喫茶店でも毎日が波乱万丈!
記事:大友さま(ライティングゼミ)
喫茶店でコーヒーを飲みながら,優雅に読書したり,作業するのがマイブームだ。よく行く喫茶店では,そう思う人が多いのか,パソコンを開いている人や本を読んでいる人,勉強している人のほうがおしゃべりしている人より多い。それに加えて最近,喫茶店にきている人の人間観察が趣味になりつつある。喫茶店の中の密室で,小さいドラマが生まれたりしているのだ。
先日,いつものように喫茶店に入り,席を探したら,カウンターの席が幸い空いていた。
「ラッキー!」そう思いながら,席取りをして,注文をするためにカウンターに並んだ。お気に入りのラテを頼んで,優雅に作業に取り掛かろうと,資料を開く。すると何か物音が聞こえてきた。微妙に気になる。周りをすばやく見渡してみると,私が座っているカウンター席の一つ空席を挟んだ右隣の人がその音の発信源のようだ。
よく耳をすまして,聞き耳をたててみる。そうすると物音だと思っていたのは人の声のようだ。どうもその人(男,推定50代)が何かぶつぶついっているらしい。一度気になってしまうと,もう気になって仕方がない! 作業に全く集中できなくて,しばらくの間,「早く飲み終わって,いなくなってくれないかな?」とイライラしていた。しかし,ふいにその不思議な声に興味がでてきて,人間観察してみることをスタートした。
よく聞いてみると,右隣の人はこういっていた。
「ウッ,ウッ,ウッ」
それを永遠とリピートし続けている。
「なんだこの人,ただのやばい人?」私は思った。
独り言とは何か違う感じだ。
私は目の視野が広くないので勇気を出してそちらの方に少しだけ顔を傾け,気がつかれないぎりぎりの角度で様子を伺ってみた。すると,その人はどうも読書をしているらしい。そして,ページをめくるときによくやる,指を下で湿らせてページをめくる動作を実際ページをめくるタイミングではないのにも関わらず,「ウッ,ウッ,ウッ」の声にあわせて数十秒に一回やっていた。
「頼むからページをめくるときだけにしてくれ!」私は心の中で叫んだ。
しばらく観察し続けていると,別のバージョンもあった。左手も使っているのだ。こっちは指を湿らせるのではなく(指を湿らせるのは右と決まっているようだ!),左手は「ウッ,ウッ,ウッ」にあわせて指を顔くらいの高さまで上げるということをやっていた。
そこまで観察したところで,「自分の勉強も進めないとまずい!」と我に返ってしばらくそちらに集中していた。不思議と集中しているときは気にならなくなるのか,その人がたまたまそのときおとなしくしていたのかわからないが,しばらく音は気にならなかった。だけど,不思議なことに,「あれっ?静かになったな?」とこっちが気にかけだしたら,また「ウッ,ウッ,ウッ」がはじまった。「うーん。私の心と連動しているのかしら?」
私とその人との間には一人分の席が空いているのだが,みんな座ろうと場所取りはするのだが,その後何かを察知して,移動してしまうことが二人続いた。しかし! ついにその人の隣に座る強者(女子!)が現れた!
「あーあ。座っちゃった。すぐ耐えられなくなっていなくなるだろうな」私は内心思った。
そのとき,例の人に電話がかかってきた。その内容に,私はかなり驚いてしまった。
「はい。もしもし。・・・です」しごくきっちりした会話応対をして,しかも周りを気遣って席をはずしたのだ。失礼ながらてっきりおかしな人だと思ってしまっていたが,普通の人だった。「ウッ,ウッ,ウッ」は,貧乏ゆすりみたいな癖に近いものだったのか! と衝撃!
さて,すぐに彼は戻ってきた。隣の女子は大丈夫だろうかと様子を伺っていると,なんと!
こちらも衝撃の行動にでた! 彼女は勉強道具を取り出したあとにイヤホンを耳につけて,音楽を聴きながらもくもくと勉強しだしたのだ!
「その手があったか!!!」
ちなみに私もイヤホンを持っていた。すでに小一時間が経過していた……。ショックが大きい。
しかしながら,間に一人座ってくれたおかげで私もその後は全く気にならなくなり,作業
に集中できた。そして集中できるとますます気にならない,という好循環に入り,いつもの平和の時間を取り戻したのだった。
喫茶店には毎日色んな人がきて,そして去っていく。ときにはイラつくような人もいたりするが,今回のように人間観察してみるとその人たちのドラマが見えてきたりして,面白かったりするのでお勧めしたい。
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