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メディアグランプリ

大道芸人が気づかせてくれた自分の仕事に誇りを持つことの大切さ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:成田陸(ライティング・ゼミNEO)
 
 
夜の帰り道。西武新宿駅の前を通ると音楽が鳴り、人が集まっている。なんだ、なんだと気になって足を止めた。人だかりの後ろから見ると大道芸人の方が水晶を使った芸をしている。ポケットからスマホを取り出して時間を確認する。21:31。まだ時間はある。
 
彼は水晶を手のひらの上で回転させながら観客に向けて、技の説明や拍手のおタイミング、他の通行客に向けた配慮などをアナウンスしている。
 
「準備が整いました!」。
 
どうやら準備が整ったらしい。すでに興味津々になっている私は、何をやるんだろうかと期待に胸を躍らせながら待っていると、回転している水晶が手のひらの“下“にあるのだ。
 
手のひらの上ではない、手のひらの下にあるのだ。
下にあって、水晶が浮いているのだ。
もう一度いう。水晶が浮いているのだ!
 
拍手をすると同時に思わず、「はぁ!?」と思わず口から飛び出す。どうなっているのかがわからない。ただ、目の前に浮いた水晶だけがあるのだ。
 
次は何をやるんだろうか、と目を逸らさずに見ていると、「あと2つの演目で今日は終わりです。クライマックスに向けて楽しんでいってください!」。私が足を止めたのはどうやら芸の終盤だったらしい。
 
「次はコマを使います!」
コマと言っても将棋の駒ではないし、幼少の頃の正月に遊んだコマでもない。いわゆる大道芸人のジャグリングで使う器同士をくっつけたようなプラスチックのアレだ。
 
そのコマをヒモ付きのスティックで回転させていく。両手を上下させてコマが回転していくのがわかる。何をするんだ。何をするんだ。さっきの水晶はほんの少しの時間だった。きっと次も目が離せない。まずはウォーミングアップ。回転するコマを体の周囲に走らせる。それは昔、ハワイアンパークのCMで見たようなトーチトワリングのような動きをする。シュン、シュンとコマがその人の周りを飛び回る。それからコマとステックを使って、まるで正月に遊んだコマのような動きを見せる。その軌道はまるでネズミ花火のようだったし、1枚のお皿が回っているようにも見えた。
 
そして、コマを使った芸といえば、コマを空に高くあげる芸がある。回転するコマを空へ向けて投げ、キャッチする。よくYouTubeで見ていたが生で見るのははじめてだ。彼が投げた瞬間、思わず手を握ってしまう。1回目は4メートルぐらい。それでも、「すげぇ」という音が口からでる。だんだん投げる高さが上がってくる。
 
そして、彼は言うのだ。
「これから失敗するかもしれない技に挑戦していいですか? 中途半端な高さか、とても高い高さ。皆さんが拍手で決めてください」。
同時に「ミスったらここまでで静岡に帰ります」とも言っていた。さっきも言っていたし、たぶん私が足を止める前もそういって芸を披露してきたんだろう。
 
もちろん観客は大技を望んだ。
そして、彼はビルの3階に届くかどうかの高さまでコマを投げ、キャッチしたのだ!
 
 
 
次はいよいよ最後の芸だ。いつの間にか、人だかりは増えて駅前の通路が観客でいっぱいになっていた。
 
最後の芸は円柱と板を使った「バランス」だ。横にした円柱の上に板を置いた不安定な足場の上に彼が立つ。音楽は変わって「千本桜」。テンポの早いリズムにあわせて観客のボルテージが上がっていき、風も強くなっていく。場所はビル風が強くふく一角だ。これからやるバランスの難易度は風が強くなればなるほど上がっていく。
 
まず、一回目の挑戦。60cmの高さで成功すると拍手がなった。そして、次は高さを一気に2mまで上げるらしい。彼の身長を超える高さだ。彼はこの芸で海外の賞も取ったらしい。
 
その芸の前に少し湿っぽい曲に変わり、彼が想いをポツリ、ポツリと話し始めた。
コロナで大道芸の仕事がほとんど無くなったこと、箱が空なのを見せて静岡からの交通費や宿泊費を考えると赤字なこと。「もし楽しんでもらえたのなら、お札を箱に入れて欲しい」と言った。大道芸の方が投げ銭をお願いするときは、折り畳まれた紙だとか、人が描かれている紙を入れてくださいとも言うらしい。だけど、彼はその日のパフォーマンスがうまくいったときは直接的な表現で言うらしい。
 
そして、「10年、大道芸一本で食べています。これが僕の仕事です。だからもし成功したらお札を箱に入れてください」と胸を張って言っていた。
 
どんどん風が強くなってビュービューと風切り音が聞こえ、観客が固唾を飲む中、彼は2mのシーソー乗りを成功させたのだ!!
 
周囲から「おおお!!!」という声と拍手が聞こえる。私も同じことをしていた。
 
彼は体の前に箱を持ち、観客は次々とお札を入れていく。ただ、自分の財布を見ると諭吉と野口が一枚ずつしか入っていなかった。諭吉は生活もあるから野口を入れた。私の感動は野口1枚ではなかったが、それでも支払わないよりマシだとおもい改札に向かった。だけど、私の心がこれでいいのかと問いかけてくるのだ。いや、やっぱりもっと入れようと思って、チャージで崩した野口数枚を持って彼に渡したのだ。自分の仕事に誇りを持つことの大切さを気づかせてくれた感謝も込めて。
 
 
 
 
***
 
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