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佐賀県 三瀬で出会った魔女の話 ~26歳からの魔女修行~

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大藤さん 佐賀県
http://tenro-in.com/zemi/62637
 

記事:peconoko(ライティング・ゼミ)

 

ある日の休日、わたしは友人と共に大好きな三瀬(みつせ)を訪れた。
佐賀県佐賀市三瀬村。福岡県早良区と佐賀県佐賀市をつなぐ三瀬周辺には、温泉やキャンプ場、ふれあい牧場、果物狩り、おいしいパン屋さん、地鶏食堂、滝に湖に川にダムと、わたしをわくわくさせるものが実にたくさん集まっている。
初めて訪れた際には、佐賀県にこんなすてきな地が! と感激したものだ。

その三瀬にある、以前から気になっていたハーブレストランで、野菜たっぷりのおいしいランチをいただこうと気分はうきうき。

普段朝食は摂らない上、外回りが多い仕事なので平日のランチは基本的に外食ばかり。夜は遅くに残業を終えてからキッチンに立つ元気なんてないのでまた外食。そして食べた1時間後には就寝している、という言い訳もしようのない完全なる不摂生。
曲がり角を迎えるお年頃のお肌は荒れっぱなしである。

自然豊かな三ツ瀬の地で、なんだか身体によさそうなハーブレストランのランチでも食べて、とろとろの美肌温泉に入ってデトックスしようじゃないか!とまあ、こんな感じで盛り上がり、私たちはやってきたのであった。

期待していたランチは期待以上においしかった。ハーブティーを飲み終えて大満足の私たちは、ウッドデッキを渡ってレストランに併設されたハーブ店を覗いてみることにした。

中はまるでジブリの魔女の宅急便のキキの実家のようだった。天井には様々なハーブやドライフラワーが吊るされ、温かみのあるログハウスをふんわりと演出している。
石鹸やオイル、ハーブティーにバスソルトと、ハーブガーデンらしいアイテムがところ狭しと並んでいて、店内にはやさしい香りが漂っていた。

「化粧水と、これだけで十分なんだから。あれこれする必要なんてないの」
そんな言葉に、思わず私が声の主を見やると、「いらっしゃい」と、こぢんまりしたレジの中から小さなおばあちゃんが笑顔で迎える。
手元には小さな小瓶。彼女は常連さんに、オイルの使い方を手ほどきしているところだった。

先客が帰ったあと、レストランで飲んだオリジナルのハーブティーをすっかり気に入ってしまった友人が、同じものを購入したい、とおばあちゃんに声を掛ける。
ここでつくっているのよ、とうれしそうにブレンドされたハーブティーを紹介してくれた。

「お肌にいいのはこれ、体を温めるような女性に優しいのはこれ、胃腸が弱っているときはこれでね……」

軽やかに語る彼女の肌はつやつやで、思わず二人そろってお綺麗ですね、とまじまじと彼女を見てしまった。

「ここで新鮮なお野菜やおいしいお肉を食べて、体調に合ったハーブもお食事やお茶にしてね。お肌のお手入れもほとんど何もしないの。夏は化粧水だけ。冬だけはこのホホバオイルもするけれど」

私は心の中で感嘆の声を漏らした。「これが魔女か!」
『西の魔女が死んだ』の魔女さながら、知を持って自然の力を借りながら、強く美しく共生するような、生き方。こんな素敵な魔女が佐賀にいたなんて。

その後もこれはどうやって使うの? これはどんな味? と一通りハーブについて勉強させていただき、お茶とオイルと石鹸を手に、私たちは店をあとにした。

やまびこ温泉に入ってとろけそうになりながら「わたしもあんな風になりたい」とつぶやくと、友人も「魔女修行しなきゃね」と同意した。

魔女修行。なんだかとっても素敵ではないですか!
私は小さなころから魔法使いになりたかったのだ。修行を続けて、おばあちゃんになるころには、それは立派な魔女になってやろうじゃないか。

毎日外食じゃなくてご飯もつくって、朝ごはんもきちんと食べて、お肌のケアもちゃんとして、体調管理もばっちりで。素敵な魔女を目指すのだ。

とても楽しい思いつきに、私たちはお互い修行を約束して、三瀬をあとにしたのであった。

それから一年以上たつが、私の魔女修行は悪戦苦闘の日々。ちょっぴり早起きして朝ごはんを食べるようになったことが一番の進歩だろうか。お肌の調子も、少しはましな気がする今日この頃である。

ところで私は最近、もうひとつ別の修行も始めた。新しい魔法使いへ弟子入りしたのである。

不思議な書店、福岡天狼院で私は魔法使い三浦氏に、魔法の呪文の書き方を教わっている最中で、この文もその修行の一環なのである。

呪文の書き方さえ習得すれば、必ずや人の心をつかめるというのだから、これはまぎれもない魔法である。それも、かなり強力な。
事実、Web天狼院の魔法の呪文にかかった私は、福岡天狼院を覗き、池袋にも出向き、気づいたらこの修行への道を進んでいた。不思議だこと。

最近の私は魔法使い三浦氏の魔法の呪文を読み解けるようにもなってきたし、あとは自分で呪文を書き唱えられるようになるだけなのだ……だけなのだが、これがなかなか難しい!
しかし新しい魔法を手に入れるために、毎日の修行は欠かせない。
外回りをしているときにも、友人と雑談をしているときにも、なにかネタはないかとアンテナ一生懸命はりめぐらせる私は、心もちだけはすっかり一人前の見習い魔女である。

今日も魔法使い三浦氏の下、修行に励む。
そう。いつか私も、だれかに素敵な魔法をかけられますように!

 

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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
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2016-01-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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