてあるレシピ本なのに、全然簡単じゃない!
またもや自己嫌悪。
 
最後まで悩ませたのが、三歳児神話。
三歳児神話とは、「3歳までは母親が家庭で子育てをしたほうが良い」というもの。
共働きで、1歳過ぎたら保育園。
小さいのにかわいそうなんだろうか。
母親が家庭で育てないと、良くないことがあるのだろうか。
何度も、この神話にしっかりとしたエビデンスがないことを調べたことを覚えている。
 
どの宗教も、いいところもあったが、私を苦しめることも多々あった。
そんな私を解放してくれたのが、ある育児書だった。
それは医者が書いた育児書で、
「やったらいい。でも、できなかったら無理しなくていい」
「こんな子もいる、でもあんな子もいる」
と、全部テキスト通りにやらなくてよいことと、子どもの成長には大きな個人差があることが何度も何度も書いてあった。
離乳食もすごく質素で簡単なものが中心だった。
 
「私、すっごい頑張ってるじゃん」
その本を読んでから、ずいぶん心が楽になった。
 
あの頃の私に伝えたい。
子どもの成長は、個体差が大きい。育児書のとおりにいかなくても、焦らなくて大丈夫。
母乳も睡眠管理も離乳食もやれたらやったらいいけど、無理しなくてよし!
みんなちゃんと育ってる。
 
 
 
***
 
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2020-09-28 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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