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シンプルに『無形文化遺産』を作ろう!


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記事:sato(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
いきなりですが『無形文化遺産』を作り上げたことはありますか? ユネスコに登録されている無形文化遺産のことです。「芸能や伝統工芸技術などの形のない文化であって、土地の歴史や生活風習などと密接に関わっているもの」のことです。総件数399件のうち、日本からは歌舞伎や能、結城紬など21件が登録されているそうなのですが。
 
「えっ? まさか。そんな特別なことは私には出来ません」
 
そんな声が聞こえてきそうです。私もそう思っていました。歌舞伎や能はわけが分からないまま2、3回鑑賞したことがあるだけですし、結城紬だって織れません。
 
ところがある日ふと手にした本で、自分が何度となく、何年、何十年にわたって無形文化遺産を作り続けていることに気付いたのです。
たぶんあなたも作ったことがあると思うのですが。
 
それは和食です! 2013年に無形文化遺産に登録されました。
そう言えばそんなニュースを目にした記憶があるかも知れません。私も本を読んでうっすらと思い出したのですが、文化遺産になったのは京都あたりの老舗料亭で修業に修業を重ねた熟練の料理人が作る、最高級の素材を使い、最高級の器に美しく盛り付けた、ほとんど芸術の域に達した別世界の料理のことだと思っていました。
 
ところが、何気なく手にした『一汁一菜でよいという提案』という本で、著者である料理研究家の土井善晴著さんが、「お母さんやおばあちゃんが作っている和食が世界遺産になったのです。すごいね!おめでとう!」と言っているではないですか。私も和食(だけでは無いですが)を作るお母さんの一人。文化遺産の担い手ではないですか。もちろんお母さんだけが食事を作っているわけではありません。お父さんだって、一人暮らしの人だって、外食がちになったとしても何かしら家での食事を整える、という機会がある人は多いのではないのでしょうか。ご飯を炊くとか、お味噌汁を作るとか。皆さん文化遺産の担い手です。おめでとうございます!
 
でも料理が苦痛、面倒くさい……仕事が終わって疲れているのに……と感じるとしたら、もしかして頑張りすぎているのかも知れません。かつての私がそうでした。
ホームドラマの食卓のように、レシピ本に載っているような『映える』料理をテーブルに並べなくては、和洋中バラエティに富んだものを日替わりで、しかも栄養のバランスも考えて、毎日のことだから食費のことも考えて。いろいろ考えて手間暇かけて頑張ったのに家族の反応が薄かった時の脱力感。
『今日のごはん何にしよう問題』は結構悩みのタネでした。
 
『一汁一菜でよいという提案』という本に手を伸ばしたのも、「それで済むならすごく気が軽くなるな。ま、実際そんなワケにはいかないだろうけれど、何かヒントがあるかな」という気持ちからでした。
 
読んでみて、『プロの料理と家庭料理は違う』ということにとても合点がいきました。プロは家族の健康のことは気にしなくてもいいのです。美味しくて見た目が良い『ハレ(イベントやお祝い事など特別な時)』の食事を提供してくれる場です。
一方家庭料理は『ケ(日常)』の食事です。「家庭料理は美味しくなくてよい」と書かれていてひっくり返りそうにびっくりしましたが、必ずしも美味しくない時があってもいいじゃないか、あまり頑張りすぎないで良いということのようです。毎日頑張ってヘトヘトになりながら『ハレ』の食事を並べる必要は無いのですね。だいぶ気楽になりませんか。
 
ここで提案されている『一汁一菜』を我が家もベースにすることにしました。
ご飯とお味噌汁、お漬物で一汁一菜です。お味噌汁には野菜と一緒にベーコンだって何だって入れてしまいます。食べてみて「何か違うな」と思ったら次から止めればいいのです。でも不思議と何とかなって、今まで「これは無理!」と思ったものはありませんでした。だしを取るのに使った煮干しもそのまま具として入れておいてもOK。意外にも子どもが喜んで食べました。
 
漬け物はぬか漬けや浅漬けなどを漬けていますが、旬の野菜がサラダ感覚でバリバリ食べられるようになりました。
しばらく続けて気が付いたのは、大抵の野菜はお味噌汁か漬け物、あるいはその両方に向いているという事でした。そのため旬の野菜を買うと使い残すことなく、何に使おうと頭を悩ませることもなくお味噌汁か漬け物に無駄なく使い切れるようになりました。それまではちょっと余った使い残しの野菜が冷蔵庫の奥からしなびて出てきたりしていたのですが。
 
そして、ご飯、味噌汁、漬け物の3点セットは飽きることがありません。シンプルだからこそですね。 外国に行って食べ慣れない料理が続いた時、無性に食べたくなるのもこれらの料理です。いわば日本人のソウルフード。
この基本の一汁一菜さえ押さえておけば、ベースがしっかりしている安心感があります。あとはその時々の気分や体調に合わせて食べたいものをプラスしていったり、何もいつも和食だけにこだわる必要も無く、洋食に中華にイタリアンを楽しめばいいのです。
このサイクルが回るようになって『今日のご飯何にしよう問題』から解放され、肩の荷が下りました。 余裕のない時は頑張らないけど、時間と心と体力に余裕があるときは家族にリクエストを聞いて『ハレ』の食事を楽しんで作っています。
 
家庭でのベースの和食は意外にシンプルでした。まずは一汁一菜から『無形文化遺産』を作ってみませんか?
 
 
 
 
***
 
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2020-12-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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