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認知症は死因にならない。御存知ですか?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:山田THX将治(ライティング・ゼミ特講)
 
 
皆さんは、御存知でしょうか?
『認知症』は、病気ではないということを。
 
皆さんは、御存知でしょうか?
病気や怪我の治療以外では、病院に入院出来ないことを。
 
皆さんは、御存知でしょうか?
現代では、多様な『認知症』が診断されていますが、そのどれもが対面が滞ると症状が進んでしまうことを。
 
もしかして皆さんは、人間誰でも病院で何不自由なく人生の最期を迎えると思っていませんか。
しかしそれは、そう簡単なことでは無いのです。
 
母を自宅に招くことになりました。
多分、いや、間違いなく母の最期を看取ることになると思います。
 
母といっても、カミさんの母親なので、私にとっては義母にあたります。しかし、既に35年間も息子として過ごして来たので、私にとって特別な女性であることは間違い有りません。
自慢する訳では有りませんが、見たことも無い様な仲の良い母と婿だと思っています。
 
1934(昭和9)年1月生まれの母は、次の誕生日で87歳になります。数え年では『米寿』です。もう、お亡くなりになりましたが、女優の野際陽子さんに似た、大変素敵な母です。日頃からお洒落な母で、着る物・持ち物へのこだわりは、私に大きな影響を与えた程です。
 
13年前に父を見送った母は、兄一家と同居していました。私達とは、数か月に一度会うかどうかでしたが、定期的な連絡は怠りませんでした。
80歳になった頃でしょうか、特に切っ掛けは無かったのですが、みるみる内に母の脚が弱って来ました。もう老人なので、特に不都合は無かったのですが、歩かなくなると途端に認知機能が低下して来ました。
同居していた兄夫婦と相談したのですが、その頃私達は、私に母親と同居しており、その時点で引き取ることは難しい状況でした。また、兄夫婦には子供が3に居り、その内2人に孫が(その時点で)4人生まれていたので、母の世話までは手が回りませんでした。
 
仕方が無いことですが、母を実家近くの養護老人施設に預けることにしました。
その反面、母が実家住まいで無くなったことで、私は以前にも増して気軽に逢いに行くことが出来ていました。
時には、母を車椅子に乗せて施設近くのカフェに連れ出し、大好きなココアを楽しんで頂いている間に、私は横でPCを使って書き物をすることも有りました。
 
本当に、有難いことなのです。
母は、記憶と認知が徐々に薄れていきました。しかし、自分の家族の名前が出て来なくなってからも、私の名前だけは思い出して下さいました。
血縁では無いものの、親子として情は繋がっていたのだと思います。
 
今年の春になり、新型肺炎の流行禍により、介護施設への立ち入りが出来なくなりました。もし、施設でクラスターが起こったりしたら大変です。また、入所中のお年寄りに感染者が出ても大変です。
何しろ、お年寄りの方が重症化する恐れが高いのですから。
それにもし、入所者に感染者が出たりしたら、施設スタッフ全員が濃厚接触者となる為、施設の継続運営も儘ならなくなるからです。
その代わり、施設からは定期的に母の状況を、写真を添えて報告してくれました。もう少し、状況を知りたいところですが、手一杯のスタッフに無理を言う訳には行きません。
私も半年近く、仲良しの母と逢うことを控えていました。
 
一か月ほど前、兄のところへ施設から電話が入りました。
その日の朝、母の半身が動かなくなったということでした。施設では判断が付かないので、救急で近所の病院へ搬送されました。
CTとMRI撮影で、母は脳腫瘍であると診断されました。高齢の為、手術は難しいし勧められないとのことでした。高齢者に、脳という繊細な場所の手術からの回復は相当の体力を奪うし、手術中の麻酔すらも大変危険と告げられました。
その上、仮に手術が成功したとして余命は1年弱、手術をしなかった場合だと3・4か月とのことでした。
 
我々は相談の結果、手術はしないと決めました。色々な御意見が有ると思いますが、このまま入院が続くということは、私達が多分、母の死に目に立ち会えないということに他なりません。
現在病院は、一切の来客を認めていません。
これも、病院内のクラスターを防ぐ為であり、止むを得ないことと理解はしました。
 
ただ、このまま母を病院に入れて置くことも、また、施設に戻すことも出来ません。何故なら、病院とは治療を施す場所だからです。手術もせず、その為その後の治療を必要としない母は、病院のベッドを占有することは出来ません。次に運ばれてくる患者さんの為に、ベッドと医師や看護師の員数を空けなければならいからです。不条理ですが、これが世の常なのです。
同じ様に母は、施設に戻ることも出来なくなってしまいました。何故なら、ベッドから起きられず、食べ物を口から取ることが出来なくなった母は、医療行為の介助を受けなければ、生き続けることが出来ないからです。養護施設は、介助・介護はしてくれますが、スタッフは医師でも家族でも無いので、医療行為を禁じられているからです。
その上、仮に施設に戻ったとしても、私達は母と自由に逢うことは出来ないのですから。
 
頼みの綱の兄の家庭は、やんごとなき事情が重なり、以前にも増して母の面倒を見ることが出来ない状況と為っていたのでした。
 
もう一度、書きます。
 
認知症が進むと、徘徊することが多く為るので、仮に何かの病気や怪我をしても、入院していることが難しくなります。病院は、看護する場なので、介護・介助はしてくれないのです。もし緊急の場合は、拘束等の非人道的処置が取られる場合だって有ります。看護の場なのですから。
なので、重病で入院している間に認知症が進んでしまった場合、行き場が無くなります。
 
同様に、介護施設に入っていて重篤な病気になると、施設には居られなくなります。施設では、点滴の交換すらしてもらえないのです。法律で、医療行為は資格を持つ者しか出来ないのです。
 
ただ、医療介護付き介護施設というものが有ります。スタッフの中に、必ず看護師が含まれていて、提携した病院から定期的に医師が訪問する施設です。
こういった施設は、入居時に莫大な費用が掛かります。どれぐらい莫大かというと、家が一軒買える程といわれています。一般庶民には、とても手が出せない費用なのです。
 
既に日本は、お金が無いと安楽に老後を過ごせなくなったのかも知れません。
また、今後とも日本では、高齢者、特に、認知症と病気を同時に発症した場合は、血縁者の手間暇で看取るしかないのでしょう。
介護の現場では、スタッフの慈悲にすがるしかないのでしょう。
しかし、それにも限界が有ります。私の様に、財産が無く子供が居ない者にとって、果たして安楽な老後は有るのでしょうか。
ここは一つ、せめても健康で居ようと、改めて考える次第です。
 
今回、母を迎えるにあたり、色々と考えました。
あらゆる手段を、検討しました。
結果として私達は、せめても母と可能な限り逢っていようと結論付けました。
現代は、自宅に誰かが居さえすれば、在宅ホスピスが可能です。
ホスピス(終末医療)施設に入ってしまうと、介護施設や病院同様、自由に面会出来なくなるからです。最近では、ガラス窓越しに会話出来る施設も有りますが、間接的接触はネットの世界だけで十分です。
 
私は、介護用ベッドをレンタルし、訪問医療・介護を依頼しました。
もう直ぐ、母がやって来ます。準備は万端に整いました。
 
人間の命は、絶対に尽きるものです。
大好きな母の最期の人生を、共に過ごせることを幸運に思っています。
 
自分が必ず行く道を、素敵な女性が示して下さるのですから。
 
一つだけ心残りは、母が父と50年間暮らした実家に、一度も帰してあげることが出来なかったことです。
これだけは、私の残りの生涯を掛けて、お詫びすることにします。
 
 
 
 
***
 
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2020-10-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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