秋の発情
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記事:山田THX将治(ライティングゼミ)
夏は、奔放な季節といわれる。
禁断の恋も、多く生まれる。
小生も、‘若き日’はそうだった。こんなところで、書くのをためらう程だ。
それ程、酷かった。
それ程、ヤバかった。
それ程、マズかった。
まるで、その行動は、鬼か畜か、はたまた併せた様だった。
小生、基本的に夏場は人込みを避ける。今でもそうだが、小生は大変代謝が良く、一たび汗をかき始めると、水をかぶった様に成ってしまうからだ。
特に、汗ばんだ背中に何かが触れたり、他人に接近されたりしようものなら、不愉快でたまらない。
夏場の小生は、‘ゴルゴ13’ばりに背後を気にする。
よって、夏場は人混みを避ける。
何故に、花火大会は暑い夏にやるのであろうなどと、いつも思っている。
人ごみに行かねばならぬからだ。
浴衣を着て花火見物デートなんて、一度もしたことが無い。
そんな小生でも、“若き日”にはたとえ夏場であっても、女性となら近付いていたし、御近付きに成ろうとしていた。
若い男の意志や頭脳は、その程度の物もだ。
奔放な恋愛事情も、書き切れないほど有った。ただし、モテていたこととはシンクロしない。
そのへんが、モテない男の悲しい若き日なのである。
夏は海にも行ったりした。今では、考えられない事だが。
元々色白の小生は、日焼け出来ない。日には焼けるのだが、肌が真っ赤になり皮がむける。それで終わりだ。痛いだけで、日焼けして小麦色といった具合には仕上がらなかった。それでも、水辺へ出かけた。
海やプールへ行く目的と言えば、当たり前のことだが“ナンパ”である。
先程書いた通り、真夏でも色白な小生の肌は、意外にもナンパの小道具であった。
こんな感じだ。
「よく焼けてるね」と女の子に声を掛ける
「夏なのに、真っ白じゃん」と返ってくる
「実はさぁ、1/4白系ロシアの血が混じってんいるだ(笑)」と応えてみる
「うっそー!」と言わせれば勝負有である。
そんな感じで、小生は実は苦手な夏を過ごしていた。
学生当時、同い年ながらデパートの化粧品売り場に勤めるK美と付き合っていた。短大卒の彼女は、小生よりも二年早く社会で働いていた。
仕事帰りのK美を迎えに行くと、彼女が車に乗り込んだ途端に、良い香りが車内に立ち込める。その瞬間が、好きだった。
流石に、化粧品売り場の女性になると違うものだと、いつも感心していた。
或る時、いつもと違うそれでいていつもより小生が気に入りそうな良い香りが、
K美と共に乗り込んで来た。
とても気に入ったので、いつもは訊かないことを聞いた。
「コロン変えた?」
すると
「うん。将治が気に入ると思って」
と嬉しいことをK美は言ってきた。
「何ていうコロン?」
と聞いてみた。
「あぁこれはね、‘イヴ・サンローラン’の‘イグレック’というの。イヴの頭文字、Yをフランス語ではイグレックと発音するから付けられたのよ」
と、フランス語を全く理解出来ない小生に、事細かく教えてくれた。
運転中の小生の鼻先を、チョンと突きながら。
当然、イグレックの香りと共に。
そんな訳で、K美とは然るべき関係だったので、小生にとってサンローランのイグレックは、真夏であっても近くに纏わり付いても許せる香りであった。
その後、K美とは休みが合わないことと生活時間が違ってきたもあって、自然と逢う機会が減り、自然消滅してしまった。
風の噂では、或る時から先輩社員と同時進行していたらしいが、今となっては確かめる術もない。
ただ、K美と逢えないことより、サンローランのイグレックの香りが、愛車のシートから完全に抜けてしまうことが、とても寂しかったことを想い出す。
毎年秋になると、どこからともなく‘キンモクセイ’が香ってくる。
小生、キンモクセイの香りが大のお気に入りである。
余り好きではない夏が終わり、気持ちいい涼しさの秋を連れてくるようで。
もう、お分かりだろうが、植物に全く知識がない(何せ、‘梅’と‘桜’、‘バラ’と‘カーネーション’の区別が、瞬時に付かないくらいだから)小生から、‘キンモクセイ’の固有名詞が出たという事は、そう、他でもない‘イヴ・サンローラン’の‘イグレック’は、キンモクセイの香りだ。
元カノK美が、小生が気に入ると思って選んでくれた香りだ。
実は、秋であろうがいつであろうが、気に入らない訳がない香りだ。
キンモクセイが香ってくると、あの若き日を思い出して、キュンとしてしまう。
K美が背中に抱き着いて来た(彼女の得意技)ようで、ドキッとしてしまう。
だから、いつまでも好きのだと思う。
そういえば、K美はこんなことも言っていた。
「キンモクセイの花言葉は“初恋”なんだよ」
小生にとっては、K美が本当の意味で、初恋の相手なのかもしれない。
久し振りに、メールしたくなった或る日の事でした。
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