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告白します。私、あなたのこと「そういう目」で見ちゃってます。


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記事:永尾 文(ライティング・ゼミ)

聞いてください。私、おかしくなっちゃったみたいなんです。
ここ3ヶ月くらい、ずっと頭の中が「そういうこと」でいっぱいになっていて、28歳にもなって恥ずかしいけれど、こんな気持ちになるのは初めてなんです。
まるで、思春期の男子中学生みたいだって思います。
天神の地下街で、西通りの待ち合わせ場所で、博多駅のコンコースで、私はよく妄想します。
例えば、制服を着た、眉毛の太い女子中学生。例えば、皺の寄ったスーツと同じくらいくたびれているサラリーマン。例えば、華美なロリータ服に身を包んだバサバサの睫毛の女の子。
脳内で私は、彼/彼女らの服にいたずらを仕掛けます。
長いスカートをめくり上げてみたり
シャツの袖ボタンを外してみたり。
胸の大きなリボンを解いてみたり。
ああ、よくない。恥ずかしくてとても口には出せない、なんとも破廉恥な妄想です。
街の人とすれ違うたびに「この人を脱がせてみたい」って、そんなやらしいこと、考えちゃうんです。

「最近、何か変わったね?」
この3ヶ月で、久しぶりに会う友人からそう言われることが何度か続きました。そのたびに私はやらしいことでいっぱいの頭の中を見抜かれたみたいで、非常にばつが悪くて、「そんなことないよ」って何度も笑ってごまかしました。
長かった髪を3年ぶりに切りました。
口紅を、強めのピンクに変えました。
ワードローブを一新しました。
けれど、そんな外見的な変化よりよっぽど強引に、私を内側から変えてしまったもの。
人間の本質は「エロ」なんだって、どこかで聞いたことがあります。でも、それは私には当てはまらないものだと思っていました。
まじめな模範生として生きてきたつもりです。
男のひとともあまり縁がなかったし、過度の下ネタも苦手だし、「恋バナ」すら最近はほとんどしていません。女子会で話すのは、主に仕事の話です。
実に色気のない28歳でした。
つい、3か月前。真夜中の書店で、私の中の「愛」が目覚めてしまうまでは――。

 

 

私は必死でカメラを構え、息を荒げていました。7月の半ばだから冷房は効いていたと思います。なのに、しこたま汗をかいていました。暑かったのか涼しかったのか、まったく記憶にありません。
夢中でした。
夢中で、シャッターを切っていました。
あぁ、ストッキングを履いた女性の足先は、どうしてこうも美しいのでしょう。縫い目は少し黒ずんでいる方がいい、彼女がここまで歩いてきた道のりを、レンズ越しに伝えてくれるから。
初めてのボーナスで買ったSONYのミラーレス一眼「NEX-5R」は、久々の出番に浮かれたのか、小気味よい音を立てて彼女たちの「物語」を切り取ってくれました。
白いシーツの上に寝そべる。
椅子に座って足を組む。
ワンピースの裾をちょっとだけ、めくる。
それだけの動作に「物語」もへったくれもありません。しかし、シャッターを切り、小さな液晶に映し出された彼女たちの姿には確かな「物語」がありました。
シーツにうつ伏せになる姿は無防備でした。ローアングルで足の先から脛を撮るとひどく高圧的な様子に見えましたし、ワンピースの裾を握る手には恥じらいと同居する大胆さが表れていました。
それだけではありません。なんと、彼女たちは暗闇の中で一つずつシャツのボタンを外し、白い肌に強いライトを当てるのです。
あぁもう、ひどい誘惑です。これ以上、私をどうしようというのでしょう。
鎖骨に光が当たり、くぼんだ部分には挑戦的な影ができました。
露出した肩のほくろが星座のように見えました。
まばゆくて、背徳的で、神聖で、どうにも頭がくらくらしました。
通称「裏フォト部」。
紙のにおいにまみれた書店で、夜通しセクシーな写真を撮るという女性限定のこの企画は、ほんとのところ、どうかしているとしか言えません。
ですが、どうかしている企画にこうして乗っかってしまう私こそ、普段の私であれば「アンタ、自分のやってることわかってる?」と小一時間説教しているくらい「どうかしちゃって」いました、確実に。
絶えずシャッターを切り続け、その夜撮った写真だけで248枚ありました。ストッキングの縫い目だけを撮り続けた変態的なショットや、ぎりぎりまで肌を見せたものなど、きわどい写真ばかり、248枚!
魔女の夜会さながらの異様な熱気が、私の心とからだを完全に狂わせていました。

元々、人を撮るのは好きでした。
ミラーレスを買ったのも、友人の結婚式に呼ばれるようになったのがきっかけです。高校生くらいからみんなデジカメを持ち歩くようになっていたのに、私はそれまで一度も自分のカメラというものを持ったことがなく、せっかくならちょっとでもいいカメラが欲しいなと思って奮発して買いました。
「君はいい写真を撮るね。きっと、人を油断させる才能があるんだね」
たまに行く旅行にカメラを持っていくと、そんな言葉で撮った写真をほめられました。嬉しいけれどその言葉はくすぐったく、おなかの底がむずむずしました。
人を油断させる才能――そんな大層なものが私にあるのでしょうか。
私の中にあるのはただ、「物語」を切り取りたいという強い欲望だけでした。
あの日、あの夜、私は「欲望」を目覚めさせられました。以来、変態的な妄想が止まらなくなってしまったのです。夜だけではありません。朝も、昼もです。
眉毛の太い女子中学生は、友達と大声で笑いあっていました。よく日焼けをしているので、きっとこんがり焼けたまっすぐな脛をしていることでしょう。
くたびれたスーツのサラリーマンは、ベンチに座ってレッドブルを飲んでいました。缶を傾ける右手の手首がえらく細く、浮き出た血管が少しだけ見えました。
ロリータ服の女の子は、胸を張って歩いていました。手の小ささ、足の細さから想像するに、フリルの下の首筋はさぞかし色白で華奢なのだろうと思いました。
「顔のいい人」には興味がありません。しかし、「いい顔をしている人」にはどうしようもなく惹かれます。
街ゆく人は誰もが「いい顔」をしていました。顔の造形には美醜の違いがありますが、人の持つ「物語」はどれも等しく美しいと私は思います。
友達と笑い合う垢抜けない少女の、脛。
もうひと踏ん張りしなければならない男性の、手首。
堂々と好きなファッションを貫く女の子の、首筋。
鎧のようにまとっている服の下から、何が出てくるのだろう。からだのちぐはぐなパーツを切り取って四角いフレームに収めたら、いったいどんな「物語」が見えてくるのだろう。
あぁ、脱がせてしまいたい。暴いてやりたい。
脛にある傷を、手首の脈打つ血管を、白い首筋に浮かぶほくろを。
妄想が止まりません。それもこれも、裏フォト部とかいう夜会〈サバト〉に参加してからで
す。ずっと頭の中をいやらしい欲望に支配されています。だから、街ゆく人を「そういう目」で見てしまっているんです。
“脱がせて、暴いて、晒す。そして、「物語」をフレームの中に再構築する。”
そんな「写す」快感を知ってしまったから。
告白します。私、あなたのこと、「被写体」として見ちゃってます。

『手は口よりも雄弁だ』、と聞いたことがあります。たとえば表情を写さなくても、手の握り方でその人の心を表現することができる、らしいのです。私はプロでもないし、経験も乏しいですがなんとなくわかります。
ぎゅっと握りしめたこぶしは威圧や拒絶を、
ゆるめたこぶしは優しさや寛容さを、
開いた指はためらいや開放感を、それぞれ表現できるような気がしています。
それと同じように、他の様々なパーツも知らないうちにメッセージを発しています。黒ずんだストッキングの足先が、その人が一日歩いてきた道のりを表していたように。
写真を撮るという作業は、ただの汚れに「物語性」を見出す行為なのだと私は勝手に解釈しています。
たとえ一見美しくないもの――汚れやしみや傷であっても、レンズを通して見るとそれは素晴らしく美しく、私の中の欲望をこれでもかというほど煽り立てるのです。
「美しいものを美しいと感じるのは当然だ。醜いもの、汚れたものを美しいと感じてこそ、愛だ」という言葉を何かの本で読みました。これは私のモットーでもあります。
レンズを通して見ると、驚くべきことにこの世界には美しい人しかいないと気づかされます。走って転んだ傷跡も、部活で作った日焼けのしみも、すべて美しい。その人が今日までめいっぱい生きてきた証なのですから。
つまり、私にとって人を愛するということは、その人の中に「物語」を見出すということなのだと思います。

今日も美しいあなたに、私はこっそりいたずらを仕掛けます。実際に服に手をかけるわけじゃないから、どうかお許しください。
いつか気が向いたら、私に写真を撮らせてくださいね。
レンズ越しにあなたを、愛させてほしいのです。

 

 

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2016-10-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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