メディアグランプリ

5月にキレイになるのは日陰のオンナ


日陰のオンナ

 

記事:ミホさま(ライティング・ゼミ)

 

スポットライトを浴びて、

輝くだけがオンナの人生ではない。

時には日陰のオンナになることが

末永い愛には必要なことかもしれない。

 

新緑が美しい季節になってきた。

先日まで赤ちゃんの手のひらほどだったイチョウの葉が5歳児ほどに成長すると、4月ももう終わりなのか、と改めて実感する。

 

「早くしろ~!」

近所の高校では、登校時刻間際になった学生たちを急かす先生の大きな声が、通り中に響いていた。あんな時代もあったなぁと、あの頃に一瞬タイムスリップしながら、私は仕事場へと向かっていた。春の日差しは夏と比べて長いのか、斜め上から入り込む朝の光が、目をチカチカと曇らせた。

 

そろそろ、日陰のオンナになる時期なのだろうか。

 

 

何もしないで美しくいられるのは18歳までと言われている。では、それ以降はキレイになれないのか。子役だった女優さんを一時見かけなくなり、久しぶりにテレビに出た姿を見ると、オンナらしさを増した風貌に驚くこともあるが……。

こうした影響には少なからず女性ホルモンの影響もあるだろう。20歳後半~30歳前半でそのピークを迎えるというが、髪のツヤ、肌のハリ・弾力、余計なコレステロールがつかないのもこうしたホルモンの恩恵だという。とすれば、からだ本来に備わった力を充分生かしていけば、18歳を過ぎてもキレイは拡大していくだろう。

 

では、それ以降はどうだろうか……。

 

 

さて、サロンに着き、お客様を迎える準備をはじめた。

今日は、尊敬する70代のエレガントな女性をお迎えする日だ。年齢をまったく感じさせず、好奇心いっぱいの少女のような雰囲気が魅力で、一緒に過ごす時間をいつも楽しみにしているお客様の一人である。会う度に新しいことをはじめていらっしゃるので、話題が尽きず、イキイキとした目で今日はどんなお話が聞かせてくれるのかと、わくわくしていた。

 

 

「……源氏物語を勉強し始めるのよ」

先日まで千利休について、その前には平家について、途中お能についても勉強されていた方が、今度は源氏物語へと興味を移していた。

 

「いろんな方が訳していらっしゃるけれど、田辺聖子さんの源氏物語が好きでね……」

お天気の悪い日には、図書館で借りてきた本をたくさん読まれるという女性は、会話の中で本の推薦をしてくださることもあった。その的確な助言には、長年の積み重ねによって磨かれた感性が宿っており、もっと話がしたい、と思うがゆえに私の学びも促進させてくれた。

 

 

ケアを終え、つやつやとした肌を輝かせながら、その日の話をまとめるようにその女性が言った。

「若い頃は一つのことを一生懸命するのが良いと思っていたけれど、今は移り気ね。興味があるものに対してフットワークが軽くなれるのも年齢を重ねた特権だと思うわ」

 

ココ・シャネルの名言にこんな言葉がある。

「20歳の顔は自然の贈り物。50歳の顔はあなたの功績」

三十路も間近になってくると、年齢を重ねる恐れのようなものを感じることもあるが、なくなったものを嘆かずに、この言葉を体現する女性の姿はこうした不安も一掃してくれるようで心強い。この方に倣えばキレイは拡大するのだろうか。

 

 

そんな女性は、この時期日陰のオンナになることを好む。

日傘を差し、日焼け止めを塗り、日中の強い日差しはなるべく避け、夕方にお帰りになれる時間を選ばれる。

 

4月~5月にかけては一年の中でも紫外線の影響が大きな月である。

表面に見えている皮膚よりも深い、「真皮」という組織まで悪い影響をおよぼす紫外線が増えてくるのだ。「真皮」まで紫外線が当たると、細胞が傷つき、しわやたるみの原因になったりもする。

 

そして、何もしなくても美しい18歳までは、同じ時期に紫外線に当たっても、それらを修復していく力も強く、ケアをしていく「それから」の時間にも余裕がある。朝から晩まで外で一生懸命に部活をしていても、それ以降に比べれば影響も少ない。

 

しかし、もし18歳以降、その習慣を続けているのであれば、それは要注意である。

お肌の曲がり角がやってきた時、こうした変化は一気にやってくる。若いときのイメージのまま、スポットライトだけを求めてしまうと、この変化は気持ちを一気に落ち込ませる。でも、こうした時こそ若さに距離を置き、手にしたものに目を向けると、今だから似合う服、出会える人や場所があるという次の特権も獲得できるのだと、5月の日陰の女性は教えてくれる。

 

そして、年齢を重ねても一生生まれ変わり続けてくれるものもある。

それが「肌」

28日周期で絶えず新旧を入れ替えている肌を大切にしていくことは、末永く愛せる自分を育む第一歩となる。

 

私たちのからだに備わったキレイになる機能を生かしながら、

5月は日陰のオンナを選ぶのが、賢いオンナの選択なのかもしれない。

 

<<終わり>
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2016-04-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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