メディアグランプリ

あなたのくるぶし、私のうなじ



記事:Sofia (ライティング・ゼミ)

あなたは人間の身体のどこにグッと来ますか?
造形的な意味合いでも、スケベな気持ちでもいいです。
性別に関係なく、きっと誰にでも一つはあるはず。大好きな体の部位。

身体の曲線には底知れぬロマンがあります。
「透き通るうなじ」とか「ごつごつした指」とか「ちょっとたるんだお腹」とか、もう無限の可能性しか感じない。黄金比とかを駆使して、全自分最高の曲線を数学的に解析してみてもいいじゃないか。なんの問題があるかね。
「男の人はどうせ胸とか、おしりなんでしょ?」って言われたら、どうですか。胸とかお尻で何が悪いか! ってなりますよね。どれだけの偉大な芸術家が描いてきたと思ってんだ。出直してこい。
身体の曲線というものは、古代よりそれだけ人々を魅了し様々な分野に多大な影響を与えて来たのです。

で、私はくるぶしが好きなんですね。足のくるぶしです。もう1回言います。くるぶし最高。
共感なんかいらねえよ、初夏。不安定なお天気が続いておりますが、正気です。

その目覚めは中学校2年生のとき。
地元市内の総体で、文科系の部活動所属だった私と友人は学校からの命令でしぶしぶ応援に向かいました。
季節は夏。暑い。どこ行っても暑い。自転車のサドルで火傷するレベル。田舎の中学生特有のヘルメットは頭への衝撃は防げても熱中症になる。

とりあえず好きな先輩のいたサッカー部を観ようと、河川敷の試合会場に到着するも、観てるだけとか耐えられない。
サッカーってご存知だと思うのですが、屋外スポーツじゃないですか。しかもグラウンドには日影皆無。砂漠にしか見えない。
私が中学生だったのはだいたい20年弱前ですから、今よりは温暖化も進んでなかったと思うし、「40℃とか余裕☆」的な現代の灼熱地獄に比べればまあマシなのかもしれませんが、そんなの知ったこっちゃないわ。暑いもんは暑いんだ。

そんなわけで、好きな先輩を見る選択肢は捨て、屋内スポーツである剣道を観に誰も知ってる人のいない近くの武道場へ。

が、しかし!なんとなく予想はしてたけど、剣道むっちゃくちゃかっこいいんですよね!!しかも今誰が試合やってるとか、その選手を知ってるか知らないかなんてどうでもいいんですよ。
なぜなら面つけてるから。うん、顔全然関係ないの。どっちかっていうとスタイル重視。
剣道は臭いがどうとか言われますけど、タオルや水とか持って駆け寄らないで遠くから目をハートマークにして凝視してれば問題ない。そういう武道です。武士が真剣勝負してるときに、おなごは近づかないほうがいいじゃないですか。身を呈してかばうときとか以外。(だいぶ話が逸れた)

で、ですよ。唯一出てる生身の部分がありますよね?想像してください。
そう! そうです!! それが足首から下なんです。裸足のあいつはうだるような暑さの中で一服の清涼剤としてキラめいておりました。
裸足ってだけで印象がまるで違います。しかも他が防具でガッチガチだから、余計に際立つ。そして、武道場のひんやりとした床板の冷たさと静謐が伝ってきます。蝉の鳴き声が遠くに聞こえる中、武道場に張り詰める緊張感と響き渡る試合中の掛け声。
そして引き締まって筋の通ったくるぶし!喉仏の魅力にも通じるフォルム。
「いや〜いいわ……」なんて爽やかかつ健全な中学生女子的心理だろう。

もうそこからは足首から下しか見ませんよ。
面を取る瞬間にも若干魅かれましたが、やっぱり比にならない。むしろ顔が見えた途端、それがたとえイケメンであったとしてもイメージが崩れて若干テンションが下がる。覆面レスラーと一緒です。
余談ですが、そのあと美術の授業で印鑑を彫る機会があったんで、持つところをふくらはぎの真ん中から下の部分にしてみました。小指の部分のディテールにこだわって磨きすぎたら、彫刻専用の白い石が欠けて一気にやる気が吹っ飛んだのもいい思い出です。

まあそんな話を男友達とかとしていると、あることに気がつくのです。
男性は女性と比べて自分たちの魅力、っていうか、女性が男性のどういうところに「うおー! いいね!!!!」とグッときているかに無頓着すぎる。
相対的に女性のほうがその点においては、「見られる」ということが当たり前となっていることもあり、男性の無自覚っぷりにこちらも新鮮さを覚えたりもします。

厚い胸板とか、カッチカチの力こぶとか、6つとか7つに割れてる腹筋とか、結構どうでもいい。(個人的見解)
そんな「いつでも見て行ってください。どうぞ」みたいなの、あんま興味ない。
勿論それが好きな人はいるし、綺麗な筋肉見るとすごいなーと思いますよ。
でも、なんというのですか? そういう表面的なことじゃなくて、「なんかよくわかんないけど惹きつけられちゃう」みたいなのあるじゃないですか。

だから、「え?! ただのくるぶしじゃん!」とかもったいない。もったいないけど、自覚してアピールされてもちょっと違う。そのへんの微妙に矛盾した感情が交錯します。
持ってる本人が無自覚かつ無防備であることがさらなる付加価値を生み出すわけです。

でもこれ男性だろうと女性だろうとあると思います。自分の身体は毎日見てるから、それを持ってない側の人から見たら「宝物」なんだけど、自分からしたら「普通」。
「普通」すぎるがゆえに無防備。むしろ粗末に扱ってないですか?もったいないです!

人気のある部位はあると思いますが、個々の人間の好みのツボは見事にバラバラ。メディアで流布されているステレオタイプな「モテ」に縛られていては損。何が武器になるかわかりません。大事なのは需要と供給の合致。

そして男性諸君。女性は結構「え?」ってところ見てるのでもうちょい自覚したほうがいいかもしれません。知らず知らずのうちに惚れられてるかもしれませんよ。
 

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2016-05-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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